16、暗躍。いや、そんなの必要ありませんからのんびり生きたいです。
一方その頃とある種族の街の執務室。
コン、コンとドアがノックされる。
「ライドン様報告が届きました。」
「そうか…入ってきていいぞ。」
「失礼します。」
「で、報告とは例の件か?ドナンよ。」
「はい、忌み子とダークネスウルフの件です。」
「それでどうなった?首尾は上手くいったか?」
「結論から申し上げますと…失敗しました。」
ダン!とライドンと呼ばれた人物が机を叩く。
「失敗したと言うのか!両方共か?」
「作戦遂行の状況確認をした者からの報告では、ボルドスによるダークネスウルフの誘き出しは成功しましたが、思いの外諦めが早く巣へ戻ったそうです。その為、ダークネスウルは子供も含め捕獲は失敗とのことです。」
「そうか…まぁ上手くいけばダークネスウルの子供か毛皮をあのお方に献上できると思ったが…これは失敗しても問題無い。それで、ボルドスはどうした?」
「そのまま何処かへ走って行ったそうです、その…スピードが速くて見失ったそうです…。」
「あやつのスピードなら見失っても仕方あるまい、その内戻ってくるだろう。
で?忌み子にダークネスウルフを嗾ける件は?」
「申し訳ございません、そちらも失敗だそうです。」
報告を受け。ライドンは苦虫を嚙み潰したような顔をする。
「失敗か……詳しい状況を報告せよ。」
「と言われましても…報告を受けた私も直接確認していた者もどう判断したものか判断に迷っております。」
「ふむ、ならば有りの儘を話せ。」
「はい、誘い出したダークネスウルは巣に戻ったあと予定通りに忌み子の村の方向へ向かい、忌み子と戦闘に入りました。忌み子たちは3人を残して全員撤退し、残った3人も残り1人となったところで、猫人族の忌み子が助けに現れたそうなのですが、これが…。」
「ん?猫人族の忌み子なら問題あるまい?あの村にもいるだろう?」
「あの…それが…」
「なんだ!ハッキリ申してみよ!」
「私もこの報告に困惑しているのですが…その猫人族の忌み子が体当たり一撃でダークネスウルフを倒したそうです。」
「何⁉一撃で?猫人族の忌み子が…か?」
「はい、報告にはそのように…」
「それが事実なら大問題だな…、猫人族の忌み子ということは、あの村にダークネスウルを一撃で倒せる者が居るということになる…ドナンよ再度あの村を調査せよ。」
「ハッ!」
命令を受けたドナンはライドンに礼をして退出する。
あのお方も面倒な命令をしてくれたものだ、自分で動かれれば早いものを…
ダークネスウルを一撃…か、そんなことができるのは上位の魔人かドラゴンぐらいだぞ。
さて、再調査の報告が届くまで軍の強化でもするか?いや焼け石に水だな…
はてさて、どうしたものか……。
一方その頃のボルドス。
お気づきですよね?ではどうぞ。
「肉はうまいか?」
「おいち~」「おいしいよ。」
「美味しいけど、これどうしたの?いつもの苦いところも臭いところもないよ?」
はい、美味しいお肉になってました、現段階ではまだ花音は食べてませんが、もう少ししたら……。
このお話で一章終了です。
私の中では村に着いて、ゆっくり能力強化してるはずだったんですけどね…。
ちなみに、ガルドラさんは魔物として助けに入った花音ちゃんのワンパンでお亡くなりになる予定だったのですが…予定は未定ですね(´・ω・`)




