26、装飾品。いや、地球のような装飾品はないそうです。
「キンさん、おやっさんてどんな人ですか?」
「おやっさんっすか?ごっつい猿人でギルさんみたいな感じっす。」
「猿人ですか、そんな種族が居たんですね。」
「カノンちゃんは知らなかったっすか?」
「はい、知りませんでした。」
「そうっすか、この村は4種族の忌み子が集まって出来た村っす、犬人、狐人、猫人、猿人の4種族っす。」
「猫人と狐人、犬人は村で良く見ましたけど、猿人は…見てないですね。」
「そうっすね、猿人は人数が少ないっすし、狩りが主で日中は村に居ることが少ないっすからね。」
「何で人数が少ないんですか?」
「カノンちゃんは根本的なことを知らないと思うっすから…忌み子はどの種族からも忌避されるっす、忌み子が生きるには辛い世界っすよ。」
「なんで忌避されるんでしょうね…。」
「分かんないっす。カノンちゃんは何も悪いことはしてないけど嫌い、受け入れられないってものあるっすか?」
「そうですね……人じゃないですし、こっちにいるのか分かりませんが…漆黒のGがそうですね、生理的に受け付けられません。」
「漆黒のGが何かは分かんないっすけど、おそらくカノンちゃんにとっての漆黒のGが他の種族にとっての自分たちになるんだと思うっすよ。」
「忌避される原因が分からないんですね。」
「そうっす、大昔は忌み子が産まれると、その場ですぐに殺されてたらしいっす。」
「・・・・・」
「そんな顔はしないで欲しいっすよ、大昔っすから。
それにこの村が出来てからは殺されずにこの村に預ける、捨てるって言う選択肢も出来たっすから。」
「それでも…。」
「気にしてもしょうがないっすよ、この村を作ったのは狐人、犬人、猫人の忌み子たちっすから、初期に受け入れた忌み子もこの3種族が中心っす。
一応他の種族にも話はしたらしいっすけど…警戒されただけって話を聞いたっすね…
それで狐人、犬人、猫人が多いっす、猿人は後からこの村に来たっすからまだ少ないっす。」
「そうなんですね…その4種族の他にどんな種族がいるんですか?」
「他っすか?ダンジョンのある山に鳥人族と熊人族、この森には兎人族っすかね?あとは分かんないっす。」
「今言った種族に会うことはないんですか?」
「ダンジョンに行くと鳥人族と熊人族には会うっすね、兎人族は見かけないっすね…兎人族は臆病っすから隠れたりして滅多に見かけないっす。」
「そうなんですね…あれがおやっさんの家ですか?」
「そうっすよ。」
「大きいですね、それに…石?煉瓦?で建てられてますね。」
「そうっすね、木で建てると火事になることがあるっす、土だと強度がなくて大きく建てられないっすから。」
「へ~、それに村からも結構離れてますね。」
「家というか仕事場と家が一緒になってる感じっす、中で鍛冶をするっすから大きいっす。
トンテン、カンテンと音が1日中するっすから村から離れて建てられたっすよ。」
花音は大きいと言ったが、この村では大きいというだけで大体1LDKほどの大きさである、トイレ、風呂なしで。
入り口と思われる場所に近づきキンは声をかける。
「おやっさーん!カノンちゃんを連れて来たっすよー!」
「ちょっと待ってろ!」という返事とトン、カンという音がする。
「代表会議まであとでれぐらいですかね?」
「そうっすね、まだ時間はあると思うっす。」
「そうですか、会議の前にトイレを見ときたいんですけど…。」
「それなら、村の案内をしながらトイレに行って、戻ってきたら丁度いい時間かもしれないっすね。あとはおやっさん次第っすけど、走っても大丈夫っすか?」
「大丈夫ですよ。」
「それなら問題ないっすね。」
しばらくして、ごっつい猿人のおっさんが顔を拭いながら奥から出て来た。
「おう、キン待たせたな、なんだ?ビックスパァロウの手土産か?」
「違うっすよ、スズはカノンちゃんのっす。」
「カノンちゃん?そこにいる猫人のお嬢ちゃんのことか?」
「カノンちゃんは人族っす、猫人の恰好をしてるっすけど。」
「ほう…人族がこの村にいるとは珍しいってもんじゃねえな。初めてか?」
「そうっすね、自分が知る限りは初めてっすね。」
「だな、で何の用だ?」
「カノンちゃんに村を案内をしてるっすよ、鉱石に興味があるらしいっすからおやっさんの所に案内したっす。」
「ほう、鉱石に興味…ね。」
「は、初めまして花音です、鉱石を見せてもらいたいのと、良いのがあれば欲しいんです。」
「良いのって、お前さんは目利きができるのか?」
「目利きは出来ません。」
「出来ませんって…カッカカッ面白いな、どんな鉱石が欲しい?」
