162、来訪者。予想よりも増えてました。
ドアノッカーの音で到着を知らされて、
「はい、は~い。」と言いながら花音は玄関の方へ向かう。
花音は少しだけ扉をを開け、来訪者を確認する。
うん、やっぱりキルトさんだった…何故クルトさんも一緒なの?
花音はラクネアの言葉を思い出し、知らない猫人族というだけで、人数までは言ってなかったことを思い出す。
「あっ…すいません、折角ここまで来て頂きましたが、ここから先はシナ婆さんだけでお願いします。」
「何故ですか!」
「…キルトさん。タマにゃんは女の子ですよ?」
「それは知ってます!」
キルトの言葉にその場に居る全員が呆れた感じでキルトの方に視線を向ける。
「え?何故…クルトまで⁉」
「その辺りはキルトさんより、クルトさんの方が上、見たいですね…。」
「わーはタマの治療をしてくるニャ。」
「お願いします。私は外で説明しておきますから。」
「分かったニャ。」
シナ婆さんは家の中へと薬を持って入って行く。
「か、カノン殿、それで…。」
「え?ああ、ん~…女の子は自分の酷い顔を他の人には、あまり見られたくないもんですよ♪」
「な、成程…。」
「キルはそれで納得するっすね…タマにゃんは大変っすね。」
「キルトだからね。」
「そうじゃな…して、タマの様子はどうなのじゃ?」
「タマにゃんはスライミーさんを召喚した辺りから、記憶が曖昧で、さっき目覚めるまでの間のことをよく覚えてませんでした。」
「そうっすか…。」
言葉を発したのはキンだけだが、他の者達も何処か安堵した表情をしている。
「はい。ですからオルトさんのことはちゃんと説明しておきました。」
「「「えっ⁉」」」
「カノン殿!何故!忘れているならその方が!」
「キル!落ち着くっす。」
「キン!これが落ち着けるか!」
「それでも!落ち着くっすよ…。」
「くっ!」
「キルトさんの考えは分かります。実際に私も迷いました…。」
「それなら何故!」
「タマにゃんの今後の為です。」
「タマの今後の…為…。」
「そうです、オルトさんの件は今は忘れてるから良くても、また何時、今回のようなことが起こるか分かりません。」
「で、ですが!」
「その時!…その時にタマにゃんの側に誰かいてくれる保証はありませんよ?」
「そっ!……ぐっ、すいません。」
「カノンちゃんはタマにゃんに自分で乗り越えさせる気っすか?」
「乗り越えさせる?何を?」
「キンは勘で先に進めるから、偶に私達、周囲は置いてけぼりなのじゃ。」
「キンたんは難しいと、止めた方がいいと…思いますか?」
「正直分からないっす。それが出来るなら、当然そっちの方が良いんっすけど…。」
「そうですね…。ナンのんとスダレたんには申し訳ありませんが、このことについては、まだ、しばらくは話せません。」
「そっか…それならいつかは話してもらえるということでここは納得しておくよ♪」
「そうじゃな…私達だけというのは、キルトとクルトには教えるということなのじゃな?」
「教えるというよりも、後のオルトさんの件の時に気付くと思います。」
「キルとクルトが気付くっすかね?カルトは…無理と思うっすよ?」
「3人が気付かなくても、村長さんかシナ婆さんは気付くと思いますよ?」
「そうっすね…納得っす。」
「タマ…大丈夫かニャ?」
「シナお婆ちゃん…。」
「⁉…タマにお婆ちゃんと呼ばれるのは…何時振り…かニャ?」
「あっ、ごめんなさいにゃ。」
「別に怒ってる訳じゃニャいニャよ。
何時からかタマはわーのことをお婆様と呼ぶようにニャったニャ…
あの頃…カノちゃんがこの村に来るまでは、別にニャんとも思わニャかったんだがニャ…
…今は少し寂しいと……思うニャよ。」
「シナお婆さ、お婆ちゃん。」
「うん、うん。お婆ちゃんで良いニャよ。さて、ちょっと顔を見せるニャ。」
「はいですにゃ」
「ん~…これは…カノちゃんの杖の能力かニャ?もう治りかけてるニャ…タマは薬が必要かニャ?」
「…出来れば…塗って欲しいですにゃ。」
「そうか…そうかニャ。それじゃあ、目を瞑って、少し上を向くニャ。」
タマは言われた通りに目を瞑り、少し上を見る。
シナ婆さんはタマの目元に薬を塗り…。
「タマ…すまニャかったニャ…わーが腑抜けてたばかりに、わーの所為で辛い思いをさせてしまったニャ。」
「シナお婆ちゃんは悪くないですにゃ!」
「いや、わーが全てを諦めてた所為ニャよ…タマのことも、村のことも、オルトもことも…何処かで諦めてたニャ…。」
「お婆ちゃん…カノンちゃんはあの人、オルトさんは生きていると言ってましたニャ。」
「にゃ⁉そうか、そうかニャ…オルトは生きてるかニャ…。」
「カノンちゃんから聞いてないですかにゃ?」
「生死に関してまでは、まだ教えてもらってニャかったニャ。
あの時はそれどころじゃニャかったからニャ…。」
「あの時ですかにゃ?」
「いや、タマは…タマは何処まで記憶に残ってるのかニャ?」
「カノンちゃんにも聞かれましたにゃ…カノンちゃんの召喚の途中から記憶が曖昧ですにゃ。」
