30、覗き魔。いや、監視だ!覗きでは断じてない!
「キン、仕事の邪魔をするな。」
「覗きが仕事っすか?やらしいっすね。」
「その言い方は訂正して欲しいのだが…。」
「でも事実っす、カノンちゃんをずーっと覗き見してたっすよね?」
「む…。」
「覗いてたんですか?」
「い、いや、違うんです、カノン殿。」
「では何を?」
「うっ…村長からカノン殿が怪しい行動をしないかの監視と、カノン殿に害する村人が出たときの対応を依頼されました。」
「そうですか…村長さんってどんな方ですか?」
「あれ?カノンちゃんはこの村に来た時に会ってなかったっすかね?」
「え~っと、シナ婆さんと話した記憶しかありません。」
「あぁ~あれで泣き疲れて眠ったっすから…村長とは話してないっすね。」
「村長は公平、公正な方です。カノン殿の監視も村のことを考えてのことですので、お許し頂ければと。」
キルトは花音に頭を下げる。
「キルトさんが謝ることじゃないですし、別に怒ってませんよ。
いきなりこんな恰好をした人が来たんですから、当たり前の対応です。」
「それに、キルトさん最初に会ったときより…なんか怖がってませんか?」
「そんなことはありません。」
「ん?あぁ~さては、キルはカノンちゃんを覗いてた時に師匠の家での真っ二つを見て怖がってるっすね。」
「いや、そんなことはない、べ、別にカノン殿を怖がったりはしていない。」
「まぁいいっす、そういうことにしとくっす、キルを呼んだのはトイレの為っす。」
「トイレ?」
「これを見るっす。」
「ちょ、キンさん男性に女性用トイレなんて見せていいんですか!?」
「ん?問題ないっすよ?造りは同じっす。」
「いや、そういう意味じゃなくて…。」
「カノン殿、キンはいつもこんな感じだ。
それに一応男性、女性用と区分してはいるが、あってないようなものです。」
「え?それって女性用を男性も使うってことですか?」
「ああ、逆の場合もあるから入り口での確認が必須なんだ。トイレが4つしかないから普通に男性用が空いてるならそちらを使うが…そういう場合もあるということです。」
「トイレを増やしたりは?」
「トイレに使えるスライムがなかなか見つからないっす、他の村は人数が多いっすから男女の区別すらないらしいっすよ?」
「うっわ~。」
これが異世界、異世界なのか…日本が懐かしいな~ってまだ3日目じゃん!
「キル、これがカノンちゃんが改良したトイレっす、ここだけ試しにこのままにするっすから村に周知して欲しいっす。」
「ふむ、この蓋のような物は子供が落ちない為ですか?」
「はい、キンさんから落ちる子がいるって聞いたんで、子供が使う時にこの蓋を下ろしてやれば落ちる可能性は減ると思うんです。
もしダメならすぐに元に戻しますし、他も同じにって言われるなら対応しますよ。」
「分かりました、村長に報告しときます。」
「あと、これやってて時間がかかったっす、会議に少し遅れるかもしれないと村長たちに伝えといて欲しいっす。」
「ああ、分かった。キン…大丈夫か?」
「キルも見てたんっすよね、そんな感じしたっすか?」
「……いや、ただの…危なっかしい子供にしか見えなかったな。」
「見たまんま、感じたまんまっすよ♪それ以上もそれ以下もないっす。
いや?別の意味でそれ以上の可能性はあるっすね。」
「そうか…では先に村に戻ります。」
キルトは礼をして村へ向かう。
「ん?何の話ですか?」
「カノンちゃんはカノンちゃんっすって話っすよ♪」
「?…よく分かりませんが、問題ないならいいです、私はお花摘みに行って来ますね。」
「花摘みっすか?会議までそんなに時間がないすよ?それにここら辺に花は…」
「いや、いや、違いますよ!トイレに行ってきますって意味です。」
「そうなんっすか?普通にトイレに行くって言った方がいいと思うっすけど?」
「そうなんですけどね、男性がいるときとかに使うらしいですけど…キルトさんが見てるかもと思ったら使っとこうかな?と思いまして。」
「はぁ~何か大変っすね。」
「そうですね、ちょっと行ってきます。」
ナビちゃん魔力はどれぐらい回復してる?
(70%ほどです。)
この杖は便利だけど危険なんだよね、戦闘中にトイレとか、お腹が空いたって思って集中できなくなるのも危ないし…次作るときはどうしようかな?
ナビちゃんなんか良い考えない?
(無いです。)
バッサリですね。
(生理現象をどうにかできる時点でその杖は異常なんです。これ以上は花音様自体が気を付けるしかないですね。)
そっか~オムツでも作るかな?って多分ダメだろうな…材料がなさそうだし、なにより私が嫌だ!
