18、猫人族に聞いてみた。いや、ただニャを付けないのか尋ねただけですよ?
花音はナンとキンによってシナ婆さんの家に運ばれ寝かされている。
「う、う~ん、……うにゃ?知らない天井だ…。」
テンプレです。
花音は周囲を見渡すが見たこともない風景だった。
大きな壺、木で出来ていると思われる不格好な台のような物、テレビなどでしか見たことのない囲炉裏、必要最低限の殺風景な感じだった。
花音は自分にかけられている物に気付きそれを見る。
「葉っぱ?大きな葉っぱ…だよね?」
説明すると花音は、藁を敷き詰めて、その上に厚手の布を敷いた場所に寝ていて、体には大きな葉っぱが数枚かけられている。
「ニャ?嬢ちゃん起きたかニャ?」
シナ婆さんが入り口と思われる場所から入ってくる、人が1人通れるぐらいの縦長の穴が開いていて、内側から穴を隠すように布が垂れ下がっている。
「あ、はい、おはようございます。ここは…?」
「ここはわーの家ニャ」
「わーの家?」
「そうニャ」
「わーってなんですか?」
「ニャ?まだ寝惚けるのかニャ?わーはわーニャ。」
それでも首を傾げている花音を見て、シナ婆さんは気が付いた。
「ニャるほど、わーは私という意味ニャ、わーの家とは私の家という意味ニャよ。」
「え?シナ婆さんの家ですか、すいません…お世話になりました。」
「本当ニャ、大泣きしてそのまま寝たニャ、村のみんなもビックリニャ!それにしても酷い顔ニャね。」
「酷い顔⁉…そりゃー美人さんではないですけど…(ボソボソ)」
「何を言ってるのかニャ?泣き腫らして顔が酷いことにニャってるニャ。」
シナ婆さんにそう言われ、花音は自分の顔を触ってみる。
「嬢ちゃんが目覚めたら代表会議の予定だったニャ…が、そんな顔で会議には出せニャいニャ、ルー!ルーニャ!」
「何ですか?」
ルーと呼ばれた女性が入り口から顔を覗かせた。
「この嬢ちゃんに塗る方の回復薬を塗ってやるニャ、わーは村長に嬢ちゃんが目覚めたことを知らせてくるニャ。」
「はーい。」
「あの、私の杖は何処ですか?」
「ニャ?嬢ちゃんの杖ニャらすぐ横にあるニャ。」
「あっ、あった。ありがとうございます。」
「さて、わーは村長の所に行って来るニャ。」
そう言ってシナ婆さんは外へ向い、入れ替わりにルーと呼ばれた猫人族の女性が入ってくる。
「はい、大泣きちゃん、薬を塗るから目を閉じてね。」
花音は大人しく目を閉じる。
「ルーさんでしったけ?その大泣きちゃんって私のことですか?」
「そうよ。」
「私は花音って言います、よろしくお願いします。」
「はい、よろしくね。大な…カノンちゃん、はい、目を開けて良いよ。」
「ありがとうございます。」
ルーは薬の片付けをしながら
「カノンちゃんも大変よね。」
「大変?代表会議のことですか?」
ルーは薬を片付け終えて、花音の方に向き直り可哀そうなものを見る目で花音の両肩を掴む。
「強く生きるのよ。」
「え?何ですか急に?続きを聞くのが怖いんですけど⁉。」
「カノンちゃんの名前を知ってる人は村長やお婆ちゃんとか極一部なのよ。
村のほとんどの人はカノンちゃんが昨日、大泣きしてる所しか見てないの、だからね…みんなカノンちゃんの名前を知らないから大泣きちゃんとか大泣きの嬢ちゃんとか呼んでるの…。
実際、ほとんどの村人がそう呼んでるわ。唯一の救いは危険があるかも知れないってことで、あの場に来るのを禁止された子供達ぐらいかしら?」
「いやーーー!私お外に出ません、引き籠ります。」
「まぁ、カノンちゃんの名前が村に定着するまではね…頑張りなさい。」
「はぁ~しょんぼりですよ。あ、それと家の中にトイレがないようなんですが…何処にあるんですか?」
花音は異世界到着初日の件があるのでトイレについて質問してみる。
