23、魔王箸について語る。いや語ったのは師匠っす。
Zzzz
新年号が発表されましたね、令和です。
新年になってそんなに経ってませんが良い年になると良いですね。
「な、なんじゃとー!!」
えっ⁉何にそのリアクション?
「それは実か!キン、嘘ではないのじゃな!」
「嘘じゃないっすよ、ギルさんの所で実際に使ってるとこを見たっす。」
ギルルドは花音の方に向き直り、がばっと土下座する。
「お前…いやカノン…いやカノン様、儂に箸の使い方を教えてくだされ!」
何?お箸が使えるってそんなに凄いことなの?でもキンさんもギルさんもそんな感じじゃなかったんだけど。
「教えてもらおうと思ってたのはこっちなんですけど…それに様は付けなくていいですよ。」
「そうか、それでは、カノン姫、箸の」
「ちょ、ちょっと待ってください!何処から姫なんて出て来たんですか、姫もやめてください。」
「む、さっき話した島で姫と呼ばれる娘を皆が敬っておったから姫と呼んだのじゃが、それもダメなら…カノン殿、箸の使い方を教えてくだされ。」
「殿なら…まあ…それよりも立ってください、私はギルルドさんに戦闘の仕方を教えてもらおうと、キンさんに案内してもらったんですから、土下座なんてされたら頼み難いです。」
「そうか、なら儂がカノン殿に戦闘の仕方を教える、カノン殿は儂に箸の使い方を教えるということでどうじゃ?」
「私はそれでいいですけど、ギルルドさんはいいんですか?」
「それで問題ない、箸の使い方を教えてもらう対価など、儂には戦闘指導ぐらいしかない。」
「でも箸の使い方なんてそんなに難しいものでないと思うんですけど…なんでそんなに箸に拘るんですか?」
「まずは、座って話そうか。」
花音は勧められた場所に座り、抱えていたビックスパァロウを放す。
「カノン様、カノン様から見える場所にいますので外に出てもいいですか?」
ビックスパァロウはおそらく庭だと思われる場所を告げる。
「うんいいよ、お話が終わったら呼ぶね。」
「はい、分かりました。」
ビックスパァロウは卵を抱えて庭の方へと向かい、ギルルドは花音とビックスパァロウが会話しているような、そんな不思議な光景を目にしていた…。
「…先ず、カノン殿は職業に武士があるのを知っておるか?」
「知りません。」
「そうか…箸が使えるから、あの島の出かと思ったんじゃが…。
箸はその武士に進化するために必要らしいんじゃ、儂が若かった頃、忌み子と忌避されるのがどうしても納得ができずに旅に出ての、アガルト大陸からルーニア大陸へ筏を作って海というものを渡ったんじゃ」
「海っすか?」
「この村で海を知っとるのはシナとゴルクぐらいかの?
何処へ行っても忌避されるから村人は森からほとんど出りゃせん…。
ルーニア大陸に行く途中で嵐に遭って流されて、たどり着いた島には武士という凄い剣士たちがいたのじゃ。」
「ギルルドさん、その島に調味料は、何か食べ物に黒っぽい液体とかかけてませんでしたか?」
「黒っぽい液体?いや、島国で主に魚を焼いたものに塩を使ったぐらいで、そのんな怪しい黒い液体とやらを使った憶えはない。」
「そう…ですか…。」
醤油はないですか…残念。
「あまりに見事な剣と剣術で、剣術を、あわよくば剣を手に入れられないかと儂はしばらくその島に滞在したんじゃ。
最初は教えてもらえず途方に暮れっておったが、島国である為、獣人がおらず忌み子に対して忌避感がなかったこともあり、なんとか剣術を教えて貰えるようになったのじゃが…。」
「何かあったんですか?」
「いや…剣術の修行もできたし、剣も1本貰えた、その1本がこれじゃ。」
ギルルドは花音の前に鞘に収まった剣を置く。
「見せてもらってもいいですか?」
「ああ、構わん。」
これ刀だよね、たぶん…刀ってテレビや漫画みたいに鞘から簡単に引き抜けないって聞いたような?
花音は慎重に鞘から剣を引き抜く。
やっぱり刀だ刃こぼれしてるけど綺麗、私も武器、刀にしようかな?
