94、おじさん。きっとお師さんって言いたいんです(´・ω・`)
はっはっはっ、気にするな。
「スライムじゃニャくて、その前に川から水を引く話からの方がよくニャいかニャ?」
「そうどすなぁ、ヴァフトンスライムが必要になってるんは、川から水を引っ張って来はるちゅうはなしからどすから…何故ヴァフトンスライムなんて危険なスライムが必要なんかちゅう話ん前に水を引っ張って来はる話からの方が分かり易いかもしれまへんね。」
「そうですか?それなら…。」
花音は収納から移動式黒板のような物を取り出す。
「カノちゃん、それは何ニャ?」
「黒板の代わりです、まだ書く物が作れてないので、一生懸命彫りました♪」
「黒板てぇのがよく分かんねぁが、この周辺の地図か?」
「そうです、簡単に彫ってますけど、ここが川で、ここが村になります。」
「カノンさん、その下の所々グネグネしたのは何ですか?」
「こっちは川から水を引くときの水路です。」
「水路ですか?」
「はい、村長から溜め池の失敗を聞きましたから、スライムが必要って話になったんですけど、先ずは川から村までの水路の話からしましょう。」
花音は黒板?の地図を指示しながら説明を始める。
「と、こんな風に川上から溝を掘って、村の中央に溜め池のようなものと井戸みたいに水を汲むことが出来る物を設置します。」
「ふむ…大雨の時の対策はどうするつもりなのかのぅ?」
「それはですね素人考えになりますが、川と同じぐらいの水路を作って、大雨の時とかに塞いでいる堰を上げることで水をそちらに流して対応してみようかと思ってます。」
「それで大丈夫なのかの?」
「正直分りません。」
「分からねぇって…。」
「私は大雨の時に川がどの程度氾濫するのか分かりません、分からないから…1つの川で氾濫するのなら2つにすればいいじゃない!っと思っただけです。」
「成程…実験・検証は狐人総出でやりまひょ。」
「本当ですか!?それは助かります♪」
「総出で検証せんといかんのかのぅ?」
「村長さんが思っているより、水って恐ろしいものですよ?実験・検証はやっておかないと、いざ!という時に堰が上がらないとかの何か不具合があって村が、人が流されたり、村が水浸しになりましたってことになったらどうするんですか?提案者としてはその辺りは出来る限りのことはしておきたいんです。」
「うむ…すまん、そうじゃな、やれることはしておいた方がいいのぅ。」
「それで地図の下の水路については?」
「これはさっき説明した川から掘った溝の断面図で分かりますか?」
「ええ、上の地図が上空からで、下がそれを横から見た感じなんですね。」
「はい♪」
「それで、そのUの字になってるのは何故ですか?」
「これは、村長さんから溜め池に魔物の一部らしきものとかゴミが溜まって失敗したと聞きましたから、」
「はい、あれは酷かった(´・ω・`)」
「そんなに酷かったんですか?」
「はい、臭いが…離れた場所に造ったのに村まで臭って来ましたから、溜め池の腐った水を処分するのは一種の拷問でしたよ(´・ω・`)」
「あぁ…まあ、そのことを聞いたんで、ゴミを処理するのがスライムとこのU字の水路です。」
「スライムは分かりますが、そのU字にする意味は何ですか?」
「軽いゴミは水に浮きますが、魔物の一部とかになると重いから水には浮かばずに沈むと思うんです。」
「そりゃそうだ、重ければ沈む…俺もそうだからな♪ガハハハッ。」
「そうですね…それでこのU字なら魔物の一部はUの字の底に溜まって、その先には進めない…。」
「成程…それでU字ですか。」
「はい、これを数か所に設置することで、村に水が流れてくる頃には綺麗な水になると考えたんです、そこにヴァフトンスライムも一緒にすれば完璧♪…だと思います。」
「さすがお師さんです。」
「「「…………。」」」
「………ヨギリんアウトです!」
「あうと?」
「この場合は失敗って意味です!折角みなさんが会議に集中して指摘してないのに自分から居場所をバラシてどうするんですか!!」
「あっ、つい、すいません(´・ω・`)」
「あ~これは全員があうとってやつだな…。」
「そうみたいだニャ(´・ω・`)キルト、カルト、クルト!ヨギリに引っ張られて気配が乱れたニャ!」
「「「すいません(´・ω・`)」」」
「言い訳をさせてもらえば、予想外過ぎてですね…。」
「クルトさん、その言い訳はダメです。偵察で予想外なんてあって当然です。」
「うっ…仰る通りです。」
「キルト、クルト、カルトの3人はお説教ニャ!ついでにヨギリも!言い訳したクルトは特別ニャ!」
「ゲッ…分かりました(´・ω・`)」
