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私、魔王になりました(;´・ω・)  作者: 華丸chan
第三章
137/183

135、増殖。蠢いてます。

翌日、花音はお風呂の水の確認の為にお風呂場へ向う。


「な、な、なんじゃこりゃー!」




花音の絶叫を聞きつけてヨギリとキンが駆けつける。


「どうしたんですか!」「何事っすか⁉」


「あ、すいません。つい叫んじゃいました…。」


「それで、何…が⁉」


「どうしたんっすか?…おぉぉ~凄いっすね♪」


キンとヨギリの目の前にはこの前お湯に浸かった湯舟にわらわらと蠢くスライミーの分体であった。


「さすがにこんなに増えてるとは予想もしてなかったんで、つい大声を出してしまいました、すいません。」


「いや…これは無理ないです、お師さんでなくとも絶叫しますよ。」


「で、ですよね?スリーピーさんには悪いんですけど…ここまでになるとちょっと気持ち悪いです。」


「何体ぐらい居るんっすか?」


「さぁ?全員整列!」


分体は花音の声に整列していく。


「ひの、ふの、みー……15体ですね。」


「増えましたね…。」


「増えたっすね…スリーピさん、これどういう状況っすか?」


「あの水…魔力が、豊富♪」


「魔力が豊富だったっすか…カノンちゃんあのお風呂の水ってどうやって溜めたんっすか?」


「あっ!あぁ…あの水は私の魔法で出しました。」


「「……。」」


「まあ、そんなことだと思ったっすよ、それなら魔力が豊富なのも納得っす。」


「ですね…どうするんですか?」


「どうしましょうか?増える分には良いんですけど…。」


「ダメ…だった?」


「いえ、さっきも言いましたけど、増える分には色々仕事をしてもらえるから、そこは別に良いんです。」


「例えばどんな仕事っすか?」


「昨日タマにゃんやみんなの服を洗浄してもらったじゃないですか。」


「そうっすね。」


「某は知りませんよ?」


「ヨギリんは引継ぎで別行動でしたからね、それで服の洗濯とか、お風呂に入る前の洗浄とかをしてもらえればとは思ってるんですけど…。」


「けど?何かあるんっすか?」


「いや、水路のお仕事と洗濯、洗浄を入れてもちょっと数が多いかな?って思ってるんです。」


「それなら村人の洗濯もお願いしたらどうっすか?」


「それも考えてます。」


「そうなんっすか?それなら何が引っ掛かってるんっすか?」


「それをするにしても、施設を建てたりする間に待機してもらう待機場所をどうしようかと思ってるんですよね~。」


「数が多いですからね…ここはさすがにダメですね。」


「そうなんですよね…よし!3体はここで洗浄のお仕事、2体は私の家で洗濯のお仕事、残りは決まるまで小屋を建てますからそこで待機です。」


花音の言葉に分体は争い出す。


「ぇ?え~っと、これどういう状況なの?」


「お仕事する子、決めてる。」


「それで何で争ってるの?」


「マスターの近く…嬉しい。」


「その気持ちは良く分かるっす。」

「そうですね。」


「そこ…。」


「カノちゃんズルいニャ!お風呂に入るニャらわーも誘って…ニャ⁉ニャんかスライムが増えてるニャ?」


シナ婆さんが脱衣所からお風呂場に飛び込んで来る。


「あ、おはようございますシナ婆さん。」


「おはようございますシナロナ様。」「おはようっす。」


「お、おはようニャ…で?これはどんニャ状況ニャのかニャ?」


「お風呂の水を浄化してもらったら増えました。」


「そ、そうニャのかニャ…。」


「シナ婆さんが来たということは、そろそろ出発っすか?」


「いや、わーが早く来ただけニャよ、まだ約束の時間まではゆとりがあるニャ。」


「出発ですか?」


「そうニャよ、ハルサメとの約束の場所までわーが案内するニャ。」


「そうなんですね、よろしくお願いします。」


「あれ?スダレに伝言を頼んでたんだがニャ?」


