21、魔王取引をする。いや、普通の物々交換なんですけど…何故か怪しい取引みたいに聞こえますね(´・ω・`)
「その鳥を売ってください。」
「大泣きした娘っ子はこの鳥が欲しいのかニャ?」
「ニャって…、はい、欲しいです!それと私は花音です。」
「にゃ?…カノン…カノンか…で、カノンはこの鳥が欲しいと、ちょっと待ってなすぐ解体してやるからな。」
「い、いやいや、違います、違いますよ!」
「違うのか?これが欲しいんじゃなかったのか?」
「いや、鳥は欲しいです。けど解体したものじゃなくて、生きたままで欲しいんです。」
「そうなのか?変わった娘っ子だな…で?何と交換する?」
「タイラントボアの肉でいいですか?」
「た、タイラントボアかニャ⁉あ、あぁ、もちろんその肉があるならそれでいいニャ。」
キンは花音とおっさんの会話を聞きながら少し不機嫌そうに近づいて来る。
「カノンちゃんはその鳥が欲しいんっすか?」
「はい。」
「ニャーさん、このビックスパァロウにタイラントボアの肉はぼったくりっすよ!」
「キ、キンか…しかしカノンの娘っ子はタイラントボアの肉と交換したいって言ったんだぞ?」
「それでもっすよ!カノンちゃんからぼったくるなんて、自分が許さないっすよ!」
「わ、分かったニャ、分かったから、キンがこの娘っ子を相当気に入ってるって話は本当だったのか…。」
「キンさん、今回はタイラントボアの肉でいいですよ。」
「でも、このビックスパァロウを解体するってことはっすよ、もう歳で卵を産めないってことっすよ?」
「え?でももうすぐ子供が生まれるって言ってましたよ?」
「え?誰がっすか?」
「娘っ子、誰がそんなことを言ってた?」
「え?この鳥さんですけど?」
「「え?」」
キンの最初の不機嫌さも何処かへ…。
「やっぱり凄いっすね、カノンちゃんはダークネスウルフだけじゃなく、ビックスパァロウともお喋りできるんっすね♪」
「ニャ⁉」
「それならカノンちゃん、タイラントボアの肉を出してもらえるっすか?」
「いいですけど?」
花音はタイラントボアの肉を空間から取り出し、キンがナイフを収納袋から取り出し薄く切り分けて行く。
「これぐらいっすかね?
ニャーさん、これでそのビックスパァロウと卵3つと交換っす。」
花音はビックスパァロウについて何も知らなかったが、キンは知っていた…ビックスパァロウが産む卵は1回に最大3つまでと…。
これで卵が3つならカノンちゃんに良いとこ見せられるっすね♪少なくても問題ないっすからね。
花音の感覚では鳥を1羽買うのだから、もっとすると思っていのだが…キンが切り分けた肉は日本のスーパーなどで売られているすき焼き用の肉2パック分ぐらいの量に感じ、花音は自分の感覚の違いを改めて感じる。
あれ?なんでキンさんは確認もしてないのに卵3つっていってるんだろう?
と花音は不思議に思ったが、そう考えてるうちに取引が成立してしまう。
「ああ、分かった、それで問題ない。」
「あの…本当にそれだけでいいんですか?」
「これでも多い方っすよ。」
「問題ないよ娘っ子、これでもこちらが得してる。」
花音は取引が成立したようなのでビックスパァロウに話しかける。
「良かったね♡で、鳥さんは自分の卵がどれか分かるの?」
「ああ…あ、ありがとうございます!女神様。」
「女神じゃないよ、花音だよ。」
女神じゃなくて魔王なんだけどね…
「カノン様、はい分かります。」
「ん?何が分かるの?」
「え?自分の卵が…ですが?」
「あぁ、卵ね、うん分かった。」
ビックスパァロウと会話しているのであろう花音をみてニャーさんと呼ばれたおっさんはポカーンとしてその様子を見ている。
ニャーさんからすれば、花音の言葉しか分からないので、どういった会話の内容で女神様という言葉が出てくるのか想像も出来ない。
「凄いっすね、本当に会話してるみたいっす。」
「おじさん、卵は何処ですか?」
「あ、あぁ、こっちだ」
ニャーさんの案内で鳥小屋のような場所へ案内される。
「卵は何個あるのかな?」
「2つです、カノン様。」
「別に様付けしなくていいよ。」
「命の恩人です、そんなことは出来ません。」
「まぁいいや。」
とビックスパァロウと会話しながら小屋に入る。
「あんた大丈夫だったかい?」
「お母さん大丈夫だったんですね、よかった。」
と他のビックスパァロウが話しかけてくる。
「ここにいるカノン様のおかけでね。」
会話を聞きながら花音は…。
こ、これはアカンヤツだ、ナビちゃん!