「どんなのがあるのか分からないんで全部お願いします。」
「分かった、原石も見てみるか?」
「はい、お願いします。」
「ちょっと待ってろ。」
ニグルは奥に行ってしばらくして戻ってきた、袋1つを持って…。
「そう言えば、名前を名乗ってなかったな、ニグルだよろしくな、嬢ちゃん。」
「よろしくお願いします、でも鉱石ってそんなに小さいんですか?」
「何を言ってる?」
「ニグルさんその小さな袋しか持ってないじゃないですか。」
「ん?あ~これは空間収納の能力が付与されてる袋だ。」
「そうなんですね、楽しみです♪」
「カッカカ楽しみか…良いね、嬢ちゃんいいよ。」
「なにがですか?」
「嬉しそうっすね、おやっさん。」
「ああ嬉しいね、武器や鍋とか必要な物に興味がある奴らばっかりで、鉱石で嬉しそうにする奴なんて滅多にいねえからな。」
「そうなんですか?」
「ダンジョンで簡単に採れるからな、そこらに転がってる石より少し良い物程度の認識なんだよ。」
「はぁ…装飾品とかに興味がないんですかね?」
「装飾品ってのは何だ?」
「装飾品を…知らない?装飾品は、指輪やネックレス、ペンダント、イヤリングなんかですけど…。」
花音は今まで出会った人たちを思い浮かべたが、装飾品のような物を身に着けていたのは1人だけだった…。
しかも装飾品という感じではなく呪術的感じで。
「シナ婆さんが首から下げているのがネックレスなんですけど、イメージが全然違います。
こう、キラキラしてて高価そうなイメージ?です。」
「キラキラか…それは何か特殊な能力が付与されてるのか?」
「いえ全然、ただ単に綺麗だとか高価そうだとか、人の見栄えを良くする感じの物ですね。」
「ただの鉱石だぞ?いくら綺麗でも何の能力もないなら意味がないな。」
「そうなんですね…見た目が綺麗で能力があれば問題ないということですか?」
「能力にも由るがな。」
「そういう物は少ないんですか?作ったりとかは?」
「少ないと思うぞ、作るにしても能力付与は無理だ、魔力が足りなくて結局使い物にならない。」
「へ~そうなんですね。」
あっ、不味い…かも?
「カノンちゃんは木刀を修復したとき強度を上げたっすよね?」
「なに⁉強度を上げたのか!どれぐらい上がった?」
「いや、ちょ、ちょっと…。」
「おやっさんが作ってくれた剣で切れなかったっすよ、師匠もダメだったっす。」
「ほう…。」
「うっ…。」
「あれ?言ったら不味かったっすか?」
「そうだな…あまり他には言わない方が良いだろうな。
この村なら問題ないと思うが、他の奴らに特に人族にその話が漏れるとその嬢ちゃん誘拐、監禁、強制労働させらるぞ。」
「えっ!嫌ですよそんなの!人族ってそんなことするんですか?」
「人族でも貴族と呼ばれる奴らがな…自分たちの欲望の為なら殺し、誘拐、監禁なんてぇのはざらだな、しかも、本人は動かずに手下を使ってくるから面倒だ。」
「そんなのダメっすよ、自分がカノンちゃんを守るっす。」
「おう、おう、好かれてるね嬢ちゃん。ならキン…そのことはもう誰にも気軽に言うんじゃないぞ、この村なら大丈夫という保証はない。
それに知ってる人が少ない方が漏れ難い。」
「了解っす、漏れたら犯人はおやっさんか師匠っすね。」
「なっ⁉ギルルドや俺はそうそう簡単に喋らねぇよ!お前が一番心配なんだ!それとギルルドにも一応口止めしとけよ。」
「分かったっす、今から一っ走り行って来るっす。」
キンはそう言った瞬間に、もう走り出していた。
「あいつは…大丈夫だとは思うが、嬢ちゃんも気を付けろよ。」
「分かりました、私、キンさんと一緒じゃないと外歩けないんで、戻ってくるまでに鉱石見せてください。」
「ああ、すまん、忘れてた。キンと一緒じゃないと外を歩けないってぇのはどういう意味だ?」
「村長さんが三獣士の誰かと一緒じゃないと外に出たらダメって言ってたらしいです。」
「成程な、嬢ちゃんが危険な目に合わないようにそう言ったんだろ。
人族でその恰好はな…まあいい、鉱石を見せてやろう、欲しいのがあれば言え、嬢ちゃんの能力で何ができるのか楽しみだからな、ある程度は考えてやる。」
ニグルは収納袋から鉱石を取り出し並べていく。
鉱石手に入れて、トイレ、会議…あと少し、あと少しが長いですね(´・ω・`)
はやぶさ2が人工的なクレーターを作る実験に成功しましたね、これで宇宙人との戦争です…冗談です。
そうですね…実験に成功した…しかしこれが後にプレデターとの戦争の引き金にになるとはその時誰も思ってなかった…とかで誰かお話作りませんかね?