「それ、昨日のあれでスダレとお師さんは会ってませんから、伝言も伝わってないと思います。」


「そうかニャ…それなら仕方ニャいニャ。」


「あっ!」


「どうしたのかニャ?」


「いや…何でもないっす。」


「何でもないって感じじゃないですよ?」


「その…あれっす、ごめんっす!」


「なん…あぁ…ダンジョンに行く前にスダレたんの所に声掛けに行ったのはキンたんとナンのんでしたね…。」


「そうっす、それでスダレたんから伝言を頼まれてたっす。」


「キン…あの時キンとナンが一緒に行きましたから…ナンも忘れてたんでしょうね。」


「そうだと思うっす。」


「まあ良いです、シナ婆さんが迎えに来てくれましたから、次からは忘れたらダメですよ?先生お願いします。」


「キン、め!」

スリーピーの手?が伸びキンの頭をはたく。


「…気を付けるっす。」


「今回はわーもカノちゃんと一緒の時に伝えニャかったのが悪いからニャ、お説教は止めとくニャ。」


「ぅぅぅ…助かったっす。」


シナ婆さんの乱入とキンの懺悔?の間に壮絶?なお仕事争奪戦は終了して5体の分体が選ばれていた。


「あ、決まったんですね。」


「そっ。」


「それならお風呂担当の3体はこのままここで待機、洗濯担当の2体は、キンたんお願いします。」


「分かったっすけど、何処で待機してもらうんっすか?」


「お留守番も兼ねてリビングでお願いします。」


「了解っす。」


「残りは小屋を建てますから私について来てください、それとヨギリんは村長さんに昨日のグリズさんの件を伝えてください。」


「分かりました。」


「それでは解散!」


花音の解散でキンは分体2体を家へ、ヨギリは村長の所へ向かう。


「さて…一旦外に出ますよ。」




花音は脱衣所から外に出て小屋を建てる前に竃を創造錬金で作る。


「シナ婆さんすいませんが、火の番お願いします。」


「分かったニャ。」


花音は昨日ギルが作った串焼きを見様見真似で作り、シナ婆さんが点けた竈の火の上に鉄網を乗せて肉を焼く。




花音は家から少し離れた場所に移動して、くるっと振り返りピョンピョンと跳ねて付いて来ている分体に注意事項を告げる。


「今から待機場所の小屋を建てます、私の魔力で建てるんですけど、魔力を吸収したらダメですよ。」


花音の言葉に付いて来ていた10体の分体はしょんぼりと溶ける。


「い・い・で・す・ね!」


再度の花音の念押しに溶けていた分体もプルプルと了承の意を示す。


「さて…スリーピーさん、待機場所は石と木と土のどれが良いですか?」


「どれでも、でも…石が良い。」


「分かりました。」


花音は収納から石を取り出し創造錬金で正方形の建物を建てる。


「はい、扉は付けてませんけど中で待機お願いしますね。」


分体はピョンピョン跳ねてその建物の中に入って行く。

それを見届け、花音はシナ婆さんの下へと戻って行く。


「大丈夫と信じてますけど、これ以上分体が勝手に増えないようにお願いします。」


「分かった。」


「でも何で分体があんなに増えたんですか?それを知っておかないと今後ちょっと困ることになるかもしれないんですけど…。」


「みんな、マスターの…役に、立ちたい…と、思った。」


「私の役に?」


「そっ。」


「それで分体があんなに増えたと…。」


「そっ、本体、嬉しかった、いつも…1人だった…から。」


「…そうなんですね、それで増えた原因と理由は分かりましたけど、魔力があれば勝手に増えるんですか?それなら何か対策を考えないといけないんですけど?」


「増えたのは…意志。」


「意志?それって別に増やそうと思わなかったら増えないってことですか?」


「そっ。」


「なんだ…魔力を吸収したら増えないとダメなのかと思いましたよ。それなら問題ないですね♪」


「そっ。」


「分体には魔力を吸収しても良いですけど、勝手に増えたらダメって伝えてください、どうしても増やさないといけない場合は、スリーピーさんを通して私に伝えるようにとも一緒に伝えてください。」


