53、解放。だが断る!
電流目覚ましで朝の目覚めはバッチリ(´・ω・`)
扉をコン、コンとノックされる音がする。
「来たようだニャ。」
「カノンちゃんはどうするんっすか?」
「どうするって、何がですか?」
「キルのことっすよ。」
「ん~断りますよ♪」
「ニャ!?断るのかニャ!」
「はい♪2回は断ります。3回目で許します。」
「許すつもりなら、何でそんな面倒なことをするっすか?」
「さぁ?何かで読んだ話で2回断って、3回目で了承する話があったんで真似しようかと。」
「そんな話があるんっすか…迷惑な話っすね。」
シナ婆さんもキンの言葉に頷いている。
「あれ?こっちにはそんな習慣ないんですか?」
「ないっすよ。」「ないニャ。」
「そうですか…それなら断るのは1回目で止めます(´・ω・`)」
「1回もどうかと思うがニャ…カノちゃんの好きにしたらいいニャ。」
「そうっすね。断られた時の村長の顔が楽しみっす♪」
コン、コンと再び扉がノックされる。
「はい、はい。ちょっと待てくださいね。どちら様ですか~?」
扉を開き花音の姿を確認した村長は
「カノン殿…この度はキルトが失礼を」
「村長さんでしたか、中へどうぞ。」
「し…う、うむ…失礼するかのぅ。」
花音は村長を家の中へ案内する。
「どうぞ、そちらの椅子に座ってください、これはレモネを絞った飲み物です。」
「うむ、ありがとうのぅ。」
「ちょうどよかった。村長さんに話たいことがあったんですよ♪」
「な、なにかのぅ?」
「この村に水を引っ張って来てもいいですか?」
村長はキルトのことで何か攻められると思って身構えていたが、花音から言われたのは水の事だった。
「み、水?」
「ミミズじゃないですよ、水です。」
「水をどうすると言ったのかのぅ?」
「川から村まで水を引っ張って来ていいですか?って聞いたんですけど…。」
「川から…のぅ、シナ婆さん。」
「何ニャ?」
「昔、わしらも川から水を引っ張って来れないか検討して試してみたことがあったと思うのだがのぅ。」
「あったニャ…失敗したけどニャ。」
「失敗したんですか?」
「失敗したニャ、掘ってる間に水が流れて来て全て流されて失敗したニャ。」
「次は村の近くに溜め池を作ってやってみたがのぅ、泥とか石、ゴミ、魔物の死体の一部らしきものが溜まって失敗したのぅ。」
「流されたのは…まあいいとして、溜め池は泥、石、ゴミ、魔物の死体の一部らしきもの…が溜まったって…水と一緒に流れて来たんですかね?」
「おそらくのぅ。」
「その辺も考えないといけないかな?取り敢えずですね、川からこの村に向けて溝を作って行って、所々Uの字に掘り下げてゴミとかを排除していこうかと思ってます。そして水を浄化するのにスライムを使おうかと…。」
「スライムを?」
「カノちゃんは水中で生活しているヴァフトンスライムを使うつもりニャ。」
「な、なんじゃと!危険じゃ!ダメじゃ!許可できん!」
「落ち着くニャ。」
「落ち着ける訳がない!」
「カンダチ!落ち着くニャ!」
「うっ…うむ…すまんかったのぅ。」
「そのスライムってそんなに危険なんですか?」
「カノンちゃんは知らないで使おうとしてったっすか?」
「スライムで浄化するなら水中で生きられないと意味がないですから、そのスライムを選んだだけなんですけど(´・ω・`)」
「ヴァフトンスライムはニャ、陸の上ニャらそこまで危険じゃニャいニャ。ただし、水中だとかなり危険ニャ、わーでも死ぬニャ。」
「それなら…止めた方がいいですかね(´・ω・`)」
「カノン殿はヴァフトンスライムをどう制御するつもりじゃったのかのぅ?」
「従魔にして浄化作業をしてもらおうかと思ってたんですけど…。」
「従魔かのぅ………従魔にして村から離れた場所でなら…一応許可は出せるかもしれんがのぅ。代表会議で検討せんとのぅ、ここで直ぐに許可は出せんのぅ。」
「それに従魔にして、もしカノン殿に万一の事があった場合も考えんとのぅ。」
「カノンちゃんに万が一はないっすよ♪」
「キンよ…無いと思うても、対策は考えとかんといかんのじゃ。わしの立場としてはのぅ。」
「そうニャね。」
「そうっすか(´・ω・`)」
「そうですね。弱点とかないんですか?」
「火の耐性があるニャ、水にも強いニャ、風や土は普通に効くけどニャ…弱点らしい弱点はニャいニャ。しいて言えば、陸に上げるぐらいかニャ?」
ナビちゃ~んヘルプ!