(なんですか?)
このルナさんからもらった言語関係の能力って制御、話す相手とか、聞く相手って指定できるの?
(可能です。)
よ、よかった~、これがダメだったらおそらく狩りはできないよ、生きる為といっても殺すことが出来なくなりそうだったよ…。
ナビちゃんこれも魔法と同じでイメージでいいのかな?
(はい、それで大丈夫です。)
それじゃ、むん、むん、むむ、むん…
イメージ中です。
お?一覧が出来た、あれ?なにこれ?
一覧にはガルドラとさっき購入したビックスパァロウ(主:うかっり魔王)という項目があった。
とりあえず動物と魔物の欄にチェックをいれて、除外にこの鳥さんとガルドラさんっと、あとは追々変更していこう。
でもナビちゃん、これ、いちいちやってたら大変だよ。
(慣れてくれば一覧などは必要なくなると思いますが、イメージの問題ですので、明確な答えはありません。)
そっかー、ゆっくりできるようになったら考えよう、うん。
と思考から戻ると…購入したビックスパァロウの言葉が理解できなくなって、それ以外のビックスパァロウの言葉が理解できる、花音の想像と逆の状態になっていた…。
あ、なんか間違えたみたい。
(・・・・・・)
あはは、やり直し、やり直しっと…。
さすがに次は花音の思った通りに変更できたようだ。
「で、鳥さんの卵はどれなの?」
「あ、はい、これとこれです。」
「分かったよ、それでお母さんって呼ばれてたけど娘さんがいるの?」
「は、はい。」
「どの子?」
ビックスパァロウは小屋に居るビックスパァロウ3羽を器用に羽で指し示す。
「おじさん。」
「なんだ?娘っ子。」
「卵は2つで良いみたい、それでねタイラントボアの肉をもう少し渡すから、この子とこの子とこの子の3羽を処分することになったら、私にください。」
「処分前でいいのか?」
「できれば早い方がいいんですけど、おじさんも卵とかの都合があるでしょ?」
「まあ、そうなんだが…。」
「それに今は私もシナ婆さんの家でお世話になってるから、さすがに今直ぐに引き取るのは無理だと思いますし…。」
「ニャ⁉シ、シナ婆さんの家に厄介になってるのか?」
「うん、シナ婆さんがわーの家って言ってたから、間違いないと思うけど…。」
「よ、よかった~ぼったくったりして、シナ婆さんにバレたらどうなったことか(ボソボソ)」
ニャーはボソボソと呟いた。
「キン、ありがとな。」
「なんっすか?いきなり。」
「この娘っ子がシナ婆さんに厄介になってるなんて知らなかったからよ。」
「あ~納得っす、ぼったくらなくて良かったっすね。」
「ああ、助かった。」
「どうですか?」
「いや、娘っ子が引き取れるようになったら、直ぐ引き渡す。」
「え?いいんですか?」
「構わん、シナ婆さんが家で世話するぐらいだ、それにビックスパァロウはまた捕まえればいいしな。」
「ありがとうございます。」
花音はキンに小声で話す。
「キンさんタイラントボアの肉を適正交換よりも大きめに切ってもらっていいですか?」
「良いんっすか?」
「はい、卵の分も考えてくださいね。」
「分かったっす。」
「ニャーさん、カノンちゃんがもしかしたら卵も貰うかもしれないっていってるっす。」
「ああ、成程な。」
ニャーは花音が持っている卵を見て納得する。
「その分を含めてこれぐらいでいいっすか?」
「なっ⁉いや、卵を含めてもこれは大きいだろ。」
「カノンちゃんが良いって言ってるっすから、これで3羽と個数未定の卵の分でいいっすか?」
「娘っ子…最初はすまなかった、タイラントボアの肉に目が眩んだ、すまなかった。」
「いいんですよ、私も相場がよく分かってなかったんですから。」
「それでもな…ビックスパァロウ3羽と個数未定の卵の分はそれで問題ない、取引成立だ。」
「ありがとうございます。」
「引き取れるよになったら教えてくれ。」
「はい、お願いします。」
両腕でビックスパァロウを抱えた花音はキンとその場を後にする。
「あんな格好だからちょっと良い感じはしなかったんだが…キンがあれ程気に入って、シナ婆さんまで世話してんなら考え直さないとだな。」
ニャーは花音たちの後ろ姿を見ながら呟く。
今になって、金銭での売買ではなく物々交換にしたことを後悔しています
(´・ω・`)
どうも頭が固いと言いますか…今回は鳥ですが、この鳥と交換するのはどのような物が妥当なのかと考えても異世界なので答えがでません(´・ω・`)
もっと気楽に考えることにしますので、それと交換はおかしい、と思うところも出てくるかもしれません。そのときはすいませんがスルーしてください。




