ピクニックへ
「早速見つかったみたいね」
動物たちにお願いしてから三時間くらいかな。
一匹の狼がユミエラさんの元へ戻ってきた。
扉の前で一鳴きすると、大人しくお座りして待っていた。
狼というよりは忠犬では?
「ここより南東の端の方にある山の麓。聖魔の森付近で最も安全な場所ね。東洋国家からも少し距離があるし、隠れるには十分かと」
「そんなところにオダ家の方が……」
「それでは早速行きましょう。キュウちゃんに乗れるのは大人が三人なの。私とハヤト君は行かないとダメね。あとは……」
ユミエラさんは誰を連れていくか迷っているみたい。
私とカナモはお留守番ね。行っても大して役に立たないから。
ママたちの誰かが一緒に行くことになるだろう。
「私たちはここで待っています。この子たちをお連れいただけませんか?」
「「えっ?」」
なぜかママが私とカナモをつれて行ってとお願いした。
「あら、どうして?」
「私たちがかの方の元へ行くよりも、この子たちが行った方が協力していただけると思いました」
「そう。なら子供たちをつれて行きましょう。楽しいピクニックの時間ね!」
なんだか分からないうちに私とカナモが行くことが決定しました。
ユミエラさんは楽しそうに微笑んでいます。
危険な聖魔の森の中を移動するのに、どうしてそんなに楽しそうになるのか不思議です。
「タマモ、ピクニックに行くわよ。準備をしてくれるかしら?」
「……うけたまわった~……」
タマモはどこからかとても大きなカバンを取り出し、必要なものを詰め込み始めた。
そんな大きなカバンどこにしまっていたのかな?
「ちょっと遠いから少し長旅になりそうね。アイシャちゃんたちは大丈夫?」
「問題ありません。ここでの生活は母に教えられていますから」
「それなら安心ね。時々ミシェルが帰ってくると思うから、事情は話しておいてね」
「お任せください」
「……お嬢、準備……おっけ~……」
「ありがとう、タマモ」
ユミエラさんは嬉しそうにタマモの頭を撫でた。
なんかタマモの後ろにキツネの尻尾が見えるような……。
そんな幻覚が見えるくらい、タマモは幸せそうにしていた。
「タマモ、荷物の管理はお願いね。それじゃキュウちゃん、よろしく」
「うむ! わらわに任せるが良い!」
突然の変化に未だついていけない。
急に耳や尻尾生えるし、髪の色も変わるからちょっとびっくりする。
「さあ、わらわの背に乗るがよいぞ。安全に、そして快適なぴくにっくとやらにしてみせよう」
乗りやすいように九尾が伏せる。
ユミエラさんが一番前に座り、ハヤト兄が私とカナモを乗せた後に後ろに乗った。
鞍もないのに落ちたりしないのかな。
「ノア、行ってらっしゃい。気を付けてね。きっといい経験になるわ」
「カナモも。あまり迷惑かけちゃダメよ」
「「は~い。行ってきまーす!」」
ママたちに見送られ、私たちを乗せた九尾は走りだした。
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