138、水龍。飛翔しました♪
「ど、どうしたナ?そんなに慌てるシナちゃんは久しぶりナ。」
「ハルちゃん!わーはカノちゃんの魔力量は膨大だと伝えたはずニャよ!」
「ん?それはちゃんと覚えてるナ、いくら魔力量が膨大でも使えば減るナ、そんなに心配することないナよ。」
「違うニャ!今のカノちゃんは…いや、何でもないニャ、でもあんなことする予定だったニャら教えて欲しかったニャよ…。」
カノちゃんは指輪を外してニャいニャ、これ大丈夫なのかニャ?
すべてを伝えられニャいからハルちゃんが悪い訳ではニャいが、わーがあれだけ念押ししてもダメだったかニャ、
いくらハルちゃんといっても常識からは離れられニャかったかニャ…。
シナ婆さんはハルサメの楽観的思考とすべてを伝えられない自分を悔やみながらシナ婆さんは花音に視線を戻す。
花音の水の渦は既に常識の範囲を超えて超常の域になっている。
花音の水の渦は遥か上空まで高くなっており、上空から水飛沫が雨のように降り注いでいる。
「ハル婆さん…あれ大丈夫なんっすか?」
「……。」
「ちょっと師匠!カノンのお嬢ちゃんのあれ、ほんまに大丈夫なんどすか⁉」
「…。」
「…あれはダメなのじゃ放心しておるのじゃ、ハルサメ様もカノンの魔力量異常さに気が付かなかったようのじゃ。」
「お師さんですから、あの見た目に騙されますが普通の人と同じで考えたらダメだっていう良い例ですね…。」
「それで?一番弟子のヨギリにはどうにかできるのか?」
「無理です。」
「バッサリなのじゃ。」
「だって!弟子になったのつい最近ですよ!そんな某に何が出来るんですか!」
「御尤もなのじゃ…が。」
呆然と花音の水の渦を眺めていたハルサメもこの異常な状況に思考がやっと回り出す。
「ちょ、ちょっとシナちゃん!」
「ハルちゃんの言いたいことは分かるがニャ…分かるがニャ、その前にこの状況をどうにかするのが先じゃニャいかニャ?」
「そ、それはそうだナ…でもこれをどうやってどうにかするナ?」
「それはハルちゃんの仕事ニャよ?」
「な⁉これがわての…わての仕事⁉」
「そうニャ、カノちゃんから報酬はもらってるんだからニャ。」
「うぐ…謀ったナ!」
「謀ったもニャにもニャいニャよ、カノちゃんは純粋に魔法が使いたかっただけニャ、教えてもらうのに先に報酬を渡したニャ、そしてハルちゃんはそれを受け取った…ハルちゃんも自分で結果が出てニャいのに良いのか?って確認してたニャよ?」
「そ、それは…。」
花音の魔法によって降り注ぐ雨によって虹が出来ている、それをトウガは純粋に綺麗だと喜んで観ている。
「綺麗でしゅね♪」
「ほんまやね…。」
「トウガは大物になるかもしれんのじゃ。」
「そうですね、確かに虹は綺麗なんですけど…そろそろどうにかしないとダメなんじゃないですか?」
「そらヨギリの言う通りなんやけど…あら、うちにも師匠にもどうにもできへんよ。」
「シグレ様もハルサメ様でも無理なんですか⁉」
「どないにかできるんやったら、師匠が既に動いてはると思うわ。」
「…。」
ねぇ…ナビちゃん、これ大丈夫…だよね?
(大丈夫じゃないですね、花音様の集中が途切れたらあの量の水が一気にこちらを襲って来ます。当然周囲に居る者も巻き添えを受けます。)
え⁉でもハルサメさんは全力でって…。
(全力で魔法を使えば普通の人ならすぐに魔力切れを起こしますし、ここまでの水量はありません。しかも花音様は黄龍の指輪着けたままですから魔力切れが起こりません。現状その方が良いんですけど…。)
あ!指輪したままだった!…それでなんで現状その方が良いの?
(魔力が切れた時点でこの量の水が襲って来るからです、このまま維持していれば、取り敢えずはまだ大丈夫です。)
そっか…ハルサメさんに水術って言われたから水の渦が思い付いたんだけど…このままで危険ならこの渦どうにかしなきゃいけないね。
(その通りなんですけど、何か方法はあるのですか?)
