35、会議終了。いや、ま~だだよ♪
キンの発言で会議終了?の雰囲気になる。
「終わった…のかの?」
「終わったんじゃねぇか?」
「終わってまへんよ、肝心な話がまだどす。」
「そうニャ、ダークネスウルフの件がまだニャ。」
「おぉぉ、そうじゃった、そうじゃったのう。」
「ダークネスウルフを嗾けられたという話じゃったの。」
「そうどす。」
「そうニャ。」
「そちらが本題であろう。」
「ダークネスウルフなんざぁ俺1人でも倒せるぞ?」
「うちの弟子がやられたんやから強い個体なんでしょ?」
「3人共やられたニャ、ゴルクでも1人じゃ無理ニャよ。」
「そうじゃの…キンはどう感じた?」
「そうっすね、師匠とゴルク爺が一緒に戦ってなんとかって感じっすかね?」
「ば、バカ野郎!俺がギルルドと共闘なんざする訳ねぇだろ!」
「自分は野郎じゃないっすよ…まあそうっすね、共闘しないと1人じゃ無理っすね。」
「そこまでなのか?」
「ガルドラさんは置いといてですね。」
「ガルドラとはダークネスウルフの名前じゃったのぅ。」
「はい、ガルドラさんが言うにはどっちを嵌めたのか分からないって言ってましたけど…心当たりはあるんですか?」
「心当たりと言われてものう…あると言えばあるし、ない…とは言えんのぅ…。」
「ないって言えないんですか…。」
「うちらはないと言いたいんどすけどなぁ…。」
「そうニャ、勝手に忌避されるからニャ、ニャいとは言えニャいニャ。」
他の全員が頷いている。
「そうですか…なんで忌避されるんでしょうね?」
「こればかりはサッパリ分からんのぅ…。」
「ほしてうちらはお子たちも作れへん。」
「え?子供いましたよ?」
「あ、あぁ~何と説明すればよいかの…カノン殿はどこまでこの村のことを聞いておる?」
「狐人、犬人、猫人でこの村を作って、あとから猿人が合流したって程度しか、聞いてないです。」
「ふむ、まず…尻尾付の獣人は他の獣人や同族からも忌避される。
尻尾付で産まれた瞬間に殺されておった時代があるそうじゃ…、ここに偶然、偶々尻尾付でも殺されずに生き残った初代様たちが力を合わせてこの村を作った。
何故殺されなかったかの理由はもう誰にも分からんのじゃが…。」
「理由が分かりませんか…。」
「こうして出来た村に忌み子を集めようと何とか交渉したが無理じゃったらしいの、そこで交渉ではなく立札をあちらこちらに立てて回ったらしい。
その結果、自分の子を殺したくないと思う者たちがこの村に尻尾付の赤子を連れて来たり、捨てて行ったりしておる。
そんな中でも、最初はこの村でも普通に子供を産んでおったのじゃがのぅ…忌み子同士でも産まれてくる子が尻尾付とは限らん、普通の獣人で産まれることもあったんじゃ。」
「それじゃ…ダメだったんですか?」
「うむ、ダメじゃったらしい。普通の獣人に生まれた子は尻尾付の親を忌避したそうでのぅ…それでも自分たちの子だからと育てたのじゃが…。
無理じゃったらしい、ある程度育ったその子供は親を殺して行方不明になったらしい…と聞いておるのぅ。
それだけならまだ子を産んでおったんじゃが、普通の獣人で産まれた子が全部似た状況になったらしいからこの村では子は産まなくなったのじゃ。」
「そこまでするんですね。」
「正直、カノン殿がおかしいのじゃ、ここまで忌み子に普通に接することができるのは忌み子以外では初めてじゃからのぅ。」
「そうなんですか?」
「そうニャ、だからみんニャ警戒してたニャ…嬢ちゃんが大泣きするまではニャ…。」
「あれには、うちも驚きやったなぁ。」
「同じく。」
「俺たちゃぁ狩りに行ってていなかったからな、戻ったらシナロナがそこの娘っ子を受け入れたつぅ話を聞いて、そっちの方がビックリだったぞ。」
「大泣きの話はもういいですよ。嵌められる原因は他に何かないですかね?」
各自が心当たりについて考えだす。
ナビちゃんや。
(なんでしょうか?花音様。)
これはどういうことなのかな?
(これ?とはなんですか?)
忌み子と普通の獣人のことです!何故そこまで忌避されるの?
