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私、魔王になりました(;´・ω・)  作者: 華丸chan
第三章
149/183

149、逃げられない。回り込まれた⁉

「ん…。」


「目覚めましたか?」


「ん?ここは…あっ!」

女王は慌てて周囲を見回して、仲間が倒れているのを確認する。


「こ、これはどうなってるんですか!仲間たちは!…。」


「気持ちは分かりますけど、少し落ち着いて下さい。」


「落ち着けって!落ち着ける訳が!…。」


「落ち着きなさい!」


「ぐっ…。」


「お仲間さん達は気を失ってるだけですから、安心してください♪」


「気を…失って…?」


「そうですよ、私の威圧を受けて気を失ってるだけです、狼さん達も同様です。」


「狼…あっ!」


「思い出しましたか?」


マァトゥンの女王は黙って頷く。


「あの…それで私は食べられてしまうのでしょうか…。」


「はぃ?何でそんなことを?」


「私スライムに捕食されてるみたいなんですけど?」


「ああ、それは気を失ってたので、早く目を覚ます為の処置です。」


「処置…ですか?」


「そうですよ?狼さん達にボスも同じ状況です。」


女王は視線を動かすと、花音の言った通りスライムに包まれている狼を発見する。




「スリーピーさんありがとうございました。」


「もういい?」


「はい。」


「逃げる?」


「女王さんが逃げる可能性ですか?」


「そっ。」


「大丈夫でしょう、目覚めて最初に仲間の安否を確認したんですから、仲間を見捨てて1人だけ逃げることはないと思いますよ?」


「そっ。」


スリーピーは短く答えてマァトゥンの女王を包んでいた分体を離れるように指示を出す。

マァトゥンの女王を包んでいた分体は少しずつ女王から離れて行く。




「助けて頂き感謝いたします。」


「感謝するのはまだ早いですよ。」


「え⁉」


「狼さんから助けたのは私にも思うところがあったからですしね…。」


「…出来れは私の命1つで他の仲間たちは助けて頂きたいと!…。」


「命なんて必要ないですよ、ただ…。」



「ぐっ…す、スライムがー!」


「お?向こうも目覚めたみたいですね、少し待っててください。」


「…分かりました。」


マァトゥンの女王の了承を得て、花音は目覚めたばかりのレッドウルフのボスの下へと向かう。


「…ただで止められると続きを聞くのが怖くなるんですが…。」




「狼さんも目覚めましたね。」


「お、お前は!くっ…殺…。」


「ダメです!ダ~メ~デス!」


「…。」


「その先を言ったらダメですからね?」


笑顔でそう言って来た花音にレッドウルフのボスはコクコクと頷く。


「これまでのことは覚えてますか?」


花音の問いにレッドウルフのボスはガクブルと震え出しコクコクと何度も頷く。


「…そこまで怯えられるのも……まあいいです。一応警告しておきます、逃げたらダメですよ?」


「……。」

再度ボスは頷く。


「スリーピーさんお願いします。」


「分かった。」


スリーピーの返答の後にレッドウルフのボスを包んでいたスライムが離れて行く。




花音は少し油断していた…スライムが完全に離れた後、レッドウルフのボスは逃走しようと回れ右して駆け出す。


「あ、逃げた…。」


「よろしいのですか?」


「よろしい訳がありません!」


マァトゥンの女王の目の前で花音の姿が消える。


「ぇ…えぇぇぇー!」




「気を失って残された部下には悪いが逃げるが勝ちってなー!!」


逃げ出したレッドウルフのボスは上手く逃げ出せてと思っていたのだが、目の前に花音が現れて急停止するが止まり切れずに花音とぶつかって止まる。


「頷いたのに逃げるとは良い度胸ですね…。」


「ご、ごご、ごめんなさい!」



綺麗な伏せだった…と後の花音は語る。



「…次はありませんよ?」


「あ、ありがとうございます。」


「それでは戻ります。」


「キャイン。」

「……。」


花音は伏せをしているレッドウルフのボスの首を摘まんでマァトゥンの女王の下へと戻って行く。





「すいませんお待たせしました。」


「い、いえ…それほど待ってはいません。」


マァトゥンの女王はそう言いながらも、花音に首の後ろを摘ままれ、だら~んとなっている狼の姿に憐れみと、この者には逆らわないようにしようという決意を固める。




「主、今戻ったのだが…どうしたのだ?その赤いのは…。」


「逃げたので捕まえました。」


「主から逃げたのか…莫迦なことを…。」


「お師さんからは逃げられません!某も…捕まりましたから。」


「お主も逃げたのか…。」


「弟子になる前ですけどね…。」


「そうか…。」


「ヨギリんはしばらくそのままガルドラさんの側に居てください、この犬、何仕出かすか分かりませんから。」


「レッドウルフ程度なら問題ないですよ?」


「そうなんですか?」


「ウルフは数が多い時が問題であって、1体程度なら問題ないです。」


「そっか…それでも一応ガルドラさんの側に居てください。」


「分かりました。」



「ふむ…ヨギリンは主に大事にされておるのだな。」


「そ、そうですか♪それなら嬉しいです♪」


「うむ。どうでもいい者の安全なんぞ普通は気にしないからな、我も子の安全を第一にする、当然だ。」


「某はお師さんの子供ですか…。」


「む?弟子とはその様なものではないのか?」


「え?いえ…某はお師さんにとって足手纏いではないかと…思ってしまったんです。」


「気にするな。子とはその様なものだ、そして親を超えて行くものなのだが…

