146、ガルドラ初めてのお使い。お使いじゃ…お使いでした。
「それでは…女王さんが復活するまでに紹介済ませておきましょうか。
ガルドラさん。」
「何だ?」
「私の頭の上に居るのはガルドラさんの後で従魔になってくれたスリーピーさんです。」
「スリーピー…うむ、よろしく頼む。」
「よろしく。」
「因みにスリーピーさんは分体です。」
「分体?スライムなのはさっきの分体を見て分かっておるが…分体が分体を?」
「そっ。」
「スリーピーさんの本体はスライミーさんです。スライミーさんの方もいずれは紹介したいですね…。」
「スライミーさん?いずれ?…そのスライミーというのは何処に?」
「ダンジョンの奥です。」
「ダンジョンの…奥?…。」
「私の本体は……一緒には、居られないから…。」
「一緒には居られない?何故だ?」
「私の本体は…さっきのマスターと、同じ。」
「う、うむ?」
「あ~スライミーさんはさっき私がやった威圧を常に放出してますから、私は大丈夫なんですけど周りが耐えられないんで、分体のスリーピーさんを残してダンジョンの奥に戻ってます。」
「主と同じ…⁉ あれと同じだと!」
「驚くことですか?」
「驚くも何も…。」
「私の本体は、魔王、だから…。」
「なっ⁉……そ、そうか、ところで主よ…そのスライミー…いや、何でもない。」
ガルドラは花音の頭の上のスリーピーを見て、その後の言葉を飲み込む。
「?…スリーピーさん。」
「何?」
「どれぐらいで女王さん目覚めそう?」
「急ぐ?」
「そうだね、シナ婆さんたちも待たせてるし…。」
「……まだ、かかりそう。」
「そうですか…あ、ガルドラさんはシナ婆さんのこと知ってましたよね?」
「いや、尻尾付であれば初めて主に会ったときに一緒だったスダレ、ナン、キンの3人しか分からん。」
「あれ?…それならキンたんも一緒に居ると思いますから言付けお願い出来ますか?」
「む…主の命だ、引き受けよう。」
「すいません、キンたんに時間がかかりそうなので先に村に戻ってください。と伝えてください。」
「それだけか?」
「あとは…私も直接村に戻りますから、その場に残っても意味ないです。とも伝えてください。」
「以上か?」
「はい、それでお願いします。」
「承った。」
ガルドラは花音の命令(頼み)でキンの下へと向かう。
ある程度の方角は教えてもらった、あとはこの鼻で探せば良いと考えていたがあっさりと目的の人物を見かける。
「何か来るっす!」
キンの言葉に全員が警戒態勢を執る。
周囲を警戒しているとダークネスウルフらしき姿が1体キンたちに向かって駆けて来るのが見えて来る。
幸い見通しの良い場所であった為にガルドラの姿は確認できるがキンたちの居る場所までまだ距離がかなりある。
「あれは…。」
「どうしたナ!攻撃しないのかナ!」
ハルサメとシグレが攻撃用の言霊を唱えだす。
「ハルちゃん、シグレ!ちょっと待つニャ!」
「何ナ!早くしないと…ここにはトウガも居るナよ!」
「それは分かってるニャ!それでも少し待つニャ!」
「シナちゃん!」
「あれ…ガルドラさんっすか?」
「ガルドラさん?とは誰ナ?」
「ガルドラはんゆうたら、カノンのお嬢ちゃんの従魔にならはったと言うとった?…。」
「そうっす。確証がないんっすけど…。」
「キンは危険を感じんのじゃな?」
「そうっすね。」
「お師さんはあれを従魔にしたんですか?凄いですね。」
「ヨギりんにはガルドラさんの強さが分かるんっすか?」
「あれ…ガルドラさんでしたか?普通のダークネスウルフの比じゃないですよ?」
「ヨギリは強さが分かるのかニャ?わーは分からなかったがニャ…。」
