31、魔王の裸体。いや、そうなんですけど、やらしくはないですよ。
「脱ぐ…スズちゃんどうしたらいいっすかね?卵も抱えてるっすから、そのまま下にっていうのは危険っすね。」
「それなら隅に高い場所を作ります。」
そう言って花音は隅に何故かキャットタワーを創造した。
「これはなんっすか?」
「キャットタワーです。」
「キャットタワーとは何なのじゃ?」
「ね…身軽な動物が遊ぶ場所?ですかね。」
「何故疑問形なのか分かんないっすけど、一番上に丁度いい家ががあるっすね。スズちゃんはここに入ってるっすよ。
ここなら安全っすね。それじゃ脱ぐっすよ。」
キンは装備を外し収納袋に収納していく。
ジーーー、ブラじゃないのか…確かサラシって言うんだっけ?あれ。
「どうしったっすか?ジーっと見つめて、さすがに恥ずかしっすよ。」
「あっ、ごめんなさい、ブラじゃないんだなって思って…つい。」
「ブラってなんっすか?」
「ブラは…ですね、キンさんが胸に巻いてるサラシ?と同じ役割ですよ。」
「サラシみたいに胸を押しつぶさないんで、胸を大きく見せることができるんです!大きく!」
「そ、そうなんっすね。」
「可愛い色やデザイン…意匠とかがあってですね…現物がないと説明し難いですね…。」
「そうなんっすか?カノンちゃんはブラ?持ってないんっすか?」
「……。」
はい、持ってませんよ!まだ必要じゃなかったんですよ!プンプン!!
今度の休みに貧乳同盟のみんなでブラを見に行こうって話してたのに…グスン 。
「まぁいいっす…カノンちゃんも早く脱ぐっすよ、会議までそんなに時間がないっすから。」
「そうでした。」
キンはサラシを解くとポロンとキンの大きな胸が露になる。
「なっ、な、なんですか!それはー!!」
「ど、どうしったっすか?」
「何事じゃ?」
「キンさんのむ、む、胸が…え?巨乳?え?…ど、どこにそんなの隠してたんですか!」
「普通にサラシを巻いてただけっすよ?」
「え?サラシってそんなに分からなくなるんですか?」
「あぁ…キンはサラシをきつく締めすぎなのじゃ、その上に胸当てを着けておるから分かり難いのじゃ。
何度もきつく締めすぎじゃっと言っておるのじゃが…。」
「こんなの大きくても邪魔になるだけっすよ?戦闘の時なんか痛いっすから。」
「持ってる人はみんな同じことを言うんです!クッ…羨まじい。」
「ちょ、ちょっとカノンちゃん!?涙流しながら揉まないで欲しいっす。あっ…んっ…」
「カノンよ気持ちはよ~っく分かる、分かるが時間がないのじゃ。」
スダレは自分では小さくはないと思っている自分の胸を触りながら花音に注意をする。
「クッそうでした…。」
「はぁ、はぁ、はぁ、なんか目覚めそうだったっす。カノンちゃん責任取って欲しいっす。」
「え?ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!勘弁してください!」
「ほれ、早うせんか!」
「そ、そうだったっす、カノンちゃんも早くするっす。」
「はい、ごめんなさい。」
「脱いだらこれを着とくっすよ。」
キンは収納袋から布を、頭からスポッと着て腰辺りで帯で結ぶ感じの服?帯なしを取り出す。
「これは?」
「まず、服を洗うっす、乾くまでこれを着とくっすよ。」
「ありがとうございます。」
花音は服を脱ぎ、キンから受け取った布を着る。
「キンさんはこれ着ないんですか?」
「服を乾かすのに炎の技を使うっす、それを着てたら燃えるかもしれないっすから着ないっす。」
「はぁ…全裸ですか、剛毅ですね…。」
「カノンちゃんは本当に人族なんっすね…。」
「そうじゃな…。」
「なんですか?しみじみと…。」
「カノンちゃんがこの服を脱いだのを初めて見たっすからね、綺麗な黒髪で可愛いすよ♪」
「そうなのじゃ、初めて見るが綺麗な黒髪なのじゃ。」
「そんなに褒めても何も出ませんよ?」
あ、乾かすなら物干しにハンガーと洋服ラックでも作ってみるかな?
「よしやるのじゃ、『水の精霊よ、我が声に答え、我が手に…水術渦水』」
スダレの手の上に水の渦ができる、そこへキンが洗濯物を入れていく。
洗濯ものが渦の中をぐるぐると踊る、キンはそこに粉を入れる。
「その粉はなんですか?」
「これっすか?これを入れると普通に洗うより汚れが落ちる気がするっすよ。」
「気がするだけですか?」
「そうっす、気がするだけっす、でも付いた血とかが良く落ちるっすから綺麗になってると思うっす。」
洗剤か、漂白剤みたいなもんかな?
