*アリア視点
意外とすんなり終わった。
カナリアがあんなに素直になるとは思ってなかった。
まあ、こうなったのは神獣のおかげ。ヴィルがいなかったらもっと……。
でも、終わったものは終わったのだから、もう何も言わない。
カナリアもどこか晴れやかな表情をしている。
私たち姉妹の間に、多少のしこりは残っているかもしれないけれど、蟠りはもうないはず。
今後カナリアがどんな罰を受けるかは分からない。
もし、国外追放とかだったら一緒に旅をするのもいいかもしれない。
今までできなかった姉妹としての時間を、なんて憧れもある。
……難しいかも。そうなったらいいな。
「…………どう思う、シュウ?」
「そうだな。アリアがそれを望むなら叶えてやりたいとは思うが、難しいだろうな。今のカナリアであれば害はない。周りがそれを許さないがな」
「…………そう、よね」
なんだか残念だわ。
もう私たちのことは放っておいてほしいのに、他の人が解放してくれないなんて。
それだけ迷惑をかけたのは事実だから、文句を言える立場ではないけど。
「そんな甘っちょろい考えができるなんて、ほんとお人好しなのか何なのか。私に待っているのは、極刑か死ぬまで幽閉よ。もう二度とお姉様と会うことはないわ。これでお別れ。だから、私のことは忘れなさい。それで今度はあんたが自由に生きるの。こんな国で生涯を終えることなんて、私が許さないから。そんなことになったら化けてでも出て来るから、覚悟しなさい」
「……うん。わかったわ。私はこの国には戻らない。もっといろいろな国を……世界を見て回るから。………………いつか、あなたにいっぱいお話してあげるから」
これで本当に終わりね。
最後、ちゃんとカナリアと和解?ができたから、良かったと思う。
カナリアに会えなくなるのは寂しいけれど、彼女のあの顔を見たら何も言えないじゃない。
「それじゃ、行くわ。じゃあね、お姉様」
「さようなら、カナリア」
カナリアは兵士に連行されていった。
将軍と呼ばれた男性が私たちに敬礼して去って行った。
この国のことは彼らがどうにかしてくれるだろう。
そんな不思議な信頼感があった。
あとは…………。
「――おい、待て! カナリアをどこに連れて行く気だ! 彼女は聖女だぞ。なぜ偽聖女ではなくカナリアを捕らえているのだ!」
未だに状況を理解していない王子だけ。
ここまで何を見ていたのかしら。
本当にこんなのに私は振り回されていたと思うと、だんだん腹が立ってきた。
「殿下。そろそろ現実をご覧ください。偽聖女はこの者です。神獣と契約した方が偽物になる筈もありません。我々が間違っていたのです。どうか、ご理解を」
「何をバカなことを言っているのだ! 神獣などいるわけがないだろう! 騙されているんだ! あの女の口車に乗せられるな!!」
ほんと、どうしようかしら…………。
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