「綺麗な刀ですね。」
「なっ⁉カノン殿は刀を知っておるのか⁈」
「刀は知ってますけど、実際に見るのは初めてです。」
「そうか…その刀、刃こぼれしておるじゃろ。ニルグに頼んでみたが、どうにもならんかった…同じ物も作れんそうだ、そのとき試しに作ってみた物はキンが使っておる。」
「これっすね、カノンちゃんも同じ物にするっすか?ニグルのおやっさんに頼むっすよ。」
「いえ、ちょっと試してみたいことがあるんで、まだ頼まなくてもいいです、それとニグルさんっていうのは?」
「この村で鍛冶をしてるっす、鍋に包丁、武器とか鉱石も取り扱ってるっすよ、あとで案内するっす。」
「お願いします、鉱石楽しみです。」
「師匠、カノンちゃん案内してくるっす。」
キンはすぐに案内しようと動き出す。
「落ち着かんか!バカ弟子が、まだ話の途中じゃ!」
「ごめんっす。」
「あ、すいません、まだ途中でした。」
「これが若さなんじゃろうか?儂も若い頃は周囲の者達から落ち着けと良く言われておった。」
「師匠のはちょっと違うっすよ、すぐ喧嘩するから落ち着けって言われてただけっす。」
「……。」
「ゴホン…え~修行も一段落した儂はまた筏を作ってルーニア大陸に向かった、出発前にその刀と飯が入った木箱を渡してくれたんじゃが、
出発してからかなり時間が経ってどっちに島があるのか分からくなった頃、飯にしようと貰った飯を食ったら箱の底に文字が彫ってあったんじゃ。」
「手紙とかじゃないんですね。」
「手紙というのはあれじゃろ、獣の皮を使った、そんな物はなかったから、木箱の底に文字を彫ったのじゃろうな。」
紙も存在してないのかな?
「そこになんて書いてあったすか?」
「ん?あ~『お前さんは結局箸を使う練習をしなかったな、拙者にはどうでもいいことだが、職業を武士に進化させたいなら箸の使い方も覚えなければならんぞ。』と書いてあったのじゃ…。
儂は剣術が上達すれば進化できると思っておったから箸の使い方なんて全然教えてもらってなかったんじゃ!あやつは知ってて黙っておったんじゃ!」
「いや~…ギルルドさんには悪いですけど、たぶんその人、普通に島で暮らしてれば箸の使い方は勝手に覚えると思ったんじゃないですか?その島のみなさん箸、使えるんですよね?」
「ああ、みんな使っておったな。」
「ギルルドさんから箸の使い方を教えて欲しいってお願いすれば教えてくれたと思うんですよ?頼みましたか?」
「いや、頼んではおらん。」
「その人も普段箸を使って、周りも当たり前に箸を使ってたら、結構その人が箸を使えないってことを忘れるんですよ…そのときは箸が使えないことを覚えてても、あとでと後回しにしたりしてそのままだったり…。」
「そ、そうかもしれんな。」
「その人はギルルドさんがお箸を使えないのを出発目前で思い出して、出発前に言ったらギルルドさんは…喧嘩がお好きの様ですから?喧嘩になると思って、木箱の底に書いたんじゃないですかね?ギルルドさんのことがどうでもよければ、わざわざ書く必要もありませんし。」
「ふむ…そうか、そうかもな…カノン殿に感謝を。
儂はこの一件をずーっと根に持っておった、カノン殿の話を聞いたらそういうこともあるかもしれんと思って、少し心が軽くなった気がする…。」
「いいですよ感謝なんて、そういう可能性があるって程度ですから。」
「いや、おそらく、たぶんカノン殿の言う通りなんじゃろう、若い頃は強さしか…強くなることしか考えておらんかった…。」
「お箸の使い方を教えるのはいいですけど、ギルルドさんの方はそれで本当にいいんですか?すぐに覚えるかもしれませんよ?」
「ああ、それでもいい、儂も何十年とうろ覚えで箸の練習をしたが…無理じゃった。
1人では限界なんじゃ、それに教えるのが1人増えたところで、カノン殿はキンほど手はかかるまい。」
「酷いっすよ師匠!カノンちゃんが弟子になったら、自分姉弟子っすよ!」
「そうじゃな、姉弟子なら妹弟子に笑われんようにもっと落ち着きをもつのじゃな。」
「うぐ…。」
「さて、教えるのはよいが、カノン殿、儂が教えるのは先程話した刀を使った剣術で普通一般の剣を使った剣術ではないがよいのか?」
「はい、それでいいです、もしかしたらそっちの方が覚え易いかもしれません。」
「そうか、儂の方は今からでもよいのじゃが、カノン殿の方はどうじゃな?」
「すいません、私の方は今日、代表会議に出席しないといけないみたいなので日を改めてもらえると助かります。」
「代表会議か、なら明日にでも予定が決まったら教えてくれ。」
「はい、分かりました。」
「その前にカノン殿の練習用の木刀を用意せねばならぬから、庭へ行こうか。」
ギルルドを先頭に庭へ向う。
庭へ向かったのは偶然ではあったが、この後、家内でなくてよかったと思うギルルドの姿があった。
いつもと違ってお祭り騒ぎの年号発表のようです。以下を調べたら由来は小難しい本からしいですが、
私の適当な解釈でいくと
明治、明るく治める、大正、大いに正しい、昭和、和の国を照らす、平成、平和に成る、令和、和の国民よ命令を聞け…まるでギアスです。
あれ?令和だけ印象が良くないのはきっと私の心が病んでるからでしょう。
最初にレイワという響きだけで思い浮かべた漢字は隷属の隷に首輪の輪で隷輪…病んでますね。(´・ω・`)
でも〝レイ〟って冷たい感じがしますね、冷・霊・零…他にも麗とか礼などあるのに最初に上げたレイの例が最初に思い付くのは、やっぱりおかしいのかな
(。´・ω・)?




