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私、魔王になりました(;´・ω・)  作者: 華丸chan
第三章
176/183

175、袋小路。

誤字報告頂きました。ありがとうございます。



時は少し遡り…。

村長にどうするのか?と尋ねられた4人はしばし押し黙る。



最初に口を開いたのはタマであった。


「にゃーは、いえ、何でもないですにゃ。」

「わしらのことは気にしなくてもいいのぅ、思ってることを言えばよい。

とは言え、タマの言葉で全てが決まってしまうという訳でもないがのぅ…。」

「なら、にゃーは自分の力であの人を助け出したいと思ってますにゃ。」

「そうか、そうかの…。」


「私もタマと同じ気持ちですが………。」

「ふむ、何が引っ掛かっておるのかの?」

「引っ掛かっている訳ではありませんが、その様な状況の師匠を一刻も早く助けたい、という気持ちもあるんです。カノン殿を頼ることになったとしても。」


「私もキルトの気持ちと同じです。が、あの戦いを観た今のとなってはカノンさんを頼るのも…と思う自分が居るのも確かなんですよ。」


「ふむ。クルトは…。」

「クルトはカノちゃんを頼る方を選ぶと思ってたんだがニャ…偽るのを止めたのかニャ?」

「シナロナ様、今までの私も間違いなく私ですよ。ただ…今この胸に渦巻いている気持ちをどのように表せばいいのか…。」


「2人…3人がカノン様の御力を借りずに助け出したい、それも早く。

というなら、話は簡単ですわよ。早く強くなれば良いだけですわ。」

「カルトの言葉は尤もなんだがな…。」


「うちから言えることは、絶対に死ぬようなことがないように守ることは約束するですです。

現状維持、それが主からの命ですです。」


「それなら…。」


「ラクネアさんに質問ニャ。」

「何を聞きたいですです?」


「わーたちがオルトの救出に向かうとして、相手の戦力はどのくらいなのかニャ?正面から救出することが出来るのかニャ?それとも戦闘を避けて救出した方が良いのかニャ?」

「シナ婆さんの質問は難しいですです。」

「難しいのかニャ?」

「ですです。うちや主を基準に考えるとです、どちらも簡単ですです。

ただ、ここに居る者達を基準にすると、実力を知らない今の段階ではどちらも判断し難いですです。」

「………まあ、そうだろうニャ。正面からだと相手はどのくらいかニャ?」

「ざっと見積もって1000ってところですです。」

「1000⁉」

「その数相手では無理じゃのぅ…。」

「カノン殿の御力を借りるしかないということか…。」



再び沈黙がその場を支配したので、ラクネアは花音を呼ぶことを提案する。



「このままでは袋小路ですです?ここで主を呼ぶです。」

「それしかあるまいな。4人、いや、3人の気持ちも分るからのぅ。」

「カノちゃんが居ニャいと、話が先には進まニャいかニャ?」



(主、主。説明終わったです。ただ…。)

(あ、ちょっと待ってください。――――――、それで何か問題でも?)

(みんな葛藤してるですです。)

(へ?なんで葛藤?今向かってますから、そちらで聞きます。)

(分かったですです。)




念話を終えて、直ぐに花音は武道場に入って来る。


「すいませんお待たせしました、ちょっと聞いたところでは、葛藤してるらしいですけど、何で葛藤してるんですか?」


「カノン殿…それはがのぅ…。」


「キルトとクルト、タマの3人は師匠を早く助け出したい、でもカノン様の御力を借りるのにも遠慮があり、相手の数は1000、やっぱりカノン様の御力を借りなければ…と悩んでいるんですわ。」


「そうなんですか…カルトさん。」

「はい♪」

「様付けは禁止ですよ。」

「あ、そうでしたわね…。」


「注意してください。さて、本題の方ですが期限を設けてみますか?」

「期限とは?」


「みなさん、オルトさんの状況を聞いて、焦りで視野が狭くなってるんだと思います。

ですから、期限を設けて、その間で判断するということです。」

「ふむ…。」


「ラクネア殿は師匠の命の保証をしてくれましたが、やはり一刻も早くという気持ちが…。」


「キルトさんの気持ちは分かります。

とは言えませんが、焦りで視野が狭まってますよ。

キルトさんはここに居る6…4人だけで救出を行うことを考えてないですか?