「シナロナ様がですか?」
「そうニャ。」
「あ~シナちゃんはその辺が昔から大雑把だったからナ。」
「ニャ⁉それならハルちゃんには分かるのかニャ!」
「当然ナ!だから早く攻撃したかったんだナ!」
「むむむ…。」「ぬぬぬ…。」
「はいはい、師匠もシナ婆はんもその辺にしよし、カノンのお嬢ちゃんの従魔なら攻撃出来へんし、もしちゃうんやったらそんときん為に…スダレ!」
「はい!」
「万が一んときん為にトウガと一緒に隠れとき。」
「し、しかし…。」
「はよおし!」
「…はい。」
シグレに言われてスダレはトウガを背負って身を隠す。
ガルドラは急に接近すれば、自分のことを知ってはいても向こうも驚くだろうと考え、ある程度速度を落として近づいて行く。
「…やっぱりガルドラさんっすね。」
「カノちゃんの従魔なら安心だがナ…念のためにスダレはそのままの方が良いかナ?」
「そうどすな、完全に安全やいうんが分かはるまではそのままの方がよろしいどすなぁ…。」
「カノちゃんに頼んで判別し易いものを用意してもらうかニャ?」
「そうっすね、ガルドラさんもラクネアさんもすぐには判断できないっすからね。」
「ラクネアさんは判断できると思うけど?」
「そうっすか?」
「そうニャのかニャ?」
「ラクネアさんはこの辺りでは見かけないですから…。」
「それもそうっすね。」
「でも今は見かけニャいだけニャよ、その内ということも考えられるニャ。」
「…そうですね、すいません。」
「…歩き出したっすね、ガルドラさんで間違いないっす。」
ガルドラは途中から駆けるのを止めて歩き出す。
歩きながら考える。
我はこんなことの為に…まあ主だからな、仕方があるまい。
戦闘…戦闘と言っても戦闘は主1人で十分だろうし……却って邪魔になりそうだしな……
ん?我の仕事は今後こんなのばかりか⁉
ガルドラがキンの下に辿り着く頃にはガルドラの耳と尻尾がしゅんと下がってしまっていた。
「ど、どうしたんっすか⁉尻尾が元気ないっすよ?」
「む?いや…我の仕事は今後こんなのばかりなのか…と思ってな。」
「こんなのっすか?」
「い、いや、それは例えだ!決して主の命が不服という訳ではないぞ!」
「分かってるっすよ♪カノンちゃんは自分1人で大体のことを片付けられるっすからね…自分たちに頼むのは誰でも出来そうなことばかりっす。」
「キンもそうなのか?」
「そうっすね…調味料集めたりとかっすね、もう少し色々と頼ってくれたら嬉しんっすけどね…。」
「カノちゃんは…カノちゃんは自分の常識とわーたちの常識の違いから頼もうにも何処まで頼んで良いのかがまだ分かってニャいだけニャよ。」
「む?お主は…昨日見かけたな。」
「初めましてと言っておきますニャ、シナロナと言いますニャ。」
「シナロナ?シナ?…ぉ?お主が主の言ってたシナ婆さんか?」
「そうですニャ。」
「言付けをと頼まれたが、最初にシナ婆さんと言っておったからな、キンよりもお主に伝えた方が良いかもしれぬな。」
「自分より先にシナ婆さんの名前が出ったっすか⁉」
「ん?うむ、そうだが?」
「く~悔しいっす!シナ婆さんに嫉妬っす!」
「ニャにを言ってるのかニャ…それでカノちゃんは何と言ってましたかニャ?」
「主は時間がかかりそうなので先に村に戻って欲しいとのことだった。」
「時間がかかるのかニャ。」
「何かあったんですか⁉」
「ぬ?お主は……昨日居なかったな。」
「ヨギリんはカノンちゃんの一番弟子っすよ♪」
「何と!主の一番弟子だと⁉」
「え?あ、はい。一応一番弟子です。」
「キンよ…この者も主と…。」
