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中華マフィアとのアルバイト5

「名付けてサマーハリケーン号よ」


夏子は近年一番のドヤ顔を見せた。

夏子はこのトレーラーハウスを改造した宇宙ロケットにそう名付けたようだ、見た目もふざけていれば名前もふざけている、名は体を表すのか。


僕、夏子、朱さんはいよいよ出発のためにサマーハリケーン号へ乗り込んだが、正直トレーラーの中身には驚いた、しっかりと宇宙船だ。朱さんも「あ、でも中身はしっかりしてるんだね。」と引っかかるような言い方だが褒めていた。

船の中の前方にモニタと計器類が設置されており、ベルト付きの操縦席のようなものがついていた。

中間部分には一見異様な光景だが固定されたテーブルや椅子と、上左右に寝袋がついていて、宇宙用に固定ベルトもついている。

後方には酸素濃度計や酸素・窒素タンクがあり、それらは自動弁とスマートフォンでつなげられており空気の濃度を自動で調節するようになっていた。

宇宙服や宇宙食も用意されていてるし、全体的にいたるところに手すりや配管・配線などがつなげられていて、素人目だが宇宙船には見える、ちゃんとトイレも宇宙仕様で吸いだして排出できるようになっていた。


「・・・え、夏子って宇宙工学部じゃないよね?どうやってこんなもの用意したの、機材はいくらでも盗ってこれるだろうけど、ここまで作り上げられないでしょ?」

「ふふん、わたしには魔術界隈以外の協力者がいっぱいいるのよ。

あえていうなら、男の心のくすぐり方を知っている・・・ってことね、まあそこら辺のプロジェクトの話をすると1時間ほど挑戦者たちのXなプロジェクトについて語らなければならないから、今は置いておきましょう。」




さて、魔術士は通常2種類のリソースを使ってマナを生成する。

ひとつめは大気や大地、海を流れるマナを自然に体内にため込む自然マナ

もう一つは自身の生命エネルギー、いわば体力や気力を消費してマナに変換する人体マナ


これらはマナソースと呼ばれ通常の人間も少量ずつため込んでいるが、魔術士はそれを訓練や血統による進化で何倍、何十倍の蓄積を可能にし、また自然マナや人体マナの取り込みや生成もより効率よくできるようになっている、が、残念なことに宇宙空間は真空状態であり魔術的には無だ。 

つまり自然マナをマナソースとして使うことができなくなるのだ。このままでは魔術士の能力が半減してしまうがきちんと対策は取ってある。

先ほどまでの二つは通常のマナソースで、そういったものでは足りない場合には外部リソースを用意する。

外部リソースとして最もポピュラーなものは魔石である。魔石とはマナをため込んだ宝石のことで、宝石の種類としては一般的な市場でも販売されているもの、サファイアやルビー、アレキサンドライトといったものがよく使われるが、魔術によって非常に多くのマナが閉じ込められており、平均的な魔術士1人分のため込んで置けるマナ分の魔石は約100万円ほどで売られている。

しかも魔石は基本使い捨てで、再充電をしても10%ほどしかため込んでおけないポンコツなので、使い終わったものが市場に流されるのだ。


そんなわけで宇宙でのマナ不足を打開するために夏子は魔石を用意していた。

夏子は小さなゲートを開いて直径数センチもないような深い紫色の宝石を取り出した、角度が変わるたびにキラキラしていて、たしかに見た目は美しいが、こんなものに高い金額を出すのは15歳の僕からすればあまり分からない。

ただ魔術士視点で見れば別だ、数メートル離れたこの距離でも、非常に強いマナを帯びていることはヒシヒシと伝わる、魔力を帯びた魔石は魔術士からしてみれば、サウナの乾いた息苦しさを一点に集めたような代物だ。

「魔石化アメジスト、1個300万よ」

「300万?こんな小指サイズでそんなにするのかよ!?」

「一応私の魔術で保管しているから、もっとたくさん出すこともできるけど、でもできればあまり使いたくないわね、一応赤字にはならない計算だけど、この船の防御魔術リソースとしてもう500万円分の魔石を消費してるんだから、あんまり使うと足が出るわよ。

あんたを連れてくのはマナの節約のためでもあるんだから、そこんところよろしくね。」


僕はサイコキネシス、パイロキネシスを得意とする物質魔術士なのだが、この特性を持っている魔術士は特にマナソースの生成や蓄積が得意な傾向がある、現代では確かに僕らのような火力特化な連中は、武力としては銃火器やミサイルのような現代兵器が、エネルギー効率面では火力発電所や原子力発電のような安定的で大量の生産(しかも魔術的にも電気のマナへの変換研究が進められている)といった具合に、科学技術での代替可能な分野が多い、しかし実際代替可能だからといって普通に生活しているだけで戦車や戦闘機、はたまた原発が歩いているようだと表現できる人間を下に見ている今の魔術学界には非常に失望を覚えてしまうのは僕だけなのだろうか。

普通に食って寝て散歩しているだけでニューヨークを更地にするだけの火力が出来上がるんだぞ、と。

ともかくそんなわけで夏子のマナの量を軽自動車くらいだとするなら僕はイージス艦くらいある、なので長距離のワープを行う時は協力をする必要があった。

地球から月までの384400kmを飛行するためにはワープのみでは無理だ、ワープは距離的にはそれほど効率の良い移動手段ではない。

より効率よく宇宙を飛行するためには重力の影響が弱いところまではワープでいった方がよい、衛星軌道である上空40000kmまではワープすれば初速度を少なく抑えてスタートさせることができ、残りの344400kmは船を加速させて航行すればよい、残り時間はあと78時間なので時速4500kmは出したい、宇宙での加速は抵抗がないため僕の魔術では圧倒的に加速減速をさせることができるのであまり心配はしていない、どちらかというと加速の加減失敗によってGの負荷がかかって機体、もしくは身体がバラバラになることの方が心配だが、その不安は魔術的な防御ができない朱さんの前では表に出さない方がいいだろう。

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