(その件ですか、この世界が出来た当初は獣人に尻尾は付いてましたが、現在は獣人と言えば尻尾がないのが常識になってます。)
え?尻尾付いてたの⁈じゃあ、なんで今は付いてないのが普通なの!カムバック尻尾!
(もう忘れ去られ、何も証明できる物が残ってませんし、長寿とされるエルフやドラゴンですらその当時を知る者がいないぐらい昔に獣人族の間で大規模な戦争がありました。)
大規模な戦争…尻尾付と尻尾無しでかな?
(はい、その当時は現在とは逆の状況で尻尾無しが忌避されていました、なので争いが起こしました。
その戦争で尻尾無しが勝利し立場が逆転、時が経つにつれて尻尾のある獣人の方が忌避されるようになりました。)
でもそれだけだったら忌避されるだけで産まれた子を殺すまではないと思うんだけど?
(これは一種の呪いですね、同族嫌悪から呪いへ変化したのです。尻尾無しは尻尾付を同族嫌悪から嫌い、避けました。
自分たちが力で勝ち取ったと分かってますから、いつ自分たちが逆の立場になるのかを恐れながら。
それが長い時間をかけて呪へと変化します、尻尾付は無条件で忌避される呪いへと、その辺りから尻尾付が産まれ難くなってます。)
うわ…嫌な話ですよ…あれ?それじゃあ、獣人はともかく人族とかの他の種族はどうして忌避するの?
(そちらは長い歴史によって刷り込まれた思想と先程話した呪いの為です。)
あぁ~納得。宗教戦争なんかはそうだもんね。発祥は同じはずなのに争ったりするからね、不思議だね。
(それは分かりませんが、尻尾付は忌避する対象であるという考えが長い間、他の種族に刷り込まれます、これに呪いの効果が上乗せされた結果が現状になります。)
そっか…その呪は解除できないかな?
(無理ではないですが、おそらくルナリア様でも解除は難しい呪へと変化してます。
出来ても呪いの効果を抑える程度が限界だと思いますし、抑えられるとしても若干の効果は残ると思います。)
そっか、そっか、可能性はあるんだね♪ならあとはやってみるだけだね。
ありがとうナビちゃん。
「ということで、」
「「「「?????」」」
「あっ、すいません、独り言です。」
「ふむ…とりあえず、わしらの考えから言っておこうかの、わしらとしては忌避される以外に考えられるのは、初代様からこの村に保管されとると云われる宝珠が原因かもしれぬということぐらいしか思いつかんかった。」
「宝珠ですか?」
「うむ、宝珠じゃ、初代様の代からあるらしいのじゃが…大切に保管しとってのぅ、もう誰も何の宝珠なのか何処に保管されとるのか分からんのじゃ。」
「宝珠なんですよね?なのに何も分からないって…。」
「これはには理由があっての、宝珠に関しては代々村長にのみ口伝で伝えられとったそうなのじゃが…2代目の村長になるがの、先程の話にあった普通の獣人に産まれた自分の子に殺された為に宝珠に関しての情報が一切無くなってしもうた。」
「あぁ、口伝ですか…何処にあるかの見当もないんですか?」
「おそらく村長の家の何処かにあるかもしれんがのぅ、サッパリ分からんのう。」
「うちらも村長ん家以外には皆目見当もつかんどす。」
「そうだニャ、それ以外はこの村で宝珠ニャんて物を隠せるところはないニャ。」
「同意ですな。」
「俺らは途中からの合流だからなぁ、全然わかんねぇ。」
「おそらく魔術で隠蔽されてるニャ、この村に居る村人でそれを見付けられるのはいニャいニャ。」
「シナ婆さんとシグレさんは魔法と魔術に詳しいって聞いたんですけど…お二人でもですか?」
「わーも含めていニャいニャ。」
「そやね。」
「そうですか…相手の狙いが全然分かりませんね…唯一の可能性の宝珠の有無も不明。
単になんとなく嫌いってだけでガルドラさんを嗾けられたんなら、対応も考えられませんね…。」
「なんとなく嫌いって…まあ、そうじゃの、忌避される原因も分からんからのぅ…。」
会議と言っても対策も対応も何も出来ない状況で時間だけが静かに過ぎていく…。
次で会議が終了です。説明回に入ると思うのですけど…もしかしたら説明回の投稿は少し時間が空くかもしれません、その時はあとがきか、活動報告で連絡します。