「それは無いっすよ♪ヨギリんはただの猿人族っす。」
「ただのってなんですか!」
「カノンちゃんと同列が良かったんっすか?」
「え?お師さんと同列なんてそんな恐れ多い!」
「…確かに主と同列の者が居たらその方が驚きだな。」
「それでニャにが起こったのですかニャ?」
「主からは言付けしか頼まれておらんが…少し待て。…………ふむ、特に問題ないということなので我の知ってる範囲で説明する。」
「お願いしますニャ。」
ガルドラから経緯が説明される。
「美味しい肉っすか?」
「あ~白くてもこもこした奴らだ。」
「あ~カノちゃんマァトゥンに興味持ってたからニャ。」
「そうっすね、毛皮が欲しいって言ってたっすね。」
「毛皮だけか?あれの肉は美味しいのだが…。」
「ガルドラさんには残念なお知らせっす。」
「我にとって残念なのか?」
「そうっすよ?カノンちゃんはマァトゥンを殺さないと思うっすからね、前にマァトゥンキングを倒した時も肉よりも毛皮の方に興味があったっす、それに、乳にも興味があったみたいっすから。」
「肉より毛皮と乳か…。」
「そうニャると…。」
「そうですね、お師さんんことですから村に連れて帰りそうですね。」
「可能性はあるニャね…。」
「その辺りはお主たちの領域だ、我は戻る。」
「あ、ありがとうでしたっす。」
「すいません、某にはよく分からないのですが…お師さんに召喚してもらったらダメなんですか?」
「ふむ…主の下へ戻る分にはその方が早いがな、我家に戻ることを考えると走って戻った方が良いのだ。」
「どういうことですか?」
「送還は知っているか?」
「?…すいません、知らないです。」
「送還というのは、召喚した者を召喚前の場所に送り返すことを指すのだが…。」
「ああ、ガルドラさんは家からお師さんの下に召喚されたから、ここで召喚してもらうとその送還場所がここに変更されてしまうということですか…。」
「その通りだな、それでは我は…あっ、主が直接戻るからここで待っても意味がないとも言っておったぞ?」
「そうですかニャ…それニャら1つ頼みがあるんですがニャ…。」
「何だ?」
「カノちゃんの下に戻るのニャら、このヨギリも一緒に連れて行ってもらえませんかニャ?」
「む?…少し待て。」
「シナロナ様、何故某を?」
「キンでも良かったんだがニャ、あとのことを考えたらキンよりヨギリの方が良いかニャ?と思ってニャ。」
「あとのことですか?」
「そうニャ、もしカノちゃんがマァトゥンを連れて村に戻ることにニャったら、キンよりヨギリの方が早く報告に戻って来れる…とかかニャ?」
「それは自分よりヨギリんの方が適任っすね、仕方ないっす。」
「主の許可が出た、ヨギリンと言ったな。」
「い、いえ、ヨギリです。ヨギリんはお師さんが某を呼ぶときの愛称みたいなものです。」
「そうか…まあ良い、我の背に乗れ。」
「はい、失礼します。」
ヨギリがガルドラの背に乗り、ガルドラはそれを確認してから。
「それでは今度こそ我は戻る。」
「ありがとうございましたニャ。」
「またっす、ガルドラさん♪」
「うむ…こういうのは慣れんな、なんと返せば良いのか分からん…が、また会おう♪」
そう言ってヨギリを乗せたガルドラは花音の下へ駆けて行く。
「ひゃー!速い!落ちるー!」
ヨギリはガルドラにしがみ付き…。
少し臭いです……と呟く。
今日ニュースを見てて少し疑問が出て来たので…書かせて頂きます。
自動操縦の車の実験のニュースだったのですけど、オートで事故が起きたら、それって車屋さんの責任になるんですかね?それとも運転手?
車屋さんだと自動車保険は…どうなるんでしょうね?