「はぁ~これで4人共2回目です、あと1回しかありませんから気を付けてください。それとヨギリさんの師匠として3人には謝罪します。弟子がご迷惑をかけました、すいません。」
花音は3人に向かって頭を下げ、謝罪された3人は驚いて一瞬困惑する。
「カノン殿に謝罪されることは何もありません、これは私が未熟な所為ですから…。」
「そうです。」「そうですわ。」
「そう言ってもらえると助かります。」
「お師さん…すいません、ごめんなさい(´・ω・`)」
「ヨギリん…今はまだいいです、こんな遊びのような感じですから…でも!これが敵地、人族の会議の偵察任務だった場合、ヨギリんの行動でキルトさん、クルトさん、カルトさんも一緒に、悪い言い方をすれば…ヨギリんの所為で3人が殺されてた可能性もあるんですよ。」
「ごめんなさい、ぐす…ごめんなさい、ごめんなさい…。」
「「「「…………。」」」」
「怒ってはないですから泣かないでください。あと1回です。キルトさん達は大丈夫ですね?」
「「「はい!」」」
「ヨギリんは無理そうだったら棄権してください、危険だと思ったら任務を途中で止める判断をすることも大切です。」
「ぐす…でぼ…。」
「いいですか…偵察は情報を手に入れることが任務ですけど、危険なのに無理をして敵に捕まることで逆にこちらの情報が相手に流れる可能性があります、ここまでは理解出来ましたか?」
ヨギリは頷くだけで返事は出来ない。
「はい♪敵の情報は大切です、大切ですが…こちらの情報を敵に渡さないことも相手の情報を得ることと同様に大切です、それよりも大切なのが命です。」
「いのじ…。」
「そうです、命を失うとやり直が出来ません、それに比べれば敵の情報が手に入らない、敵にこちらの情報が流れることなんて大した問題じゃないです。その程度ならまだやり直すこともできますよ♪」
「おぢさん…。」
「お師さんなんでしょうけど、おじさんって…(´・ω・`)、こほん、ヨギリんが未熟なのであれば、これから上達して行けばいいことです、それも命があれば可能なことなんですからね♪」
「はひ、ぞれがし、おぢさんのっでじになぜでよがあったでずー!うわぁぁ~ん。゜(゜´Д`゜)゜。」
「………もっと泣かれてしまいました(´・ω・`)」
「カノちゃんの弟子だからニャ、ヨギリも大泣きニャ♪」
「あはは、弟子は師匠に似るんだね♪」
「ちょ、大泣きは勘弁してくださいよ~(´・ω・`)」
「ガハハハッ、良い師匠が見つかったのも俺のお陰だな。」
「ゴルクさんがそれを言ったらダメです!」
「そうニャ!」「そうどすなぁ。」
「そうっす、ゴルク爺の所為なんっすから!」
「おぅ…すまねぇ…何でこんなに言われるんだ?娘っ子が来てから女共の結束が強くなり過ぎだ(´・ω・`)」
「ゴルクよ…諦めるのじゃな、わしなんてシナ婆さんに10年ぶりに説教されたんじゃぞ(´・ω・`)」
「2人の場合は自業自得です。」
「ヨギリん、大丈夫ですか?動けますか?」
「はひ…。」
「ん~、キルトさん…より女性のカルトさんの方がいいかな?カルトさんすいませんがヨギリんを外まで連れて行ってもらえますか?」
「ええ、分かりました…あ、あのカノン様。」
「様は止めてください、それで何ですか?」
「私、カノンさ…んがヨギリを諭した言葉に感動しました、是非…。」
「断ります!」
「まだ途中です…でもそれも良いです。」
「(あっ、この人ちょっと危ない人かも…。)今日は弟子入りしたい人が2人も…(。´・ω・)ん?自分から弟子入り希望した人が…いない?」
「自分は希望したっすよ?」
「いや、キンたんの場合、ヨギリんのことがなかったら言い出さなかったでしょ?」
「……そうっすね、ヨギリんの件がなかったら言ってないっすね。」
「ですよね?孫弟子は嫌だって言ってましたから。」
「そうっすね…孫弟子と姉弟子なら迷わず、姉弟子の方を取るっすね。」
「ですよね…あれ?今日弟子で大変だったのって…全部ゴルクさんの所為?」
「おい、俺は悪くねぇぞ!」
「…ゴルクの所為ニャね。」
「そうどすなぁ、ゴルクがヨギリの家に他ん人を住まわせておへんどしたらこないなことにはなってへんどすなぁ。」
「だよね~、ゴルクさんの所為だよね。」
「う…俺の所為じゃ…。」
「あ、あの…。」
「あっ、すいません…何でしたっけ(。´・ω・)?」
「あの、弟子にして欲しいとかではなくてですね、是非お姉さまと呼ばせて欲しいんです!」
「嫌です。」
「くゅ…即答…背筋がゾクゾクします♡」
「あ~カルトさんって、Sかと思ったらMの人でしたか…(´・ω・`)」
さて…カルトも変な方向に向かってます(´・ω・`)