「…そうかニャ、タマはスライムの魔王が召喚された影響で気を失ってたからニャ。」
「にゃっ⁉す、スライムの魔王ですにゃ⁉」
「そうニャ、わーたちもガクブルだったニャよ♪ゴルクニャんて、真っ先に逃げ出したぐらいだからニャ♪」
「そんなことが…。」
「カノちゃんの頭の上のスリーピーさんは、そのスライムの魔王の分体ニャ。」
「⁉あとで拝ませてもらいますにゃ!」
「カノちゃんは風呂場にも居るから、そっちを好きニャだけ拝めと言ってたがニャ…。」
「残念ですにゃ…。」
「わーからも頼んでみるニャよ♪」
「お、お願いしますにゃ!」
ふむ…記憶が曖昧なお陰で、気を失って目覚めて以降のことがニャかったみたいに、ニャにもニャかった、昨日の朝まで戻ってるようニャ感じニャね…。
「どかしましたかにゃ?」
「ニャんでも…いや、カノちゃんはオルトのこと以外にニャにか言ってたかニャ?」
「カノンちゃんは…エレ…エレなんとかさんとの手合わせを見て、自分たちの先の可能性を感じて欲しいと言ってましたにゃ。」
「先の…可能性かニャ……それはわーのようニャ年寄りも、タマのようニャ、若い者がしっかりと見ておかニャいとダメニャよ。」
「はいですにゃ。あと…。」
「ニャにかニャ?」
「カノンちゃんはオルトさん救出について2つの選択肢があると言ってましたにゃ。」
「ああ…おそらく、わーたちかカノちゃんがって言ったんじゃニャいかニャ?」
「⁉そ、そうですにゃ!」
「カノちゃんは…オルトを助けることは確定ニャんだニャ…ぅっ…わーは、わーたち猫人族は…カノちゃんに…。」
「気にしないでください。」
「にゃ⁉」
「ニャ⁉」
「そろそろ良いかな?っと思いまして、呼びに来ました。
うん♪元に戻ってるね♪元の可愛い顔です♪」
「カノンちゃん…。」
「オルトさんの件は私が勝手に決めただけです。反対されてもこの件だけは私が全力でどうにかします。」
「カノちゃん…。」
「シナ婆さん…タマにゃんは先に外で待ってる皆に顔を見せて安心させてあげてください。」
「……カノンちゃん。」
「どうしました?」
あっ、1人だと不安なのかな?
「その…。」
「大丈夫ですよ♪」
「その…スリーピーさんを拝ませて欲しいんですにゃ!」
「…えっ⁉そっち⁉」
「どっちですかにゃ?」
「い、いえ…まあ良いです。」
花音は頭の上のスリーピーを拝み易いように、自分の頭の上から降ろそうとしたところで、タマから待った!がかかる。
「出来れば…そのままではダメですかにゃ?」
「……今回だけですからね。」
「あ♪ありがとうございますにゃ♪」
そう返答して、タマは早速拝みだし、シナ婆さんも一緒に拝みだす…。
シナ婆さんまで…もういいや!
(神殿でも建てますか?)
嫌だよ!神殿建ててどうするの⁉銅像でも作って置いとくの?
(それも良いですね♪)
良くないです!
(強さを崇拝するのは、どの時代でも同じですよ?)
まあ、そうかもなんだけどね…自分がその立場になるのは結構嫌なもんだね。
(嫌なんですか?)
嫌だよ!この辺は喜ぶ人と嫌がる人に分かれるとは思うけど、私は嫌な方だね。
(そうですか…。)
そうなんです!っと、さて…。
「そろそろいいですか?時間が結構経ってしまいましたし…。」
「それは仕方がニャいニャ。村人も待ってるからニャ。」
「残念ですにゃ…にゃーは先にキンお姉さま達に謝って来ますにゃ。
あっ、杖ありがとうございましたにゃ。」
そう言ってタマは杖を花音に返してから玄関へと向かう。
「カノちゃん…。」
「シナ婆さん。私はこの村に来て、キンたんやシナ婆さん、それ以外の村人に良くしてもらいました。
だからといって、オルトさんの件は恩返しという訳じゃないですよ?」
「……。」
「一度言いましたが、タマにゃんのことは私が原因です。
だから、オルトさんの件に関しては、私に出来る限り、全力で良い方向に向かうように事に当たります。」
「そ、それでもニャ…。」
「オルトさん救出自体は正直問題じゃありません。」
「ニャ⁉」
「本当の問題は救出した後です。」
「救出の後…かニャ?」
「そうです。オルトさんの現状はラクネアさんの報告で、ある程度分かってます。
ただ…心、精神状態まではさすがに分りませんから…
救出後、そこからはシナ婆さんたちが苦労すると思いますよ?」
「……まだわーには、わー達にはしなければニャらニャいことがあるんだニャ。」
「はい♪私が面倒だからシナ婆さんたちに押し付ける訳じゃありません!」
「それを言ったら台無しニャよ…ふは♪っはは♪」
カノちゃんは、何だかんだ言いニャがら、助けそうだがニャ♪
と思いながら、シナ婆さんは涙を浮かべて笑い続ける…。
次で手合わせ出来るのか!乞うご期待!
って本当にどうなるんでしょうね…私の中では次には、最悪でもその次で…とは思ってるんですけど…。
少しずつ修正してるんですけど…24話辺りが酷いですね、すいませんでした。
ギルルドがガルルドになってました…しかもごちゃ混ぜで…この時期、ゆとりがなかったような記憶はあるんです。
はい。ゆとりが…心に…。




