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私、魔王になりました(;´・ω・)  作者: 華丸chan
第三章
161/183

161、呪い。…忘れてました。



2階を確認しに行った3人のうち、ナンが入り口から顔を出す。


「カノンちゃん。」

「なんですか?」


「ナンだよ♪」


ナンのんって意味じゃなかったんだけど…まあいいや。


「…あのね、壁にピッタリだと死角が出来るから、少し離せないかな?」


「死角ですか…分かりました。」



花音はナンに言われた通りに壁と2階の床に少し隙間を作る。



「どうですか?」


「キン、どんな感じ?」

「問題ないっす、欲を言えばもう少し隙間があった方が観易いっすかね?」

「そっか…スダレの方は?」

「キンに同意なのじゃ、もう少し隙間があれば観易いと思うのじゃ。」


「りょうか~い、カノンちゃん、もう少し隙間空けて貰えるかな?」

「分かりました。」



花音は再度2階の床の隙間を広げる、人が落ちない程度、片足が嵌る程度の広さに。



「カノンちゃん、それぐらいで大丈夫だって♪」


「分かりました。それじゃあ、皆さんにラクネアさんとエレンシアさんの紹介をしてから、観戦してもらいましょうか。」



花音は壁を収納して、村長たちに村人の誘導をお願いし、エレンシアの下へ向かう。



「エレンシアさん、村の人達に紹介しますから行きましょうか♪」


「うっ…。」

「どうかしました?」


「あ、主さん…その…あの~。」

「ん?」


「その…紹介は無しの方向には……出来ませんか?」

「どうしてですか?」


「え~っとですね…主さんが大事…仲良くしてるので抑えてはいるのですが…。」

「抑える…ですか?」


「はい。殲滅と…いえ、ハルサメさんとシナロナさんだけなら、抑えるというよりも警戒して手を出せないって感じなんですけど、先程の変な猫人…。」


「カルトさんですか?」


「たぶんそうです。あの猫人会った辺りから、抑えてないと攻撃してしまいそうで…。

あっ!いえ!主さんの村の村人ですから、そんなことはしませんよ!」


「私の村って訳じゃあないんですけど…そっか、そうでした…。」

グリズさんが特殊で、エレンシアさんの反応が普通ってことなんだろうけど…。



「すっかり忘れてました…すいません。」


「忘れてた…ですか?」


「はい、尻尾付の獣人は呪いで忌避されるというのを忘れてました。

ラクネアさんは大丈夫なんですか?」


「うちは大丈夫ですです。エルちゃんがそんなことを思ってたことに驚きです。」


「ラク姉ちゃんは全然感じないの?」


「なにをです?」


「なんて言ったらいいのか分からないけど…不快感というか…。」


「うちは感じないです…ん?あれ?ちょっと確認してみるですです。」

「何を?」

「ちょっと待つです。」

「……。」



「………あ~そういうことですか~です。」


「何か分かったの?」


「はいです。エルちゃんが生まれる前にルーニア大陸の尻尾付きの獣人はほぼ全滅ですです。」

「えっ⁉」

「全滅ってどういうことですか!」


「ひゃぅ!あ、主、落ち着いて欲しいですです。」


「あ、すいません。すぅ~はぁ~…説明をお願いします。」


「…はいです。現在ルーニア大陸に尻尾付は数人しか存在してないみたいです。」


「数人しか存在してないですか?」


「はいです。エルちゃんがあんなことを感じてるのが不思議で、ちょっと過去の情報を調べたです。」


「ちょっとって…そんなに直ぐ調べられるんですか?」


「ヴァロノススパイダーのアラニャが過去の情報を整理してくれてるですです。」


「ヴァロノス?」


