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第二十五話 解放されしもの

【作者からのお願い】

お読みくださってありがとうございます。

作品を読んで、少しでも面白いと思った方は評価とブックマークを頂けると嬉しいです!

評価欄は本文の↓にありますので、ぜひぜひ!

「はぁ、はぁ……! 勝った、勝ちました!!」


 倒れた巨体の上で、俺は勝利の雄叫びを上げた。

 今回の戦い、完璧な勝利だったと言っても過言じゃないだろう。

 リッチの助言を生かし切れたことはもちろん、みんなの連携が抜群だった。

 特に最後の流れは、良くここまでうまくできたものだ。


「みんなのおかげです! ありがとう!!」

「ギルドの一員として、マスターに協力するのは当然だ」

「そうですよ! お役に立てて、むしろ嬉しいです!」


 スーシャさんの言葉に同意するように、みんながうなずいた。

 そう思ってもらえると、俺としては何よりだ。

 これからもみんなに気持ちよく仕事してもらえるように、俺も頑張らないとな!


「おっと!」


 ここで、ブラックドラゴンの巨体がにわかに光り始めた。

 俺が慌てて下に降りると、黒鉄の巨体は白い光の粒となって消えていく。

 ダンジョンで倒された魔物は、一定の時間が過ぎると魔力へ還る。

 主であるブラックドラゴンにおいても、この法則は適用されるようだ。

 後には拳大ほどもある大きな魔石が残される。


「おおお! この大きさならバッチリです! リッチさんと契約できますよ!」

「よし、それじゃあいったん戻りましょうか」

「コアは後回しでいいのか? 扉が出来ているぞ」


 いつの間にか、部屋の奥に出現していた大きな扉。

 それを指さしたキッカさんが、念のため俺に尋ねてくる。

 一般にボスモンスターを倒した後には、ダンジョン最深部への道が開く。

 通常の探索なら、そこに鎮座しているコアを抜き取れば終了だ。

 けれど今回の場合、コアを持ち去るとダンジョンが休止してしまうため少しまずい。

 まだリッチを解放してあげてないからな。


「まずはリッチを……いえ、リッチさんのことを優先しましょう」

「そうだな。あやつの助言には世話になった」

「お、ずいぶんと素直じゃねえか」

「助けられた以上、礼をするのは当然のことだ。相手が魔族であろうとな」


 からかうエルグランドさんに、少しムッとした顔で答えるキッカさん。

 嘘をつかれていなかったとわかれば、魔族でもきちんと礼を言う。

 彼女のいかにも武人らしい、まっすぐな気質が良く出ていた。


「では、戻りますよ。転移の魔石を使うので、集まってください!」


 こうして俺たちは、いったんダンジョンの外へと脱出したのだった。


――〇●〇――


「おお! あのブラックドラゴンを倒すとは、やるではないか!」


 翌日。

 俺たちから報告を受けたリッチは、すぐに喜びの声を上げた。

 攻略情報があっても、俺たちがブラックドラゴンを倒すのは厳しいと思っていたらしい。


「これもリッチさんのおかげですよ。あの攻略情報が無かったら、今ごろは負けてました。いえ、そもそも第八階層まで行けなかったかもです」

「そうであろうそうであろう! この我が、千年の暇に任せて収集した情報だからな!」

「では、そろそろ契約魔法を使いましょうか! 対象はリッチさんとマスターでいいですか?」


 スーシャさんの問いかけに、リッチさんと俺は揃って返事をした。

 すると彼女は、たちまち懐からブラックドラゴンの魔石を取り出す。


「私の後に続いて、誓いの言葉を述べてください。我、盟約に従いて互いに害とならんことを誓う」

「「我、盟約に従いて互いに害とならんことを誓う」」


 にわかに魔石が輝き、膨大な魔力が噴出した。

 濃密な霧のような魔力は、たちまち俺の身体を不可視の鎖で縛り上げる。

 これが魔法契約か。

 相手がリッチだけあって、ずいぶんと物々しい感じだな。

 身体のどこかを押さえつけられたような感覚だ。


「契約成立です! これで、マスターとリッチさんは互いに手出しできなくなりました。専用の契約を使えばもっと細かいこともできるんですけど、口頭だとこれが限界ですね」

「それで十分ですね」

「我もだ。これで、お前たちの安全は確保されたというわけだな」


 もとより、念のための契約である。

 リッチさんが今更裏切っているとも考えにくいしな。

 もしこれで俺たちを騙していたら、相当に用意周到な策士だ。

 その時は素直に騙されたと諦めよう。


「では開くぞ」

「お願いします」

「いざって時は、俺が守るからな!」


 緊張の一瞬。

 竜眼を解放し、臨戦態勢となったキッカさんがゆっくりゆっくりと分厚い扉を押し開いた。

 重々しい音が響き渡り、少しずつ扉の向こうが見えてくる。

 やがて現れたのは、宮殿の広間を思わせる空間と椅子に腰かける骸骨の姿だった。

 王冠を被ったその姿は、まさに死者の王。

 おおお、これがリッチさんの姿か!

 発言の軽さとは打って変わって、ものすごく威厳のある姿だ。


「すさまじいな。ダンジョンにこんな場所があったとは」

「あのリッチも大した奴だぜ。見てるだけでヤバさが伝わってくる」

「すっごい闇の魔力ですよ……! 予想の五倍ぐらいです!」


 予想以上に凄そうなリッチさんの姿に、たじろぐ一同。

 やがてリッチさんは椅子から立ち上がり、両手を高々と天に掲げる。


「ははは……ははははは!!!!」

「いっ!?」

「こ、これは……やはり開放してはならぬものだったか……!?」

「お前たち、感謝するぞ。我は、我は……!」


 何だ!? 何をするつもりなんだ!?

 ただならぬリッチさんの様子に、すぐさま身構える俺たち。

 魔王が目覚めたとか、そんな異常な雰囲気があった。

 そして――。


「風呂に入れるううぅ!!!!」

「のわっ!?」


 そこかよ!!

 予想に反した人畜無害極まりない雄たけびに、俺たちは全員ずっこけそうになった。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] そうよね、人間のアンデットってかんがえたら体臭の臭さ的にも風呂に入れないのも絶えられないよね 何年物のにおいになってるやら
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