(案は2つです。)
反応が早いね♪って2つもあるの!?
(はい、1つ目の案は従魔権限の委任です。)
権限の委任…なんとなく分かるけど、出来るの?
(はい、従魔の同意が必要になりますが、花音様以外にも主権限を行使することが出来るようにすることが出来ます。)
へぇ~、2つ目は?
(2つ目の案は花音様がこの件で避けられた創造錬金でスライムを捕縛、あるいは消滅させる物を創造されるかです。)
成程ね~最初の案で上手くいけばいいけど…一応私の我儘だから2つ目の案も用意しとこうかな(´・ω・`)
これは色々面倒だからごく一部には私が魔王だって明かした方がいいかな?
ん~どうしよう……ん~まぁいいか、話そう。最悪サヨナラすればいっか。
(いいんですか?)
こればかりはしょうがないよ(´・ω・`)このままだと動き難いしね…。
「村長さん。」
「なんじゃのぅ?」
「代表会議っていつ開くんですか?」
「普通なら月に一回じゃのぅ。この前のような緊急の場合は直ぐ開くがのぅ。」
「それなら今日開いてもらえますか?」
「なっ!?…緊急な話かのぅ?」
「そうじゃないんですけど、この件と私についても少し話しておこうかと思いまして。」
「カノちゃんについて…かニャ。」
「うむ…分かった。今日この前と同じ時間で開くように手配しよう。」
「お願いします。メンバーは…前回と同じ人たちでお願いします。」
「分かった。シナ婆さんは問題ないかのぅ?」
「わーは問題ニャいニャ。」
「カノンちゃん、自分たちもっすか?」
「はい。キンさんたちも出来れば出席してください。」
「自分たちもっすか…分かったっす。」
「ギランは問題ないじゃろうが、シグレとゴルクが問題じゃのぅ…。」
「シグレさんとゴルクさんが問題なんですか?」
「シグレはこう連続じゃと家から出て来るかが問題じゃのぅ、ゴルクは狩りに出ておるから連絡が付くかの問題じゃのぅ。」
「シグレさんはあれですけど、ゴルクさんは狩りに出てるんですか!?昨日の手合わせしたばかりなのに?」
「カノちゃん…ゴルクは昨日手合わせで負けたから狩りに出てるニャ。」
「そうなんですか?」
「ゴルク爺はカノンちゃんに負けた鬱憤晴らしに狩りに行ってるんっすよ。」
「はぁ~元気ですね(´・ω・`)」
「そうじゃのぅ。」「そうニャね。」「そうっすね。」
「さて、わしは戻って会議の手配をするかのぅ。レモネ美味しかったありがとうのぅ。」
そう言って村長は席を立って帰って行く。
「…あれ?村長さんって何しに来たんでしたっけ?」
「「………。」」
「あっ!キルを迎えに来たんじゃなかったんっすかね。」
「カノちゃんの話で驚き過ぎて忘れてたニャ。」
「そうなんですかね…キルトさんに悪いことしましたね(´・ω・`)」
「会議の手配にはキルトも使うニャ、気が付いてそのうち戻って来るニャ。」
「そうですか、お代わり要りますか?」
「欲しいニャ♪」「欲しいっす♪」
「あい、ちょっと待ってくださいね。」
花音のレモネジュースの作り方。
まず、レモネを適当な、大体半分になるように引き千切ります。
次に握り潰して果汁を絞ります…。
「お待たせしました。」
「ありがとニャ♪」「いただくっす。」
コンコン、コンと扉がノックされる。
「村長さんが戻って来たのかな?は~い。」
花音は扉を開ける。
「え!?ど、どうしたんですか?村長さん」
村長は土下座していた。
「カノン殿、何度も伺ってすまん。キルトを解放して欲しいのじゃが。」
「お断りします。」
「………え?」
最初に来たときは断られる可能性を考えていたが、2度目のときは考えていなかったのでポカーンと何と言われたのか理解出来ない村長がそこに土下座していた…。
もう予告はしませんよ。思うように進んでくれないですから(´・ω・`)