「ヴァロノスは人族の男爵という意味です、うちとアラニャはお茶飲み仲間ですです♪」


「お茶飲み仲間?」


「ラク姉ちゃん、それ私も初めて聞いたよ?」


「仕方ないです、アラニャはその存在を知られることを嫌ってるです。

だからこんな場合でもなければ、うちはその存在を言うことはないですです。」


「え?それなら今言っても良かったんですか?」


「大丈夫です、でも、なるべく秘密でお願いするですです。」

「分かりました。」


「エルちゃんもお願いするです。」

「うん、分かった。」


「それで、そのアラニャさんというのはどんな人なんですか?」


「アラニャはうちと逆で、上半身蜘蛛で下半身が人です、だから気味悪がれて殺されかけたことがあるです。だから、うちみたいな同族以外には姿を見せないですです。」


「上半身が蜘蛛で、下半身が人ですか…。」


「ですです。うちとエルちゃんの関係に似てるですかね?一応はうちの配下です、でもお友達ですです♪」


「はぁ~…そのアラニャさんは何と言ってるんですか?」


「ルーニア大陸の尻尾付きは産まれてすぐに殺されると…運良く生き残った尻尾付は、同族に狩られ、他種族に狩られ、現在ひっそりと隠れながら数人残ってる程度だそうです。」


「「………。」」


「その為、エルちゃんは尻尾付きの獣人族をここで初めて見たことになるです。」


「そんなことが…これも早目に準備しないといけませんね…。

でもエレンシアさんは不快感を感じたのに、なんでラクネアさんは感じなかったんでしょうね?」


「それはうちにも分からないですです。」




ナビちゃんは分かる?


(ラクネア様は魔物ですから、ガルドラ様もそうですが、魔物には呪いの影響がなかったのではないかと思われます。)


魔物だから…か。


(この呪いは獣人の間だけの呪いですから、他の種族には本当は影響がないはずなのですが…

エレンシア様は初めて尻尾付の獣人を見て不快感を感じられたということは、多少なりとも他種族にも呪いの影響があると証明されたようなものですね。)


そっか…その生き残ってる人たちをこの村に…。


(そこはカンダチ様たちの判断が必要になります。)


そうだね、私だけで決めて良いことじゃないね…。




「取り敢えず理解しました。エレンシアさんは紹介しますけど、私から皆さんに伝える形にします。」


「すいません。」


「仕方ないです。エレンシアさんが謝る必要はありませんよ。」



それなら…壁の安全性も見せないとダメだろうし、みんなから見える位置の方が…



「すいませんが、エレンシアさんはみんなから見える位置で、中央のラインから外れたところに居てください。」


「中央ラインからですか?」


「はい、また壁の耐久を皆さんに確認してもらうことになると思うので…。」


「分かりました。」




花音はエレンシアとの話を終えて、入り口に集まっている村人の方にラクネアと一緒に向かう。



あれ?



花音は集まった村人の中にある人物たちを見付けるが、確認は後にしようと敢えてスルーする。



「皆さん、突然集まって頂きありがとうございます。

さて…先ずは紹介からしましょうか。

私の隣に居る人が、私の従魔になってくれた、アラクネのラクネアさんです。

そして、あちらに居るのが、ラクネアさんの友人のエレンシアさんで、魔王ではありませんが、魔王を名乗れるほどの強者です。」



ラクネアとエレンシアは花音の紹介の後、軽く会釈する。



「エレンシアさんの強さはハルサメさんと同等かそれ以上です。

折角ここまで来て頂いたので、この森しか知らない皆さんの為に私とエレンシアさんで手合わせしますから、それを観てもらって、外の世界を少しでも感じてもらおうと、集まってもらいました。」