分かんないけど、このままじゃ危険なんでしょ?
(それはそうなんですけど…。)
それならどうにかしなきゃ!ん~…水の量が問題なんだから…これを何処かに飛んで行ってもらえば…。
(飛ばす場所も考えてくださいね。)
へ?
(この量の水が村にでも飛んで行ったら、村ごと流されますよ?おそらく大きな街でも半壊は免れないと思います。)
ど、どうしよう…上空で少しずつ消費していけば…うん♪たぶん大丈夫。
(どうするんですか?)
魔法はイメージが大事なんだよ?
(そうですけど…。)
それなら行けるって♪
そう言って花音は水の渦を集束して、集束し終わったときにはバスケットボールほどの大きさの球体になる。
「「カノちゃん!」」
「危ないですから近寄らないでください!」
今にも駆け寄りそうな全員を花音はその場に留め、集束させた水の塊を少し斜め上空に放つ。
花音から放たれた水は昇龍となって上空に水を撒き散らしながら飛翔していく。
その日、晴天にもかかわらず雨が降る地域がいくつもあったとか、龍を見たとか色々な噂が流れた。
「し、シナちゃん…。」「は、ハルちゃん…。」
「「「……。」」」
「しゅごいでしゅ♪」
この場に集まった者でトウガのみが大喜びである。
「凄いっすね。自分あんなの初めて見たっすよ。」
「そうじゃろうな…私じゃなくてもあれは無理なのじゃ…。」
「そうどすなぁ…師匠でもあら無理どす。」
「凄いでしゅ♪しゅごいです♪」
「トウガはお師さんの所為で常識が狂うかもしれませんね…。」
「トウガ…凄いんは分かるんやけどな…あないなもんカノンのお嬢ちゃんにしかできへんからな?」
「無理でしゅか?」
「無理だと思うのじゃ。」
「そやね。」
「なあ、シナちゃん…わての方がカノちゃんに教えを請いたいんだがナ。」
「その思いはよく分かるニャよ。」
「そう…。」
「でも、あれはカノちゃんだから出来るんであってニャ、ハルちゃんでも無理だと…わーは思うニャ。」
「そうかもナ…シナちゃんが気に掛けるのも頷けたナ。」
(花音様、説明をお願いします。)
ナビちゃんが説明を求めるなんて珍しいね、でも説明って言われてもな~。
ハルサメさんがイメージは錬金も魔術も変わりはないって言ってたから、出来ちゃったとしか…。
(そうですか、それでどうですか?魔法の使い方は何か掴めましたか?)
ん~…たぶん?私は常識に囚われてたんだと思う。
(花音様が常識⁉)
なんでそこに驚くの!
(すいません。それで花音様の常識というのは何なのですか?)
ん?私の世界は魔法が無くて科学が発展してるから、そっちの常識に私が囚われてたってことだよ。
(どういうことですか?)
魔力があるよね?
(そうですね。)
それで魔力って何?って考えて、今回水を集束させて、そして龍にして放って、少し理解できたと思う。
(何を理解したのですか?)
んっとね…魔法ってイメージなんだけど、魔力って必要なの?魔力って何?ってことに思い至ったの。
(え~っと…すいません、花音様が何を言ってるのか分かりません。)
だよね~♪私にもよく分かってないもん。
(え⁉)
私が思ったのは、魔力はなんにでも変換出来るエネルギー、力じゃないかな?って思ったの。
例えばさっきの水の渦なんだけど、あれは私がそうなるようにイメージしてたから渦になったんだよ?
(そうですね。)
でもその水って何処から来てるんだろ?って、私の世界なら大気に含まれる水分を集めてとか説明するんだけど、大気中の水分って何?近くに川があってそこに大量の水があるのに、何で川からじゃなくて大気から?って考えたら…この渦になってる水って魔力で出来てるんじゃないかな?って、スリーピーさんもお風呂の水に魔力が豊富って言ってたしね。
(成程…あの水は魔力が水に変化したと…。)
うん、それなら別に私の知ってる常識に囚われる必要はないんじゃないかな?って思ってね。
(と言われますと?)
魔力がなんにでも変化出来る力と仮定すると…火だと説明し難いし、水だと…さっき言ったから…土にしよっか、土が無い場所でも魔力を土に変化させて壁が造れるかも?ってこと。
(はぃ?)
