58、酒。危険物だったなんて知らなかったんです(´・ω・`)
娯楽の定番リバーシ。
コンコン、コンコンコン、コンと扉がノックされる。
「は~い、はい。ちょっと待ってくださいね~。」
花音は扉の前まで急いで行く。
「どちら様ですか?」
「自分っす、色々交換してきたっすよ。」
「わーもいるニャ。」
花音は扉を開ける。
「やっぱりシナ婆さんでしたか、でも何で一緒なんですか?」
「わーが一緒だとダメだったかニャ?」
「いや、別にダメって訳じゃないんですけど、シナ婆さんは忙しいんじゃないんですか?」
「忙しいニャ。でもお昼を作るとキンから聞いたニャ、カノちゃんがどんな料理を作るのか見に来ただけニャ。」
花音は2人を家に上げる。
「料理って言っても、調味料に何があるか分かりませんし、そんな大した物は作れませんよ?」
「それでも良いニャ、わーは旅をしてたがニャ旅の楽しみの1つは料理ニャ。この村ではもう珍しい料理はないニャ。」
「珍しいって言っても、イノシシの肉を使うだけで、あとは焼くか、煮るかぐらいですよ。」
「いいニャ、いいニャ。それでもいいニャ。」
「シナ婆さんがそれでいいなら私は構いませんけど…。」
「タイラントボアの肉なんて滅多に食べれないニャ。(じゅるり)」
あぁ…食べたいんだ。
「色々交換して来たっすよ♪」
「見せてもらっていいですか?」
「了解っす。」
キンはニンゾンから調味料までを机の上に置いていく。
「ギルさんとギランのじっちゃんから貰って来たっす。」
「ギルさんとギランさんからですか。」
「ワイバーンの対価で提供してくれたっす、量は少ないっすけど(´・ω・`)」
「そうなんですね、この白い粉…なんか怪しい薬みたいな言い方です(´・ω・`)」
「薬じゃないっすよ、塩っすよ?」
「分かってるんですよ?分かってるんですけど…これが塩で、あれ?こっちにも白い…調味料が。」
花音は置かれた調味料を味見していく。
「あ♪砂糖だ♡」
花音は小躍りをして喜びを表す。
「カノちゃんはえらく嬉しそうだニャ。」
「そうみたいなのじゃ…くっ負けた(´・ω・`)」
シナ婆さんとスダレはリバーシをしながら様子を見ている。
「これはカノちゃんが作ったニャ?」
「はい、カノンがこの村には娯楽が少ないという話から作りました。」
「そうかニャ…。」
「スダレは素直過ぎるニャ。この角に自分の駒…これ駒かニャ?」
「さぁ?どうなんでしょうか。」
「まぁいいニャ、相手を誘導して角に自分の駒を置けるようにすればいい勝負にニャるニャ。」
スダレは自分の敗北の歴史…を思い返して考える。
「お、おぉぉぉ!シナ婆さん、助言ありがとうございます。」
「別にいいニャ、しかしスダレ…。」
「なんですか?」
「その負けず嫌いを改めニャいと、子供たちと仲良くできニャいニャよ?」
「うっ…分かってはおるのじゃが、分かってはいるんですが…なかなかどうにも…。」
「こっちの黒いのは…胡椒だね♪キンさんこの黒い液体とこの金色っぽい液体に黄色い液体?は何ですか?」
「この黒いのはギランのじっちゃんから分捕ったギランのじっちゃん特製のタレっす。金色っぽいのは油っす、黄色いのは卵を溶いたやつっす。」
「タレと油と卵…卵を溶いたのって調味料なんですか?」
「違うっすよ?偶々ギルさんが作ってたのを分けてもらったっす。」
「そうなんですか…で、この黒いギランさんのタレが…あ♡ソース!ソースですよコレ♪」
「カノンちゃんが喜んでくれて嬉しいっす♪ギランのじっちゃんとギルさんに無理を言った甲斐があったっす。」
「そうなんですか?ありがとうございます。ここにある調味料は手に入り易いんですか?」
「ちょっと難いっすね(´・ω・`)塩と胡椒はこの村はそんなに人がいないんで大量には作ってないっす。砂糖はギランのじっちゃんの畑で少ししか作られてないっすから大量には手に入らないっす。ギランのじっちゃん特製のタレは…分かんないっす(´・ω・`)」
「塩と胡椒は作ろうと思えば大量に作れるんですか?」
「そうっすね、塩は岩塩っすから作ろうと思えば作れるっす。胡椒はこの森に群生してる場所があるっすから、これも作ろうと思えば作れるっすね。」
「砂糖はどうですか?」
「砂糖はダイゴンとか言うのを使うらしいっすけど…ギランのじっちゃんの畑にしかないっす。」
「村の畑で育てないんですか?」
「育てたことがあったらしいっすけど、なんか魔物が集まって来るとかですぐに中止になったっす。」
「魔物か~それは私には分かりませんね。でも育てようと思えば育てられるってことですね♪」
「魔物の問題がないならできるっすね。ギランのじっちゃんの畑も少ししか育ててないっすけどビックアントとかウスアメとかが来るらしいっすよ?」
アントは蟻だろうけど…
「ウスアメって何ですか?」
「ウスアメはこれぐらいの大きさで羽が生えてて、針で攻撃して来る昆虫系の魔物っす。」
キンは大体30cmほどの大きさを手で表現する。
針で攻撃…蜂かな?30cmの蜂…嫌です!嫌いです!
「ビ、ビックアントはどれぐらいの大きさなんですか?」
「ウスアメと同じぐらいっすよ。ただ…数が10匹~30匹で半端ないっす
(´・ω・`)」
それも想像するだけで…((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル
と、とりあえず…村には塩に胡椒、砂糖にソースがあって、大豆を育てるから…醤油と味噌は作れるかな?みりんは…お酒が必要だね。
あれ?この村でお酒を見てない…あれ(。´・ω・)?
お酒は日本でも結構昔からあるのに、この村で見てない…。
「キンさん、この村でお酒は造ってないんですか?」
「おさけっすか?」
「はい、お酒です。」
「カノちゃん。」
「なんですか?」
「この村でお酒は禁止ニャ。」
「え!?そうなんですか。」
「そうニャ、お酒は危険ニャ。」
「危険…ですか?」
「獣人はニャお酒で酔っ払うと本能が表に出て、喧嘩と繁殖にと本能の赴くままになってしまうニャ。」
「喧嘩と繁殖…。」
「そうニャ、だから禁止されて造ってニャいニャ。持ち込みも禁止ニャ。」
「料理に使うぐらいでもダメなんですか?」
「それぐらいは本当は良いがニャ…無理ニャ。」
「無理なんですか?」
「何故か獣人はお酒が大好きな奴らがいるニャ、隠しても匂いで場所が分かってしまうニャ。それで昔々惨事が起こったらしいニャ。」
「惨事ですか…。」
「そうらしいニャ、だからこの村だけでなく獣人族全体でお酒は持たず・造らず・持ち込ませずニャ。」
なんですか!?お酒は核かなんかですか!
「お酒は存在するんですよね?」
「存在はするニャ、獣人族以外にはお酒は存在してるニャ。」
「そうですか…みりんは作れないかな?」
「みりんかニャ?」「みりんっすか?」
「みりんです。料理を作るときに使うんですけどね。」
「それはお酒が必要ニャのかニャ?」
「たぶん…お酒で造られてたはずです。私が覚えてるのはお酒と砂糖を使った造り方なんですけど…お酒が使えそうにないですからね。今はいいです、醤油がないですから。」
「今度は醤油かニャ?」「醤油っすか?」
「見た目はギランさんのタレと似た感じで黒いんですけど…味が全然違うんです。大豆を使って造れると思うんですけどね…。」
「その醤油はカノちゃんは造れるのかニャ?」
「うろ覚えですけど…1回造ったことがあるんですよ。」
「大豆があれば造れるのかニャ?」
「絶対に造れるって訳じゃぁないですけど…やってみないことには何とも…。それに道具も作らないといけないですし。」
「大豆ニャらこの村でも育ててるニャ、今日の会議で提案してみるかニャ…。」
「いや、別にそこまでしなくても。」
「これは食の発展の為ニャ!変化のない味にわーは飽きてきたニャ、可能性があるニャら試してみるニャ!」
「そ、そうです…ね?」
「そうっすね。」「そうじゃな。」
あれ?満場一致ですか(´・ω・`)
「それにこの村しか知らニャい子供たちに色々ニャ味や物を知ってもらいたいニャ。」
「そう…っすね。」「…そうじゃな。」
「分かりました。やってみましょう♪」
お酒での失敗なんてよくあることです(´・ω・`)
やることが増えるのに、話が進まないですね(´・ω・`)