「分かった。」





花音がシナ婆さんの下に戻る頃にはラットの肉が焼けて美味しそうな匂いがしている、キンは既にその場に居て、ヨギリはまだ戻って来ていない。


「あ、カノンちゃん!良い匂いがして来たっすから、こっちに来たんっすけど…食べたらダメっすか?」


「みんなの朝食ですから、食べても良いですけど…ヨギリんが戻って来てから一緒にと思ってるんです。」


「それならしょうがないっす、我慢するっす。」


「キンが我慢とか…凄いニャ。」


「シナ婆さん火の番ありがとうございました、シナ婆さんの分もありますから、ヨギリんが戻ってきたら一緒に食べましょう♪」


「ニャニャ⁉わーの分もあるのかニャ!」


「当然ですよ。」


「それは有り難いんだがニャ、ヨギリは村長の所にニャにか伝えに行ったニャ、当然伝えたらお終いって訳にはいかニャいニャよ?」


「それもそうですね…ヨギリんの分は残して先に食べましょうか。」


「本当っすか♪」


「ちゃんとヨギリんの分は残してくださいよ。」


「分かってるっす♪」


「あっ、シナ婆さんにはこれをプレゼントです♪」


「これは…何かニャ?」


「自分の意志で私の職業を知らせようとしたり、これは言葉も文字でも反応します。うっかり言葉に出そうとすると電撃が流れます。」


「ニャ⁉」


「別にシナ婆さんを信用してない訳じゃないんですけどね…。」


「ごめんっすシナ婆さん、昨日自分がついヨギリんの前で喋っちゃったっす。」


「キン!」


「ということでですね、私のことを知ってる人には身に着けてもらおうかと思ってます。」


「そういうことニャら仕方がニャいニャ。」


「1度着けたら外せませんけど、私が外せますからそこは安心してください。」


「外せニャいのかニャ…。」


「それ電撃も流れるっすけど気を失う程じゃないっす。それに魔力とか傷の回復が早くなるっすよ。」


「まあ、お詫び程度のほんの少し回復が早くなるだけですけどね。」


「口止めとは考えずにそちらで有り難く受け取っとくニャ。」

そう言ってシナ婆さんは腕輪を身に着ける。


「すいません。」


「カノちゃんが謝る必要はニャいニャよ、でも…キン!!」


「むぎゅぃ!」


「ちょっと弛んでるニャ!ハルサメとの訓練が終わったらお説教ニャ!」


「ごっくん、は…いっす…のどに詰まるかと思ったっすよ。」




「お師さん、只今戻りました。」


「お疲れ様でした。」


「ありがとうございます、村長から伝言です。」


「村長さんから?」


「はい。今日の話し合いの場所をお師さんが建てた道場でお願いしたいとのことでした。」


「道場でですか?理由は何か言ってましたか?」


「理由かどうかは分かりませんが、1つはラクネアさんです。」


「ラクネアさん…ですか?」


「村長は召喚のことは知ってますが、村の中でラクネアさんが召喚されると、周囲にもスライミーさんほどではありませんが、影響があるかもしれないと…。」


「ああ…ラクネアさんも強い部類ですからね、さすがにスライミーさんほどのことはないにしても…分かりました。で?他には?」


「2つ目がタマです…。」


「タマにゃんがどうかしたんですか⁉」


「そ、その…現在…縛ってるそうです。」


「へ?SM?」


「そのSMの意味が分かりませんが、昔のように自傷行為を行う様で…キルトが取り敢えず縛って様子を見ているそうです。」


「自称?事象…自傷⁉シナ婆さん!」


「…タマはニャ、ここに来た当初よくやってたニャ、半年ぐらいで落ち着いたがニャ、昨日以来再発してるみたいニャよ…。」


「知ってたんですね…。」


「知ってたニャ…カノちゃんに教えるかどうか迷ったがニャ、知らせてまた威圧が漏れると村が大騒ぎにニャるのが目に見えてるから知らせニャかったニャ、ごめんニャ…。」


「スリーピーさんはラクネアさんの恐慌状態を治してましたけど、タマにゃんのは可能ですか?」


「不可能…。」

「そうですか…。」


「でも…。」

「でも?」


「落ち着かせる、こと…出来る…かも?」


「それなら試してみましょうか…シナ婆さん、すいませんがハルサメさんとの約束の場所に行く前にタマにゃんの所に寄りたいんですけど…いいですか?」


「良いも悪いも、タマを落ち着かせられるニャら、わーからもお願いしたいニャよ。」


「ありがとうございます、それで何で私の道場なんですか?」


「あ、まぁ…何と説明すればいいか…。」


「ヨギリんが説明し難いなら、村長さんの言葉をそのまま伝えてください。」


「分かりました。

「タマの家から奇声が聴こえて周囲の者が迷惑しておる。何処か…そうじゃ♪今回のことはカノン殿にも責任があるからのