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中華マフィアとのアルバイト4

出発前に朱さん(グラサンの中華マフィアのおっさん)と報酬の話をした。

といっても大体方針はあらかじめ決まっているのだが


「本当に全額後払いでいいのかい?」

「ええ、魔術士とマグルでは圧倒的に戦力差がありますからね、戦艦と子猫よりもありますよ、

だから僕たちはその面で信頼をおいてもらえるように、全額後払いでいいということにしているんです。ちゃんと家に帰ってゆっくりソファで寛いでから次の日の振り込みでも結構ですよ。」

「ふーん、なるほど、甘く見えるほどやさしいな、

ただまあ、契約と支払い・・・その点に関しては、その点に関してだけは心配は不要さ——そういえば君にはまだこの印のもつ”能力”に関しては話していなかったね。」

「能力?仲間に対する絶対不可侵と仲間同士の位置がわかるっていう能力だけじゃないんですか?」

「もちろんそれだけじゃないよ、それはこの印のもつ”制約”と”副作用”の面だけでね、そっちの部分は今はスマホとかGPSがあるからね、それだけのための能力だったらすでに陳腐化しているよ、それにそれだけじゃあこの組がここまでやってこれはしなかったさ・・・夏子は知っていることだが、君にとって、ひいては今回のミッションにも必要な要素かもしれないから話しておこう、またこの”説明”もこの能力の制約の一つでもあるんだがね。」

そう語ると朱さんは赤く印の表れている左手を前に出した。


—————と朱さんの印に急激なマナが流れているのを感じだした、

印は青く光りだし―魔力特有の怪しい光を放ちだす


「安心して、それは無害なものよ」

僕が警戒度を上げたのを察知して夏子が優しい雰囲気で諭した



「エロイム エッサイム

エロイム エッサイム

いと暗き所におわす

黒き魂よ 我が声を聞き給え

我は黒き星のしもべ 契約の代行者

新たなる契約をいまここに結ばん」


―――気付かなかった、普段の状態では微量にしかマナを感じなかったため

全くの無警戒だったが、この印自体が悪魔との契約の証、そしておそらく金印は悪魔との古の契約によって得られたものなのだ、

悪魔との契約に魔術士のような多量のマナは必要ない、なぜなら魔力は”あちら側”からやってくるのだ、

ゆえに普通の人間でも使える

魔術士である以上悪魔と関わることは多い、それで分かったことなのだが、

悪魔というのはあくまで一つのシステムのような存在だった、ある意味では裁判所よりももっと人間味を感じさせない機械的な公平さを持っている。

悪魔は公平、悪魔は便利、そして悪魔は非常に危険である。

何が起きても悪いのは使った人間なのだ。



青く光っていた印から現れるように、空中に羊皮紙のようなものが浮かんだ

羊皮紙は契約書のようだった、羊皮紙にはミミズがのたうちまわったようなアルファベットもどきのようなものが書かれている、これは悪魔文字だ。

 悪魔の文字は鏡文字のラテン語だ、何事もさかさまに行う悪魔の慣習だとか、人間は悪魔に文字を習ったのだとか諸説あるが今となってはあまり定かではない。 悪魔と魔術の関係は(当然のことではあるが)深い、古い魔術書の多くも悪魔文字で書いてあるし、新たに悪魔と契約を結ぶ必要があった際に用いられるのも悪魔文字だ、ゆえに最低限の義務教育として、魔術士は鏡文字のラテン語は読めるようになっているのだ。



そこにはこう書いてあった

「魔術約款

契約の代行者 朱子清の名のもとに

大悪魔マモンが監督し以下の契約を結ぶ

以下の契約に背きしものは 大悪魔マモン、もしくはそれに委託を受けた業者ににより魂を回収し

以降魂は大悪魔マモンの管理下に置かれることとする」

――――以下書けそうなほどのスペースが空けられ、一番下には大悪魔マモンとサインが書いてあった。


つまりこの印を持つものは魔術的な契約を結ぶ”悪魔の代行”業をやっていたということだ。

「ま、これを出して契約の仲介業を行うのが俺たちの生業なのさ。契約書1枚成立するごとにマモンに2魔銀貨...今のレートだと約6万円相当を支払うって契約なんだ・・・と、つまりはその契約を確実にするための手数料みたいなもんだな、この契約書は完全にお互いが同意しないと契約できないようになっている、悪魔の契約なので裏があるのでは?と疑いたくなるが、悪魔の契約は文面以上の効力を持たないんだ、実際に悪魔が監視しているわけではなく、魔力を使った自己暗示みたいな術だから、絶対にお互いが正常な状態でないといけない、だから子供でも大統領でも大魔術士でも、どんな奴でも破れば100%死ぬことになるんだ。

まあ、見方を変えればやっていることはシンプルで、現代でいえば銀行員やら保険の営業みたいなものだし、現代においてこんなに真っ当な仕事はないと思うね。実際ただの契約の補強をするっていうシノギだけで組を維持してきたんだ、それだけ”絶対の契約”には価値があるんだろうね。」


魔術のいろはも知らない連中が悪魔の力を使うなんて・・・と反射的に感じたが、それは未熟なものという点において魔術士が持つ同族嫌悪というものだろう、魔道を歩むもの同士、外から見れば同じようなものだ。 それに、朱さんの考え方も一理ある、現代社会の仕事の7割くらいは手数料だの税金だの悪魔的なもので出来ている、悪魔が悪魔的な仕事をして何が悪いのだろうか?いや、悪魔だから悪いのだけれど、悪魔は大体一方的に人間の何らかのものを奪ったりはしない、ただ契約で財産や命を有利な条件でかすめ取っていくのだ、むしろ現代が悪魔たちに追いついてきたと言えるかもしれない。


「さて、この説明をしっかりするって部分もこの契約の”条件”なんだ。もちろん悪魔の代行者もルールに従えば契約は結べるぜ。

 せっかくだから能力で契約を補強しておこうか? とはいってもすでに夏子とは契約はすませているし、何でもかんでも契約で済ませるべきではないと個人的には思っている、信頼の揺らぎはミッションの行方も左右する、だろ? その辺は君の好みで決めていいよ、契約を結ぶ信頼もあるし、結ばない信頼もあると思うからさ」

「そうですね、結んでおきましょうか・・・ついでにその契約の能力の程度を調べておくのも知っておいたほうが要素かもしれませんからね。」


そうして僕は金印を手に入れることと朱さんの保護をすることに努めること

朱さんは金印を手に入れ無事に地球にたどりついた場合72時間以内に報酬を支払うことを契約した




そうこうしている間にすでにゲームの残り時間は80時間を切っていた

夏子の大量の荷物と資材がゲートから放り込まれてきたので、これをロケットの中に詰め込めば出発だ、精々宇宙で迷子にならないようにマナを研ぎ澄ませておこう。

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