まあ、そこに私を含めるかで迷ってるんでしょうけど…。」


「え?」

「カノンさん、それはどういうことですか?」

「カノンちゃん、にゃーたち以外に誰かいるんですかにゃ?」


「そこは分かりません。」

「分からないって…。」

「だって、この件はまだここに居る人以外には話してませんからね?」

「ですわね。キンやナン辺りなら手を貸してくれそうですわね。」

「そういうことです。他の人の力を借りるってことを考えてませんでしたよね?」


「確かにニャ、普通ニャら、村人全部は考えにニャかったとしても、猫人族全体で、とは考えていたかもニャ。」


「皆は手を貸してくれるでしょうか?」


「そこまでは分かりませんよ。あ~、ちょっと待ってくださいね。頭の中を整理します。」


そう言って、花音は目を瞑って黙り込む。



「あっ、え?でも…もしかして……私の所為ですか?」

「カノン殿の所為じゃと?」

「ニャにを言ってるのかニャ?」

「カノンさみゃんの所為なんてことはありませんわよ!」

カルトさんはまた様って言いそうになってますね…今度あの腕輪を様付け仕様でプレゼントしようかな?


「いえ、え~っとですね、私がオルトさんの件をここに居る人たちだけに話すって言った所為で、さっき言った、他の人の力を借りるって選択肢が最初から除外されちゃったのかな~っと思いまして…。」


「「「あっ。」」」

カノンのこの言葉に、心当たりがあるカルト以外が「しまった!」とでもいうように声を漏らす。


「あ~、これはわーの責任だニャ。カノちゃんにはわーがオルトの件はわーとカンダチしか知らニャいって教えてたからニャ、だからカノちゃんはわーとカンダチ、弟子のキルト、クルト、カルト、それに…タマだけを選んで話をしてくれたんだろうからニャ…。」


「そういうことじゃったか。」


「状況を整理して行きましょう。あ、皆さん勘違い…というか、気が逸って勘違いしてるかもしれませんから、一応言っておきます。

ここで決めたことをすぐに実行って訳にはいきませんよ?仮に私が救出するにしてもです。」


「「「あっ…。」」」


「それは当然じゃのぅ。」

「そうだニャ、カノちゃんに頼んだとしても、ニャんの準備もニャく、救出には向かえニャいニャ。」

「そういうことです。」


たぶんすぐ救出に向かえると思うんだけどね…。

(それはお止めください。)

なんで?

(花音様が救出に向かったとして、ラクネア様の報告通りの光景を目の当たりにした場合…。)

ああ、うん。何が起こるか分からないね…うん、私が行くなら心の準備をしてからにしよう。


「そこを理解してもらったうえで、ラクネアさん。」

「なんです?」

「ラクネアさんが知ってる限りの情報を教えてください。」

「了解ですです。主に以前伝えた情報にちょっと追加報告するです。うちの―――。」


「ちょっと待って欲しいニャ!」


「どうしたんですか?」

「スリーピーさんに質問ニャ。」

「ん?」

「わーたち1人1人に分体を就けられるかニャ?」

「出来る。」

「それと…この武道場の中を覆うように分体を配置することは可能かニャ?」

「可能。いっぱい居るから。」

「それなら、悪いんだがニャ、お願い出来ないかニャ?」


「マスター、どうする?」

「………シナ婆さんの言ったように手配お願い。」

「ん。」


しばらくして、大量の分体が武道場に入って来る。




一方外では…。

分体の待機小屋から多くの分体がぴょんぴょん、ズリズリと武道場に向かって移動を開始する。



「な、何事じゃ⁉」

「スリーピーさんの分体の大行進っすね♪」

「ちょ、ちょっと待つナ!結界―――。」



ハルサメの制止を無視…無視というよりも、優先順位の所為で分体たちは止まることなくハルサメの結界の一部をあっさり破壊して武道場へと向かう。



「ナー!」

「村から離れておる間に腕が落ちたか?」

「そんなことはないナ!スリーピーさんの分体が強過ぎるんだナ!」

「ぷるぷるしてるだけなんっすけどね…。さすがはスライムの魔王の分体っすね。」

「そうだナ、何が起こってるの分からないがナ………はぁ~、結界の張り直しナ。」





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