土も分かり難いか~、それなら…あっ!灯り!灯りなんて魔力で光らせるんだと思うから分かり易いと思う♪
(…成程、そう言われるとそうですね。)
だよね♪
「カノちゃん、さっきのは…。」
「あ、ハルサメさんありがとうございました♪何となくですけど、魔ほ、魔術のことが少しは分かった気がします。」
「そ、そうかナ…それでさっきのは何をやったんだナ?」
「さっきの?」
「あのとんでもない龍ナ!」
「あぁ…あれはあの水量は危険だなと思ったんで、少しずつ消費してもらおうと飛んで行ってもらいました。」
「飛んで行ってって…。」
「それでニャんで龍にしたのかニャ?」
「え?空を飛翔する龍って恰好良くないですか?」
「恰好良くってニャ…それ普通に騒ぎにニャるだけニャよ?」
「え?」
「あんニャのが自分の上空を通過したらと思ったら、普通は大混乱ニャ。」
「あっ…まあ、大丈夫です。あのまま真っ直ぐ飛べば大気圏で消滅しますよ。」
「大気圏?」
「私も詳しくは説明出来ませんから、そんなものが上空の遥か彼方にあると思ってください。」
「そ、そうかニャ…それで魔法についてはどうだったかニャ?」
「はい♪色々と勉強出来ました♪少しやってみますね。」
花音のその言葉に集まりかけていた人たちは一斉に距離をとる。
トウガはその場に残りたがったが、シグレに抱えられて連れ去られる。
「なんか…酷いです。まあいいや♪」
そう言って花音は指先に青い炎を灯す。
警戒して距離をとったみんなは特に何も大爆発や予想外のことが起こらなかったので、再び花音の下へ集まって来る。
「そら何どすか?」
「これは火、炎です。」
「炎っすか?でも青いっすよ?」
「これ赤い炎よりも高温なんです。」
「その青いのがっすか?」
「そうですよ、これを…。」
花音は指先に灯る青い炎をポイッっと川に投げると水が蒸発して湯気が出る。
「あっ…。」
「「「………。」」」
「ま、まあ、あんな感じです。」
「あ、あれはどうやったんナ?」
「あれは魔力を完全燃焼させたんです。」
「魔力をナ?」
「そうです、あとは…こんなのも考えてみました。」
花音が両手を前に突き出し、しばらくすると花音の突き出した手の先に花音とそっくりな者が現れる。
「へ⁉」「はぁ⁉」「え⁉」「ニャ⁉」「ナ⁉」
「カノンお姉ちゃんが2人居るでしゅ♪」
「そ、それは幻術ではない…ナ。」
「違うニャね、触れるからニャ。」
「凄いっすね…カノンちゃんが2人っすか。」
「カノンのお嬢ちゃん、こら何どすか?」
「魔力で作った分体です。」
「こちらのお師さんは動くんですか?」
「操ることは出来と思うんですけど…やってみます。」
そう言って花音は分体を動かしてみようと試みる。
「あ、手を上げたっすね。」
「回ってますね。」
「2人で踊ってるニャよ…。」
「さすがに普通の人みたいに操作なしで動かすことは出来ませんでした…それでは問題です、本物の私はどっちでショー♪」
「何ですか?」「何っすか?」「どっちでしょう?」
「ニャにを始める気かニャ?」
「これから私の分体と私がグルグル回りますから、止まったときにどっちが本物の私か当ててください。」
「それ簡単だと思うっすよ?」
「そうですね。」
「そうなのじゃ。」
「え?と、取り敢えずやってみます。」
花音は分体と一緒に高速でグルグルと回って止まる。
「こっちっす。」「こちらです。」「こっちやね。」「こっちニャ。」
「こっちだナ。」「こっちでしゅ。」
「あれ?何で皆さん分かったんですか?」
「「「……。」」」
「カノちゃん…物凄く言い難いんだがニャ……分体の方が胸が大きいニャよ。」
「へ?」
花音は自分が造り出した分体の胸を見て……「しまったー!つい願望が…。」
とその場にガックと崩れ落ちる。
今日はいつもの時間に投稿出来ました♪
ということで、力加減、魔法とあと少しで花音の異世界チュートリアルが終了します。




