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愛し子


「まずは助けていただいたことに感謝を。ですが、なぜあの国にミシェルさんがいらっしゃったのですか?」


「精霊が教えてくれたの。あなたたちが危ないって。それ以上のことは分からなかったから、ミシェルにお願いして東洋国家について調べてもらっていたの。そんなすぐに異変が起こるなんて思わなかったけれどね」


「大変だったわね~」とのんびりとした口調でそう言うユミエラさん。

 緊張感の欠片も感じられない。

 それにしても、どうして精霊が私たちが危ないって知っているのだろう?


「精霊さんて本当にいるんですね。どうして私たちのことを知っていたのですか?」


 カナモが素直に聞いた。

 思ったことをそのまま口にするから、この子は基本何も考えていないのではないか。

 いつもそう思ってしまうのは私だけではないと思う。


「んー、そうねぇ……。アリアがどんな子だったか知ってるかしら?」


「知りません」


「私も知らないです」


 私とカナモはおばあちゃんがすごい人だったって言うのは知ってる。

 何ですごかったのかは全く教えてくれなかった。

 いつかわかる日が来るわ、とそう言われていた。

 ママたちはもちろん知っているだろう。しかし、ハヤト兄も知らないみたいだ。


「それじゃ、まずはそこからお話ししましょう。アリアはね、光の巫女と呼ばれる光精霊に愛された人間なの。愛し子とも呼ぶこともあるわ。だから精霊ととっても仲が良いの。その娘、孫であるあなたたちも精霊に愛されているわ。今もほら、あなたたちの周りを精霊が飛び回っているもの」


 にわかには信じがたいことをユミエラさんは言った。

 私たちも精霊に愛されている。彼女はそう言ったよね。

 精霊なんて見たこともないけれど。

 今も私には見えない。


「うわっ!? 本当だ! なんかいっぱいいる!」


「ハヤト兄? もしかして見えるの?」


「いや、何か意識したら見えるようになったというか……」


 ずるい。

 私も精霊みたい。

 カナモも同じ気持ちなのか羨ましそうに見ている。


『クスクス……』

『可愛いぃ』

『早く僕たちを見つけてほしいなぁ』


「? 今何か……」


「あら、声は聞こえるみたいね。それなら見えるはずよ。二人とも、魔力を目に集中させるの。彼らはいたずら好きだから、あなたたちが見つけるまで姿を見せてはくれないのよ」


「目に魔力……」


 そう言われて、自分の中にある魔力を目に集める。

 まだそこまで魔力操作の練習していないから難しい。

 カナモも苦戦しているみたい。あの子はまだ魔法も使えないから私より大変そうだ。


「ノア、力んじゃダメよ。魔力の流れを意識するの」


「カナモ、ゆっくりね。まずは魔力を感じなさい」


 ママたちがそれぞれアドバイスしてくれる。

 落ち着いて、魔力の流れを意識……。

 体の中の魔力が自分の目に流れていくのを感じた。

 目を瞑って集中する。あとは魔力を集めるだけ。

 両目に魔力が集中したのを感じ、目を開ける。

 すると、これまでと視界が一変した。

 様々な色の光が飛び回り、世界がさらにカラフルに色付いた。


「わぁ!! すごいすごい!! きれー……」


『やったやった~』

『あ~、見つかっちゃったね』

『アリアと同じ魔力だ~』


 羽の生えた小さな精霊たちが私の周囲を飛び回っていた。

 物珍しそうに見つめてくる子や、肩に乗って頬をつついてくる子。

 それぞれに個性があった。

 カナモはまだ苦戦していた。

 あの子も早くこの景色を見れるようになりますように。








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