9、魔王の慟哭。いや…泣きました、大泣きしましたよ。(´Д`。)グスン
狐人は何故この少女が大声で叫んでいるのか分からない。
狐人には黒い犬の言葉はグルルルルゥ~としか聞こえないから。
黒い犬は何故この少女が大声で叫んでいるのか分からない。
黒い犬には少女が何を言ってるのか分からない、少女の言葉は分かるのだが…言葉の意味が分からない。
花音は文句を言いながら黒い犬へと近づく
「くっ殺は女エルフや女騎士のセリフでしょ!!」
「ぐっ、意味が分からん、分からんがすまなかった。」
黒い犬は花音の剣幕に意味も分からずとりあえず謝る
「うん。」
すぅ~はぁ~×3、と花音は深呼吸して…。
「こちらこそごめんなさい、あまりのショックに怒鳴ってしまって。」
「しかし、お主は何者だ?獣人族のような姿だが…クンクン…人族か?人族の身で我が言葉を解するとは。」
いやーー!匂いを嗅がないでこの世界に来てからまだお風呂入ってないんだからー!これでも乙女なんですよ?
と思っても口には出せない。
「どうやら落ち着いたみたいじゃな、私は狐人族のスダレと言う助けてくれて感謝するのじゃ。
…見たところ、猫人族の忌み子のようじゃが…」
スダレは花音に近づきながら礼を述べたが、振り返った花音の顔を見て後方へ飛び手に持っていた剣を向ける。
「貴様は何者なのじゃ!猫人族の忌み子のような恰好をして!私を謀るつもりだったのか!」
「ちょ、ちょっとまって、謀るってそんなことしません!」
ねぇねぇナビちゃん、さっきからスダレ?さんが猫人族の忌み子って言ってるんだけど、忌み子って何?
(花音様の姿ような尻尾の生えてる獣人族を忌み子と言います。この世界の獣人族には普通尻尾がありません。)
え!?尻尾が…ない!尻尾が…無い、しっぽが…ない、ない、ない・・・・・
「うぐ…う……うぁぁぁ~ん。」
花音はくっ殺以上のショックに膝から崩れ落ち大泣きしだした。
「な、なんなのじゃ?いきなり泣き出しおって。」
スダレは警戒はしていても、さすがに目の前で少女が大泣きしてるとどうしたらいいのか困惑してしまう。
「なになに?なんなの?この状況、ダークネスウルフが大人しく座って、スダレがオロオロして、猫人族の子が大泣きしてる。」
気を失っていた犬人族の武闘家が目を覚まし、目の前の状況に困惑する。
「ダメだよスダレ、こんな小さな女の子をいじめちゃ。」
「しかしじゃなナンよ、この娘、猫人族の忌み子の恰好で私達に近づいてきたのじゃぞ?どのような意図があるのかは分からんが、警戒はするじゃろ?」
「まぁ~そう言う理由なら仕方ないのかな?」
ナンと呼ばれた犬人族は花音の前で屈み、抱きしめながら頭を撫でる。
「よし、よ~し、大丈夫だよ~♪」
「ぐす、うぐ・・・」
花音の手がナンの尻尾に触れる、触れた尻尾を確認して花音はまた泣き出す。
「うぁぁぁ~ん、じっぽあでゅよ~じっぽ、よがっだ~。」
「う、うん、尻尾ありますよ~ありますからね~…。」
ナンもスダレも村のみんなも尻尾があることで一族の集落から追い出された、尻尾があることを忌避されることはあっても、喜ばれることがあるとは夢にも思ってなかったので更に困惑する。
「うん・・・ぐす・・・ぐ・・・」
「なんなのじゃ?この小娘は忌み子大好きっ子か?」
「ぐす…しっぼぼずき…モブボフざいごう。」
「うん?うん、そ、そうだね~、よし、よし。」
「意味が分からんのじゃ。」
ダークネスウルフは花音に近づき花音の頭を尻尾でぺちぺちと叩く。
ズダレとナンも花音の大泣きにダークネスウルフという脅威が近くにいることをすっかり忘れ、ダークネスウルフが近づいたことで警戒をするが、ダークネスウルフの行動をみて警戒を緩める。
ナンは抱きしめていた花音をそ~っと放して少し下がる。
花音はナンが放れたので頭の上でぺちぺちしているダークネスウルフの尻尾を顔へと移動させてダークネスウルフの尻尾に顔埋める。
「モブボフ…でぼぐざい」
それは当然である、ダークネスウルフは魔物で地球のペットではない、水浴びぐらいはするがシャンプーなどで体を洗うことはない、というかこの世界に現在シャンプー・石鹸などない!今のところ。
花音はしばらくダークネスウルフの尻尾を堪能し、泣き止み落ち着きを取り戻した。
ちなみにもう一人の犬人族はまだ気を失っている…。
「すぅ~はぁ~、ごめんなさい、ありがとうございました。普通の獣人族に尻尾が無いって聞いてあまりの悲しさに我を忘れました。」
「ん?聞いて?とは誰からじゃ?」
「え?あっ、あ、ある人から、でもスダレさん達を見て尻尾があったので嬉しくて…つい」
花音は悲しくて泣いたのではなく、嬉しくて泣いた方に軌道修正しようとしたが上手く修正できそうにない。
「まぁいいじゃんスダレ、尻尾があって喜ばれるなんて私初めてだよ♪」
「それは…そうなのじゃが……」
ナイスフォローですナン…さん?。
「と、とりあえず、私の方の説明からします。私は川に向かってる途中でスダレさんと黒い犬…さんとの」
「我は犬などではない、狼だ!犬などと一緒にされては困る。」
えっ⁉狼なの?尻尾をゆらゆらさせながらお座りしてる姿は犬にしか見えないんですけど。
「あ、え~っと…狼さん………立ち話もなんですから椅子でも作りましょうか?」
「私はこのままでいいのじゃ。」
「私はそのまま座るから椅子なんていいよ、村に椅子なんてないし逆に疲れそうだよ。」
「我もいらん。」
「そうですか?それじゃ、ちょっと私の分だけでも椅子を作らせてもらいますね。」
花音は両手を地面につけて創造錬金で椅子を作る。
「ふむ、土魔法を使えるのか、なかなかの速度と出来栄えなのじゃ。」
え?土魔法?ナビちゃん土魔法で椅子とか作れるの?
(はい、花音様が創造された亜空間付トイレ以外は素材が土に限定されますが作れます。)
「はい…土魔法…使えます。」
「「「?」」」
1匹と2人は花音の反応に首をかしげる。
「え~っと、説明の前に仕切り直しで自己紹介から始めましょうか。」
あれですね、え?あれじゃ分からない?ですよね~(´・ω・`)
獣人は耳としっぽがあってこそですよね、どちらか片方って悲しいですよね?