表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私、魔王になりました(;´・ω・)  作者: 華丸chan
第二章
33/183

33、魔王は宙を舞う。いや、吹き飛ばされただけです。



花音の体はこの程度では問題がない。

ないが…体重が軽い…キンが支える力を弱めたことで微妙な均衡を保っていた状態が崩れ、花音は風圧に吹き飛ばされてしまう。



花音は全裸で宙を舞う。



「あーれ~~。」


「え?あれ?カノンちゃん⁉」

「……。」



スダレはしばらくその様子をポカーンと見ていたが、慌てて術を解除する。

解除したあとにドスンと花音が地面に落ちる。



「あいたたた…。」


「大丈夫っすか?カノンちゃん!ごめんっす力を弱めてしまったっす。」


「大丈夫です、だいじょ~ぶ。」


「すまん、カノン。術が強すぎたのじゃ…。」


「大丈夫です、魔法の国には行きませんでしたから。」


「魔法の国?…いや、すまん、悪かったのじゃ。」


「大丈夫ですって、体も乾いたんで服、着ましょうよ。」


「そうっすね、服着て会議に行くっすか。」



花音は服を着ながら




ナビちゃん魔力はどれぐらい回復してる?


(32%です。)


あれ?減ってる⁈


(壁とキャットタワーなる物を創造されましたから…硬化も付与して…トイレの分は既に回復してます。)