花音の言葉に集まった者達は騒めく。



「次に安全に観戦してもらえるように壁を作りました。それがこれです。」



花音は壁を出現させる。



「皆さん、本当に安全か気になると思いますから、実際に見てもらいましょう。

え~っと…誰か試してみますか?」



花音の問いに名乗りを上げる者はいない。



「いませんか?いないなら…ラクネアさん、すいません。

さっきのやつをもう一度お願い出来ますか?」


「了解ですです。でもこの距離だとうちも危険です。」


「あ~…分かりました。」



花音はエレンシアの下へ向かい、こっちに来るかどうかを確認するが、エレンシアの回答は否であった為に、自分もエレンシアの近くに居ようと思い、壁の方を移動させる。



「ラクネアさん、この距離で良いですか?」


「それぐらいで大丈夫ですです。え、え~っと…。」


「ラクネアさんより後ろに居ればいいっすか?」


「あ、そうですです。出来ればもう少し離れてもらった方がいいです。」


「了解っす。」



キンは村人たちにもう少し下がるように伝え、村人が下がったことを確認して…



「…ではいくです。………『はやち轟雷!』」



前回と同じく幾重もの電撃の束が壁に向かって行き、壁とぶつかって、「ドーン!」っという音と共に武道場が揺れる。


その威力に村人たちは放心状態に、特に狐人族は詠唱もなくあの威力の魔法を使われたので、今までの自分たちの魔術に対する常識が崩壊寸前である。




「はい♪問題なしっと、皆さん確認出来ましたよね?」



花音の問いに反応する村人はいない。



「あれ?」


「皆さん放心してるみたいですよ?殺戮と殲…ハルサメさんとシナロナさんのお二人と数名は大丈夫のようですが…。」


「え?あぁ…ダメっぽいですね。」



エレンシアの言葉通りにシナ婆さん、ハルサメを始め、ギラン、キン、ナンは問題ないようだが、ゴルクやギルルドはその威力に驚愕、スダレやシグレも他の狐人と同じように放心している。





「ヨギリん!この程度で呆けてたら、カノンちゃんの一番弟子は名乗れないっすよ。」


「はっ!す、すいません。」


「いいよ、いいよ。キンの言葉はある意味正しいけど、ヨギリんはラクネアさんと会うの2回目で、1回目の時は捕食されてたからね。」


「いえ…お師さんの従魔がラクネアさんとガルドラさんですから…某も頑張ります!」


「そうっす!その意気っす!」


「いや、いやいや。その2人は花音ちゃんの従魔の中でも…あれ?スリーピーさんの本体って…あれ?サハギンのサハどんぐらい?私でも勝てそうなのって…。

うぅぅ~…私も頑張ろう…。」





「まったく…情けないナ。カノちゃん、ほっといて先に進めて良いナよ!」


「え?いいんですか?」


「構わニャいニャよ、こんニャの待ってたら話が進まニャいニャ。」


「そうですか?それなら次は…物理攻撃ですね。」


「ちょ、ちょっと待つニャ!」


「どうかしましたか?」


「その物理攻撃は誰がするのかニャ?」


「私ですけど?」


「あ~…確認はラクネアさんの魔法だけで十分ニャよ。」


「そう…だナ。これでカノちゃんまで確認したら、こいつら戻って来れなくなるナ。」


「えぇ~、でも…。」


「最初にカノちゃんが確認してるんだから、大丈夫ニャよ。」


「まあそうなんですけど…実際に自分たちの目で見た方が良くないですか?」


「そ、それは…。」



「主さん、確認の方は問題ないと思います。それに例の猫人族の娘も起こさないといけないんでしょ?」


「あっ、そうでした!スリーピーさん。」


「ん、大丈夫。いける。」


「それなら…シナ婆さん、村の皆さんの方お願いします。」


オルトさんのことは他の人に聞かれたらダメだろうから、家で起こした方がいいかな?


「私はタマにゃんを起こしますから、家の方に移動します。」


「……分かったニャ、タマのこと頼むニャ。」


「はい。」




花音は放心する村人の間を通って、隅で寝かされているタマを担いで、家の方へ向かう。




明日から大河ドラマの麒麟が放送開始ですね…色々ありました。

さて、大河で戦国時代とされる時代の九州と、関東ってやってないですよね?四国もかな?島津に大友、龍造寺、北条に佐竹に里見、長曾我部に河野、三好等々…。

資料が少ないのか、数字が取れないのか…と何があるのかと少し不思議に思ってます。

明後日の方向で、卑弥呼とか二宮金次郎、空海とか…

あ、大河に戦はつきものですから、金次郎と空海はなさそうですね。


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