…主を超える…だと?」


「む、無理です!お師さんを超えるなんって!」


「我もそう思うが…弟子のお主がその様な考えではいかんな。」


「え?」


「まあ、主を超えることは出来ずとも、主に追い付こうという気概が無くてはいかんぞ?」


「そ、そうですね!某、お師さんに少しでも追い付きます!」


「うむ、その意気だ。」





「さて…。」


「もう好きにしてくれ。」


「そうですか?それなら…女王さんは今から私が言うことに異議がある場合は言ってください。」


「え?よろしいのですか?」


「女王さんは逃げないって約束守ってくれましたからね、そのぐらいは良いですよ♪何処かの逃げ出した犬も居ますけど…。」


「ぐっ…。」


「それでは…残念ですが女王さんのお仲間の内5ひ…5人が…。」


「匹で良いですよ、その辺で気分を害することはありません。」


「そうですか?それなら…5匹が亡くならました。」


「そうですね…。」


「その5匹の内4匹を狼さんの取り分で、1匹を私が貰います。」


「なっ、良いのか?いえ、良いのですか?」


「……正直に言えば、約束を破って逃げた犬に渡すのは嫌なんですけど…約束を破ったのはボスの貴方であって、他の狼さん達は関係ないですからね…。」


「……。」


「それに5匹はあなた達が狩った獲物です、それを私が1匹横から盗む形ですから…それで逃げた件は許してあげます。」


「すまない。」


「まだその言葉は早いですよ?」


「え?」


「と、考えてるんですけど女王さんに異議はないですか?」


「え?そこで私に聞くのですか?」


「え?何かおかしかったですか?」


「…いえ、弱肉強食ですから…亡くなった仲間は残念ですが、狩った者の糧となるかそれ以外かの違いだけです、それなら狩った者の糧となった方が良いと思います。」


「…それなら犬はそれで良いですか?」


「犬って…。」


「私の知ってる狼はガルドラさんです、ですから私は狼とは誇り高い生き物だと思ってます。決して約束を破るようなことは…。」



「あ、主よ…。」


「え?何ですか?」


「そのように言ってもらえるのは、我も嬉しいし誇りに思うのだがな…こ奴のとった行動は我からすれば間違いではないぞ?」


「え⁉そうなんですか⁉」


「うむ、生きる為にとった行動であろうから間違いではないのだがな…相手の強さも分からずに逃げられると思ったこ奴が莫迦なのだ。

それに…こ奴が犬と呼ばれると同種として我も犬なのかと思って惨めになって来る…。」


「ぐっ…。」


「それは私も本意じゃないです、仕方ありません…名前はありますか?」


「せ、セキ…。」


「セセキさんですね。」


「いや、セキだ!」


「イヤセキダさんですね。」


「…好きに呼んでくれ。」


「それなら駄セキと呼びますね。」


「ダセキ?何か特殊な呼び名なのか?」


「駄セキの駄はダメダメの駄です。そこにセキを合わせて短くして駄セキです♪」


「ああ…うむ、良い名を貰ったな…うむ。」


「そこのレッドウルフはセキという名前なんですか?」


「あ、あぁ…そっか、ヨギリんがガルドラさんとお話してたから忘れてました。普通は言葉分からないんですよね…。」


「普通はって…あっ!某、ガルドラさんと会話してました!」


「今気が付いたんですか?」


「…はい、キンやシナロナ様が普通に話されてたので…某は疑問にも思ってませんでした。」


「ああ…。」


「ハッハハハ♪さすがは主の一番弟子だな。」


「どういう…。」


「主に慣れているということだ♪」


「それはどういう意味ですか!」


「っと、これはいかんな、主よ話の続きは良いのか?」


「むうぅぅ…。」


「そうですよ、この後村長たちとの会議があるんでしょ?」


「ぬぬぬ…仕方ありません、話の続きをしましょう…

それで駄セキさんはそれで良いですか?」


「ダセキは決定か…4匹も得られるのだ、こちらがそれを拒否する理由はない。」


「それで決定ですね、ここからは交渉になるんですけど…。」


「「「交渉?」」」


「はい、駄セキと女王さんと交渉したいんです。」


「内容は?」「内容は何ですか?」


「先ずは駄セキの方から…そちらの4匹の毛皮をください。」


「け、毛皮だと?…別に構わんが?」


「え?いいんですか?」


「毛皮なんて食えんからな、却って手間が省けて助かる。」


「それじゃあ、駄セキの方は決定で。」


「あ…。」

「何か?」


「これは交渉だったな。」


「…チッ、そうですね。」



「今お師さん舌打ちしましたよ。」

「したな。」



「そこ五月蠅いですよ!」

「「……。」」



「ではこちらの要望を言うぞ?」


「はい、どうぞ。」


「俺のことを普通にセキと呼んでくれ!」


「……え?それで良いんですか?」


「それで良い。」


「分かりました、セキさんと呼びましょう、これで交渉成立ですね♪」


「ああ。」




「ヨギリん、すいませんが…。」


「分かりました。」


「まだ何も言ってません。」


「この4体の毛皮を剥げばいいんですよね?」


「そうなんですけど…セキさんとの会話は分からないんですよね?」


「はい、でもガルドラさんに通訳してもらってましたから。」


「ああ…それならお願いします。」


「分かりました。」


そう答えてヨギリは4体の毛皮の処理に向かう。




セキの捕獲は3パターンあったんですけどね…花音が自分で追いかけました。

残りはガルドラパターンですね。

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