あれ?漂白剤だったら色落ちするかも、ど、どうしよう…。
花音は15分ほど落ち着きなく洗濯が終了するのを待った。
「終了じゃ。次は脱水じゃな、『風の精霊よ我が声に答え…風術風渦』」
今まで渦を作っていた水が飛散して、今度は風の渦がスダレ手の上にできる。渦に合わせて踊る洗濯物が水飛沫を飛ばす。
「脱水もするんですね。」
「そうっすね、時間があれば自分でやるっすけど、今回は時間がないっすから、それに脱水せずに乾かそうとしたら、すごく時間がかかるっす。」
「それもそうですね。」
花音は脱水が終わるのを待ってる間に、さっき思い付いたハンガーと洋服ラックをニグルのところで手に入れた鉄鉱石で作り出す。
「カノンちゃん、それはなんっすか?」
「服を乾かすのに使えるかな?と思いまして作ってみました。」
「鉄鉱石を使ったんっすか?」
「はい、炎を使うって言ってたから、木や土だとダメかなと思ったんで。」
「カノンちゃん…木や土でダメなら服が燃えるっすよ?」
「あっ!そうですね、確かに…。」
「折角カノンちゃんが作ってくれたんっす、これどう使うっすか?」
「はい…洗濯物をこれ(ハンガー)にかけてから、こっち(ラック)のやつにかけるんです。」
「こっちの方が…いいっすね。」
「乾かすときどうするつもりだったんですか?」
「地面に置いて、飛ばされないように重しを置いて、魔法でバッーって感じっす。」
「なら作ってよかったのかな?うん、よかったことにしよう。」
「脱水まで終わったのじゃ、乾かすぞ。」
「スダレ、これを使ってみるっす。」
「なんじゃ?それは。」
「これはっすね……」
花音がキンに説明したことをキンがスダレに説明する。
「地面に置いて乾かすよりいいかもしれんのじゃ、早速やってみるのじゃ。」
花音は自分の洗濯物をハンガーにかけながら猫さんパジャマを確認する。
「良かった~色落ちしてない、クンクン…匂いは別にしない…。」
「何をしておるのじゃ?濡れるぞ…まあ、あとで体を洗うのじゃから関係ないか。」
「洗濯が終わったんで、匂いはどうかな?と思いまして…。」
「匂い?」
「キンさんが洗濯のときに粉を入れてたんで、何か匂いがするかな?と思いまして。」
「カノンはファブの粉末は初めてか?別に匂いなどしないのじゃ。」
「そうみたいですね、準備終わりました。」
「こっちも終わったっすよ。」
「キン、初めて使うのじゃ、どの辺りが良さそうなのじゃ?」
「ん~~~、この辺りっすかね?」
「結構近いのじゃな。」
「自分は大丈夫と思うっすけど、もう少し離れるっすか?」
「そうじゃの、もう少しだけ離れるのじゃ。」
「それじゃ、この辺でやるっす。」
「分かっったのじゃ、『風の精霊よ、我が声に答え、我に…風術薫風』」
スダレの前方に軽微な風が洗濯物へ向かって吹く。
「それじゃあ自分も『炎圏』」
キンが構えた剣が炎を纏う。
温風ですね、分かります。これなら早く乾くと思うけど…暑い、暑いです!
ナビちゃん暑いです、なにか対策ないですか?
(防壁を張ってはどうですか?)
私、防壁使えるの?空間収納しか使ったことないよ。
(そうでした、花音様はこちらに来てから魔法は使ってないですね、使ったのは創造錬金と空間収納だけでしたね。)
私、他の魔法使えるの?ルナさんから後で覚えられるって聞いてたから、万物創造と創造錬金しかもらってないんだけど。
(花音様は一応初期の全属性魔法使えますよ。)
あれ?そうなの?
(はい、火・水・風・地・氷・重力・光・闇・無・時・空間・毒・召喚の初期魔法が使えます。)
そんなに⁉四元素はいいとして、毒?召喚?毒って何?
(毒はそのまま毒です、キン様が武器に炎を纏わせてるように毒を纏わせたり、毒を魔法として飛ばしたりできます。
召喚はそのまま召喚です、何かを呼び出します。)
なにかをって何を呼び出すの?
(この世界に居る存在で召喚可能ならなんでも呼び出せます。)
ルナさんも召喚できたりするかな?
(ルナリア様は無理です。)
そっか、残念。ルナさんが召喚できるなら一発殴れたのに…残念♪
(殴る為に管理者を召喚しないでください。)
ははは、冗談だよ、冗談…ホントウデスヨ?
「カノンちゃん乾いたっすか?確認お願いするっす。」
あれ?もう終わり?防壁は?
「はい、分かりました。」
花音は洗濯物を確認していく。
体を洗うまで終わるはずだったんですけどね、何故でしょう洗濯しただけで終わってしまいいました(´・ω・`)
犯人は私だ!ということで次回に持ち越しです、次の話は短くなるかもしれません、体を洗ってからそのまま会議へ突入するか、一端区切るか…(。´・ω・)?