あとは、単純に生理現象だけ別に分けてしまうかな?それを戦闘中だけ装備するとかぐらいしか思いつかないね。
(その方がいいかもしれませんね。)
「お待たせしました。」
「それじゃ、会議に行く前に自分の家に行くっすよ。」
「え?」
「あれ?なんでそんな反応っすか?」
「まあいいっす、スダレを呼んでるっすから、服と体を洗うっすよ。」
「え?体を洗うのは川と…あ、魔法ですか?」
「そうっすよ、スダレと自分の技で手早く済ませるっす。」
「ありがとうございます!ありがとうございます!」
「そんなに喜ばれると、照れるっすね。」
「走るっすけど行きみたいに飛ばさないで欲しいっす。」
「分かりました、頑張って遅くします。」
「そう言われると傷付くっすね。」
「あ、ごめんなさい。」
「はは、いいっすよ♪それじゃ行くっす。」
走るとダメだから早歩きで…。
「こわっ、恐いっすね…自分が走ってるのを早歩きで追われるのは思ったよりも恐いっすね。」
「そんなこと言われても、これでも頑張ってるんですよ!」
「もう少しで着くっすから、頑張るっす。」
しばらく走って?キンの家に到着する。
「キン、遅い!、待ち草臥れたのじゃ。その抱えているビックスパァロウはなんなのじゃ?」
「これはビックスパァロウのスズちゃんっす、カノンちゃんが飼うっす。」
「飼うのか?食用ではないのか?」
「違うっす、スズちゃんは食べないっす。」
「それでスダレは外で待ってたっすか?中で待っててもよかったっすのに。」
「どうせ外に出ることになるのじゃ、外で待っても問題無いのじゃ。」
「スダレさん…お疲れ様です?」
「疲れてはおらんが、何故疑問形なのじゃ?」
「いや、なんとなく…。」
「まあいい、時間がない、すぐに用意するのじゃ。」
「了解っす、場所は裏の林でいいっすかね。」
「そうじゃの…そこでいいのじゃ。」
「あの…外で体を洗うんですか?」
「家の中だと中がびしょ濡れになるっす、それに土っすから水を吸うとドロドロになるっす。」
「じゃから外なのじゃ。」
「そうなんですね…とりあえず、囲いは私が作ります。」
「あ~そうっすね、お願するっす。」
「どういうことじゃ?」
「覗き魔が居たっすから、用心の為っす。」
「覗き魔じゃと!」
「ははは、キルトさんですよ。村長の依頼で私を監視してたらしいです。」
「成程…それなら仕方が無いのじゃ、カノン囲いを頼むのじゃ。」
「はい。」
「行くっすか。」
キンの家から少し離れた所で花音が四方を囲む壁を創造する。
「椅子を作ったときも思ったのじゃが、この広さで壁を一瞬で作るとは凄まじいのじゃ…。」
「そうっすね、水が外に逃げるように下に空間があるっすね、しかも地面に硬化が施されてるっすよ。」
「これ師匠より凄くないか?これは…キン、どうだったのじゃ?」
「なにがっすか?」
「今日、カノンと一緒に村を回ったのじゃろ?」
「ああ~そのことっすか、楽しかったっすよ。」
「いや、そういう事ではないのじゃ。」
「分かってるっすよ、キルにも言ったっすが見たまんま、感じたまんまっす。カノンちゃんはカノンちゃんっすよ。」
「ふむ、キンとキルトがそう判断してるなら、別に良いのじゃが…。」
「スダレもカノンちゃんと一緒に遊んだらいいっすよ。」
「いや、私は…。」
「スダレは子供が苦手…じゃないっすね、好きで接し方が分からない感じっすね、普通に自分たちと接する感じで大丈夫っすよ、スダレは考え過ぎっす。」
「そうなのかの?」
「キンさん、スダレさん出来ましたよ。」
「分かったのじゃ、キンとカノンは服と下着を脱ぐのじゃ。」
「え?全部ですか?」
「一気に全部洗った方がいいと思ったのじゃが…止めとくか?」
「女の子しかいないっすから、恥ずかしがることはないっすよ、それにカノンちゃんが壁を作ってくれたっすから安心っす。」
「そう…ですね、念の為壁をもう少し高くしときます。」
そういって花音はもう一度壁を作り出した。
今回…スダレの〝のじゃ〟縛りでは会話が弾まないと分かってしまいました。
(´・ω・`)
二章が終了したら手直しするかもしれません。
令和に変わる前に二章を終わらせるんだ♪…死亡フラグ、失敗フラグじゃありませんよ…だぶん(´・ω・`)