ありがとう、これはまだ杖を持っとかないとだね…。




「すいません、まだ杖を持つ必要があるんで…どちらかスズをお願いできませんか?」


「必要?杖を持つことが?」


「やっぱりさっきので怪我したっすか?」


「どういう意味なのじゃ?」


「カノンちゃんの杖は回復力向上の効果があるらしいっすよ。」


「ただの木の杖と思っておったが、そんなに凄い杖だったとは…もしかしてさっきので怪我を?」


「吹き飛ばされたのは関係ないですよ、本当に…。

この杖、回復力向上と魔力回復向上も付与されてるんです、壁とか作ったんで魔力の方の回復を早める為に持っておきたいだけです。」


「……凄い杖じゃの。」

「凄い杖っすね。」



「スダレがスズちゃん抱えるっすか?」


「いや私は…。」


「冗談っすよ♪引き続き自分がスズちゃんを抱えるっすから。」


「キンさん、本当にすいません、お願いします。」


「この壁どうするっすか?」


「これは元の土に戻します。」


「勿体ないっすね、秘密基地みたいになんかできないっすかね?」


「こんなに目立つ秘密基地はないのじゃ。」


「そうですよ、それに作ろうと思えばすぐに作れますから。」


「それはそれで凄いのじゃ。」

「凄いっすね。」


「それに…崩すか元に戻さないと…ここから出れません。」


「それは残念っすね…。」



花音は壁とキャットタワーを元の土に戻す。



「そろそろ会議の時間なのじゃ。」


「そうっすね、会議なんて行かずにカノンちゃんと遊んでたいっすけど…ギランのじっちゃんが五月蠅いっすから、行かないとダメっすね。」


「キンはまだマシなのじゃ、私は師匠なのじゃ…一緒に住んでおるから逃げ場がないのじゃ…。」


「シグレさんっすか…会議そっちのけで魔道具作りしてないんっすか?」


「さすがに今回は出席するのじゃ、議題が議題じゃしの…。」


「議題って私の事ですか?」


「それもあるのじゃが、一番の問題はダークネスウルフをけしかけられた可能性の方なのじゃ。」


「あぁ、ガルドラさんの件ですか…。」


「今回は偶々カノンがおったお蔭で、被害が皆無に等しいが、場合によってはガルドラの言う通り消耗戦の可能性もあったのじゃ。」


「そうっすね、あの時ばかりは自分も、もうダメって思ってたっすから。」


「⁉そ、そうなのか⁈」


「そうっすよ、師匠たちなら何とかなるかな?と思っただけで、被害を軽微にするので精一杯っすよ。」


「そうじゃったのか…キンがそう思ったのなら、カノンには本当に感謝じゃな。」


「助けてくれて感謝するのじゃ、ありがとう。」



スダレは花音に頭を下げる。



「頭を上げてください、お礼はもう頂いてますから…」


ん?お礼貰ったよね?貰ったかな?あれ?…まあいいや。


「頭を上げてください。」



「いやしかし…」


「今更お礼を言われたら、私の方が困ります。なんか踊ってしまいそうです。」


「何故そこで踊るのじゃ?」


「こぅ~なんかムズムズってして踊るんです。」


「踊るのか…」


「はい、踊ります。」


「みんなで踊るっすか?」


「それはないのじゃ。」

「踊りません。」


「そうなんっすか?残念っす。」


「って、会議に行きましょうよ。」


「そうじゃな、行くか。」

「行くっすか。」






花音たちは会議が行われる場所を目指してしばらく歩いていると…。



「お姉さまー!」



ん?お姉さま?嫌な感じがしますよ?お姉さまって言う人は苦手なんです。



過去、花音は「お姉さま」と呼ばれて、何故か近所の娘に追い回された経験があり、苦手意識がある。



「キンさん、スダレさん、私先に行きますね?」


「カノンちゃん…先にって、場所知らないっすよね。」


「う…。」


「何故いきなり先に行くと言い出し「お姉さまー!」…あぁ、タマが来たからじゃな…なかなか良い判断なのじゃが…ちと遅かったのじゃ。」



タマと呼ばれた猫人が花音たちに向かってダイブしてくる。

3人は瞬時に避ける、ベチャッという音がしそうな勢いでタマは地面とご対面する。



「お姉さまお怪我は?大丈夫ですかにゃ?」


「タマ、落ち着くっすよ。タマの方が大丈夫っすか?」

「落ち着くのじゃ、客人の前なのじゃ。」


「客人…ですかにゃ?」


「そうっすよ、自分たちの命の恩人でカノンちゃんっす。」



タマが花音を見つめる。



「カノンちゃん、こっちが最近自分たちと組んでるタマっす。」


「初めまして、花音です。」


「フシャー!」


あっ、フシャーって威嚇されちゃいましたよ?



「タマは何してるっすか?恩人って言ってるっす!いきなりカノンちゃんを威嚇するなんて…」



キンはペチンとタマの頭を叩く。



「にゃ⁉にゃにするんですか、キンお姉さま。」


「それはこっちのセリフっすよ、カノンちゃんを威嚇するなんて何を考えてるっすか!」


「タマよ…カノンに変なことをするとキンがマジで怒るのじゃ…。」


「にゃ⁉」


「キンはカノンを大層気に入っておる…この村に連れて来るのを提案したのもキンなのじゃ。」


「にゃ⁉」



タマはキン、スダレ、花音へと繰り返し顔をキョロキョロと動かしている。



あっ、かわいい♡かわいいけど…お姉さまって呼ぶ娘は苦手です。



「失礼しましたにゃ、タマと申しますにゃ、キャノンお姉…さま?」


「違います!花音です!写真も砲弾も関係ありません!

それに年齢は同じぐらいに見えるからお姉さまじゃないと思うし、仮にそうだったとしても、花音って呼んで下さい。」


「と、とんでもにゃいですにゃ、キンお姉さまが認めてられてるってことは強いのでしょ?」


「そうっす!カノンちゃんは強いっすよ!凄いっすよ!可愛いっすよ!」


「キンよ落ち着くのじゃ…。」


「キンお姉さまがこんにゃになるにゃんて初めて見ましたにゃ。」


「私も初めてなのじゃ。」


「そうなんですか?」


「そうなのじゃ…子供の頃は一歩引いておったくらいなのじゃ。」


「自分のことはいいっすよ、早く会議に行くっすよ。」


「そうじゃったな、タマよ私たちはこれから会議に出席せねばならぬのじゃ、話は今度にするのじゃ。」


「分かりましたにゃ、カノン様、後日改めてご挨拶しますにゃ。」


「分かりましたけど、様も止めて欲しいんですけど…。」


「困ったにゃ…。」



「行くっすよ。」


「は、はい、考えておいてくださいね。」


3人は会議へと向かう。






残されたタマは何処となく話しかける。



「キルト兄さまは何て呼んでるのかにゃ?」


「カノン殿と呼んでいる。」



タマの傍にキルトが現れる。



「殿ですかにゃ…。」


「最初はカノンちゃんと呼んだのだが、男性からのちゃん付は勘弁して欲しいとのことで殿になった。」


「ちゃん…ですかにゃ、ならにゃーもちゃんにするかにゃ?」


「そろそろ自分のことをにゃーと呼ぶのを止めたらどうだ?ニャーさんと間違えるぞ?」


「シナおばあちゃんがわーっていうからにゃ、にゃーって言うのが癖になってるにゃ。」


「ふむ…まぁ少しずつ気を付けていけばいい。それじゃあ、俺も会議に行かないといけないから、またな。」


「ありがとにゃ。」





当初、村に着いて早い段階で登場予定だったタマがやっと登場しました。

とは言っても、村に着いて2日目、到着翌日なの…ですけどね…(´・ω・`)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