28、返事がない、ただの屍の様だ、いや、家に居なかっただけです。
大人買いしました。
花音は考えていた。この村に来て1日も経ってないのに結構お世話になった人たちがいる。
お世話になった人たちに何か出来ないかな?
「どうした?嬢ちゃん。」
「あ、いえ、その…ニグルさんは装飾品に何を付与したら喜ぶかな?ってちょっと考えてました。」
「能力付与か?カッカカ、できるんなら魔力増幅が良いな。」
「魔力増幅ですか?回復じゃなくて?」
「そうだな、例えばだ俺の魔力が100だとして。」
また例えが100ですか…。
「俺の錬金で魔力を70消費して武器を作ろうとすると完全に形が完成する前に魔力が無くなるんだ、だからその後は手作業だなトンテン、カンテンってな、それにそれ以上魔力を使っちまうとその後の作業が出来なくなっちまうからな…後のことを考えっと70が限界だな。だが魔力が多くなればその分作業が楽になるって訳だ。」
「それなら魔力が回復してから続きをすればいいんじゃないですか?」
「嬢ちゃんそれは無理ってもんだ。」
「え?そうなんですか?」
「錬金で作るときに、途中で止めて時間が経つとそれで形が固定されちまう、もう一度錬金を使っても変化しねぇんだ。」
「へぇ~そうなんですか。」
ナビちゃんそうなの?
(違いますが、できる人が現在存在しません。)
存在しないって?
(先程のニグル様の説明でいくと、錬金で魔力を70消費して武器を途中まで作り、その後回復してから再度錬金で続きをしようとした場合、最初に消費した魔力の倍の魔力が必要です。)
あ~それは存在しない訳だ、70なら次に必要なのは140でキャパをオーバーしてるもんね。
でも、魔力が多ければ可能じゃないの?存在しないって程じゃないと思うんだけど。
(それも正しいのですが、錬金を数回に分けて作るなら一気に作ったほうが効率的です。)
納得…そんなことをするなら普通に一気に作った方が良いね、存在しないって言うよりもする人がいないってことか…あれ?する人がいないってことは存在しないってことなのかな?…まあいいや、ありがとうナビちゃん。
「そろそろいいっすか?そろそろ行かないと会議までに戻って来れなくなるっすよ。」
「あっ、すいません、ありがとうございました、交換の仕事は少し待っててくださいね。」
「おう、ひと月分は残しといたから急がなくても大丈夫だぞ。」
「そうなんですね、ありがとうございます。」
「おうよ、それに最悪はキンに立て替えさせっからよ、嬢ちゃんは心配しなくて大丈夫だ。」
「ちょ、あの量を立て替えるっすか?おやっさんは自分を殺す気っすか!」
「なに、嬢ちゃんにべた惚れみてぇだからな、それぐらいすっだろ?」
「それは…カノンちゃんの為ならするっすけど…おやっさんに言われるのはなんか嫌っす!」
「キンさん、気持ちは嬉しんですけど…それはちょっと…。」
「え?あれ?なんっすか?何で距離を取るっすか?」
「カッカカ、心配すんな嬢ちゃん、キンは嬢ちゃんのことが大好きなだけだ。」
「その言葉の何処に心配すんなって安心できるところがあるんですか!」
「カッカカカッ、新しい従魔を飼った子供だと思えばいいさ、構いたくて、構って欲しいだけだ。」
「それじゃ、私が従魔じゃないですか!」
「そうっすよおやっさん、カノンちゃんは従魔じゃないっす、カノンちゃんっすよ。」
「ああ、すまん。そんなに警戒しなくても大丈夫だつう話だったんだがな。」
「はぁ~、もういいです、また来ますんで、ありがとうございました。」
「おう、俺も嬢ちゃんの能力には興味がある、またいつでも来な。」
「行くっすか、ちょっと走るかもしれないっすね。」
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去っていく花音とキンを見ながらニグルは
「空間収納に能力付与ができる嬢ちゃんか…面白れぇな、キンがベッタリなのも分かる気がするが…何者だあの嬢ちゃんは、キンがあそこまでベッタリってぇのも珍しいが、悪意があるわけでもない…普通は知ってて当たり前のことを知らねぇって感じだったが…やめ、やめだ、考えるだけ無駄だな、キンがべた惚れってだけで問題はねぇな。」
とニグルは考えることを放棄した。
