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「これでついに完成だ...!」
私は転生魔術を起動する。研究部屋の膨大な魔術資料が宙を舞い、中央にある魔法陣が軋む音を立てて青白く光る。
「さぁ次なる舞台が私を待っているぞ!」
この私を裏切ったこの世界はゴミだ。この私こそが世界の中心でなければ意味がない。これでせいせいするわ。
「さらば世界。いざ行こう輝ける歴史へ」
ついに魔術が発動する。視界が青白く染められていく。
バリバリバリッ 青い稲妻が舞う。視界のところどころに不快なノイズが走る。
何かがおかしい。
私の計算ではこの様な現象が起こる筈がない。
骨という骨が軋み、決して身体からでてはいけないような甲高い音が聞こえる。
「あ〝あ〝ぁ〝」
何が起こっているかはわからないが、もう停止はできない。意識が途切れる瞬間、何か大事なものが途切れ砕ける音がした。
青白い光は部屋を覆い尽くし収まると、そこにはもう誰もいなかった。