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水遊びと変な噂


 あれからさらに二か月が経ちました。

 時間の流れというものは早いですね。聖魔の森に来てからの生活はとても新鮮で毎日が楽しいです。

 今までしていたことがどれだけ苦行だったか。私、かなり無理をしていたのですね。ミシェルが心配していた理由が分かりました。


 この二か月という期間で森の中の行動範囲がさらに広がりました。

 さらに季節も変化し、今はとても暑い日々を過ごしています。

 なので少し遠出をしてある場所に向かうことになりました。

 遠出と言っても森の中なのですが。


 カイに乗って森の中を三十分程走ります。すると、森の中の景色は一変しました。

 そこにはとても広大な湖がありました。森の中にこのような湖があるなんて。聖魔の森にはまだまだ知らないことがたくさんです。


 この湖には動物や魔物がたくさん集まっていました。

 皆もここで避暑しているのでしょう。はぁ……涼しいですねぇ。

 動物たちが水浴びしています。種族を問わずここではどんな動物たちも仲良くしているようです。

 子どもたちは水浴びをしながら遊んでいました。楽しそうです。

 私も混ざっても大丈夫でしょうか。


「お嬢様。水浴びをなさるならこちらを」


「み、みしぇる……。これは一体何かしら?」


 ミシェルが渡してきたのはとても服とは思えない、まるで下着のようなものでした。

 肌ざわりから察するに撥水性は良さそうですが。


「これは水着です。こうして水遊びをするときに着るものです。なので水浴びをする際はこちらにお着替えください」


「こ、こんなはしたない格好、できるわけ―――」


「なぁにをおっしゃいますか! これはTPOに合わせた、歴とした衣装なのです! はしたないなんてことありません!!」


「てぃーぴーおー? というのはよくわかりませんが……しかしこのような格好は淑女としていかがなものかと」


「大丈夫です。ここには私とお嬢様、そしてティア様しかおりません。周りの目を気にすることはないのです。そしてあちらをご覧ください」


 ミシェルが指さす方を見る。―――あ、あれはッ!?


「て、ティア!? そんな!?」


 なんとティアはすでに水着というものに着替えて湖を漂っていました。

 ……あの二つのお山は見なかったことにしましょう。


「あれ~? ユミ、まだ着替えてないの~? これ楽でいいわよ~」


「ティ、ティアがそう言うのであれば……うぅ、恥ずかしいです」


「お、お嬢様。おおおお手伝いさせていた、いただきますっ!!」


「い、いえ。結構です。あなたも着替えていらっしゃい」


「そんな、遠慮なさらずに。さあ!!」


「だったら、その鼻血を何とかしなさい!」


「ぐはぁっ!?」


 あっ。いけません。つい足が出てしまいました。

 ここ最近はミシェルに体術を教えていただいているので、自衛くらいはできるようになりました。

 しかし、いくら何でも回し蹴りははしたないかしら?

 い、いえ。ミシェルが危ない雰囲気を出して近寄ってきたので、仕方ないのです。

 ええ。そうですとも。これは仕方ないことなのです。


「お、お嬢様の美しい御御足で蹴られるなんて……最高のご褒美です。ありがとうございます」


「最近のあなた、ますます変態になってきたわね」


 ミシェルの視線に身の危険を感じるようになりました。

 そう言えば前に冒険者ギルドでも変なことを言っていましたね。

 気を付けるとしましょう。


 水着に着替えた私はミシェルの作った浮き輪というものに乗り、湖を漂いました。

 これは……とてもいいですね。涼しいし落ち着きますし、何より無心になれます。

 そうして漂っていると気づけば私の周りには水浴びをしていた動物たちが集まっていました。


 さすがに水上では構ってあげることができませんね。

 それなら私を水辺まで運んでくださるかしら。

 動物たちが浮き輪についていた紐を咥えて引っ張っていきます。


 水辺に行くとミシェルが飲み物を持ってきてくれました。

 グラスに数種類の果物が飾られたトロピカルジュースはとても美味しかったです。


「そう言えば街で変な噂を聞きましたよ」


「なんですか~」


「ガッフの街に向かってくる馬車が多いそうです。その馬車には貴族の紋章がついているそうで、何でもその紋章がクィンサス王国の貴族のものらしいです」


「……変ね」


 クィンサス王国の貴族がこんな遠くにある冒険者の街に用があるとは思えません。

 何でしょう。胸騒ぎがします。

 まあ、気にしすぎるものでもありませんね。今は水遊びを楽しむとしましょう。

 動物たちと遊んでいるティアの下に向かいます。


「ティア、私も混ぜてくださいな」








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