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「村をぐるっと回ってからトイレに案内するっすよ、時間によっては少し走ることになるっす。」
「わかりました、楽しみですお願いします。」
「楽しみっすか?トイレが?」
「ち、違います!村を見て回るのがです!」
「はは、冗談っすよ。」
「といってもギルさん、師匠、おやっさんと案内したっすからね、あとはナンとスダレの家と畑ぐらいっすね。」
「畑は何を育ててるんですか?」
「そうっすね~、イミョとキャベルとニンゾン、豆が主っすね。」
イミョ?キャベルはキャベツかな?ニンゾンは人参?豆は普通に豆かな?インゲン?か大豆?そら豆?まあ、行ってみれば分かるか。
などと考えなながら進んで行く花音一行。
「ここが畑っす。」
「結構広いですね、それに柵が凄く立派ですね。」
「そうっすね、広さは村と同じぐらいっす、寒くなると活動してる魔物も動物も少なくなるっす、狩りで獲物がなかなか獲れないっすから作物を沢山作るっす、柵は魔物とかに荒らされないように立派な柵にしてるのと見張りが2人交代でいるっす、村の防柵より立派っすよ。あとそこの家は寒くなる前に魔物や動物の肉を燻製にして保管する場所っすね。」
「どれぐらい寒くなるんですか?」
「そうっすね~、家に籠っても凍死しそうになるっすね。」
「そんなに!?」
シナ婆さんの家は囲炉裏みたいなのがあったけど、入り口は布で見え無くしてただけだからな…防寒対策ができてないのかな?って言っても私も防寒対策なんて分かんないしなー、暖房にコタツ…文明の利器頼みだったしね。
「カノンちゃんにはキツイかも知れないっすね。」
「今すぐに寒くなる訳じゃないんでしょ?」
「そうっすね、まだ、まだ先になるっすね。」
「なら、それまでに対策を考えますよ。」
「何かいい考えがあったらみんなに教えてやって欲しっす。」
「自分にじゃなくてみんな…になんですね、分かりました。」
「作物はここで交換してもらえるっすから、場所を覚えてた方がいいっすよ。」
それから作物を見せてもらう。
イミョは芋で、キャベルはキャベツ、ニンゾンは人参、豆は3種類エンドウと大豆、枝豆であった。
見張りの人にも花音を紹介してからナン、スダレの家へ向かう。
「ここがナンの家っす、ちょっと居るか確認するっす。」
「ナーン!居るっすかー!」
「返事かないっすね、死んでるっす。」
「いや、死んで無いですよね!居ないだけですよね?」
「居ないならたぶん、ナンの師匠の所っすね、ガルドラさんにやられたのが悔しいから修行してるんだと思うっす。」
「次はスダレの家に行くっす、スダレは師匠のシグレさんと一緒に住んでるっすから場所の確認と様子見だけっすね。」
「ニグルさんがシグレさんの名前出してましたね。」
「シグレさんは狐人の代表っす。」
「へ~そうなんですね、それじゃ代表会議で会いますね、その時にお話しできればいいんですけど。」
「カノンちゃんはチャレンジャーっすね。」
「え?何か問題があるんですか?」
「問題あるっすね…シグレさんは魔法、特に魔道具のこと以外は取っ付き難い人っすからね、美人なんっすけど残念さんっす。」
「はぁ…美人で取っ付き難いツンデレさんなんですね。」
「ツンデレってなんっすか?」
「色々と解釈がありますけど…普段はツンと澄ました態度を取るんですけど、ある条件下ではデレデレになる人のことですかね、デレデレの条件はシグレさんの場合、魔道具ですかね?」
「成程っす、ツンデレっすかシグレさんにピッタリっすね。」
「ここがスダレとシグレさんの家っす。」
村にある普通の土で出来た家が4つ正方形になるように並んでいた。
「珍しい?造りですね。」
「そうっすね、代表の家は大体こんな感じっすよってシナ婆さんの家も同じっすよ?」
「え?そうなんですか?あれ?」
「ああ、カノンちゃんは入り口からすぐの部屋だったっすから気付かなかったんっすかね?」
「そうかもしれませんね。」
「じゃあ、ここはこれで、次トイレに行くっす…あ、この家の正面が雑貨を取り扱ってるっすよ、時間があるときにゆっくり見に行くっす。」
「そうなんですね、何を取り扱ってるんですか?」
「布とか藁とか葉っぱとか獣の皮とかっすね。」
日本の雑貨屋とは違いすぎでした、葉っぱって(´・ω・`)
わーい、やっとトイレにGo、次で代表会議まで行ければいいんですが…(´・ω・`)