「トイレね…カノンちゃんは人族だから気にならないかもしれないけど、獣人族は鼻が良いのよ、家の中や村の中にあったら異臭で全滅してしまうわ。」
「え?じゃあ何処にあるんですか?異臭で全滅って…この世…この村のトイレって…」
「トイレは村の外、カノンちゃんが来た入り口とは反対方向にかなり行った所ね、一応、男女別々でスライムを使ってるわ。」
「スライムですか、偶に(本で)見ますね。」
「あとはこの村でのカノンちゃんへの注意事項は…水ね、水は雨の時に水瓶に溜めるか、川へ汲みに行くか魔法で出すかだけど、川の水と雨水は飲むとお腹を壊すことがあるから、飲み水は魔法で出した方が安全ね、自分で水を出せないなら狐人の人に頼めば良いわ、狐人は水魔法使えるから。
あ、でも頼むときは水魔法じゃなくて水術って頼まないとダメよ。」
「水術ですか?」
「そうよ、水術。水魔法で頼んだら怒らないけど、機嫌が悪くなる人も居るわね。
狐人は魔法のほとんどが術になってるから…細かいかもしれないけど術に誇りを持ってるみたいね。」
「なんとなく分かります。」
「だから頼むときは気を付けてね。
あとは…水にトイレに、カノンちゃんの恰好は説明があったから特に問題じゃないとして…あっ、カノンちゃんが村を歩くときは三獣士の誰かが一緒じゃないとダメって村長がいってたわよ。」
「三獣士…ですか?」
「あれ?本人たちから聞いてないの。」
「はい。」
「三獣士はカノンちゃんを村まで連れて来た、スダレ・ナン・キンの3人のことよ、年齢が近くて強いからいつの間にかそう呼ばれるようになったのよ。」
「三獣士か…もう1人いたり…しないですよね?」
花音は自分の知識にある三銃士を考えて何気に聞いてみた。
「あれ?知ってたの、もう1人タマちゃんが3人と一緒に最近行動してるのよ。」
「スダレ、ナン、キン、タマ…ナン、キン、スダレ、タマ…プッははは、南京玉すだれだ♪」
「お?笑顔になったね♡、で、ナンキンタマスダレって何?」
「はは、南京玉すだれは私の国の伝統芸です。」
「へ~カノンちゃんはその伝統芸ってできるの?」
「出来ません、やったこともありません。見たことがあるだけです。」
「そっか、残念。」
「そのタマさんはガルドラ…ダークネスウルのときは防衛に参加しなかったんですか?」
「参加したけど、直ぐやられたみたいね。
あの子は偵察・斥候が主だからそんなに強くないの、というか猫人族全体が偵察・斥候が主で、身長とか胸とかそんなに育たないのよ…身軽さが主体の一族だからね。」
「成程…。」
「ちょっとカノンちゃん!どこを見てるのかな?」
「何処もミテナイデスヨ?」
「まぁいいけど、私からの注意事項はこれぐらいかな?それ以外は村を案内してもらいながら教えて貰ったらいいよ。
何か聞きたいことはあるかにゃ…あるかな?」
「1つ…ルーさんはシナ婆さんみたいにニャって言わないんですか?」
「ん~、たまにニャって言ちゃうけど、もうそんなに言わないかな?」
「そうですか…可愛いのに…。」
「あはは、猫人は子供のころはよく使うけど、大体15歳ぐらいで使わなくなるわね、ただ…シナ婆ちゃんの影響で使っちゃう人もいるんだけどね。」
「可愛いからいいじゃないですか。」
「ありがとう、でもねカノンちゃん想像してみて、女性は…まぁいいとして、おっさんがニャって使ってても可愛いって言える?」
「…嫌ですね…可愛くありません。」
「でしょ、おっさんはさすがにね…。」
20話を書いてたんですけど、保存に失敗して書いた1500文字が消えました(´・ω・`)
説明回が終了すれば話の進行も早くなると思うのですが、説明回まで最低5話ぐらいかな?
書いてる途中で話が降りて来たら、更に増えるかもしれません。
(2019年6月段階で嘘ですね…このあとがき5話以上増えました(´・ω・`))




