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ユミエラの悩み


「はぅぅぅ~……」


「これは……良いぃ……」


 私とカナモは九尾の尻尾に包まれていた。

 極上のモフモフ。天国はここに……。

 このまま眠りにつきたい。そう思ってしまうほど罪深い尻尾だった。


「ノアちゃ~ん……オヤスミィ……スヤァ」


「私も……って、ダメよ! まだ話終わってないんだから! 起きなさい、カナモ!」


 危うく眠りかけたところでハッとした私は、カナモを叩き起こした。

 私たちの問題なのに、当事者が眠っていてはいけない。

 ちゃんと話がまとまるまでは起きてなきゃ。


「うむうむ。元気な童たちじゃ。斯様な童たちを狙うなど、最近の人間は落ちぶれたものじゃ」


 そう言うと少し尻尾が逆立った。

 あっ。ちょっと痛い。毛が顔に刺さる。


「それで、お嬢様はどうなさるおつもりですか? 奴らがここまで来るのを待っているだけですか?」


「そうねぇ……。どうしましょうか」


 ふふふ、と笑ったユミエラさんの視線はママたちに向きました。


「私は……待つよりも、国長方を止めるべきかと。正直、彼らの為そうとしていることは無謀にもほどがあります。ただでさえ、今の東洋国家は国力が下がっているというのに」


「そうです。年々作物の収穫量が減少し、その上他国との交易も制限されているのです。そんな中、『聖魔の森』を踏破し、大陸進出などと……」


 そんな情勢だから、パパやお兄ちゃんは国を出て冒険者として活動しているのだ。

 東洋国家では冒険者はあまりいい印象を持たれていない上、仕事も少ない。

 それに、今回の徴兵で若い男性がいなくなってしまう。ってママたちが言っていた。

 私には難しいことは分からないけれど、これが良くないってことはわかる。

 ……もうダメかも、あの国。


「ん~、そうねぇ……」


 ユミエラさんは頬に手を当て悩んでいます。

 凄い神妙な顔で考え事をしています。

 そんな姿もとても綺麗です。


『ユミは一体何を悩んでいるの?』


「何って……あの国治めたら誰をトップにしようかって」


「「「えっ?」」」


 その場にいる全員の声がハモリました。

 ユミエラさんは今なんと? 国を治める?


「お、お嬢様は攻めるかどうか悩んでいたのでは……?」


「へ? 違うわよ。悠長に待っているのも勿体ないし、みんなで遊びに行くのは決めてあるわ。でも、そうしたら誰が国を治めてくれるのかなって思って」


「で、でも、ユミエラさんさっきはダメって」


「それは当然よ。今すぐ行っても何も準備できていないもの。もう少しいろいろと準備を整えてから行った方が後々楽でしょう?」


「準備って何を……?」


「例えば、今言った通り国を治める人――つまりは国王ね。それとあっちの戦力分析に情報操作、あの老魔導士対策とかたくさんあるわよ。結局は国盗りになるから、大変なのよねぇ」


 ユミエラさんの考えていることは想像の斜め上でした。

 しかも、もうすでに国を盗った後のことまで考えていました。







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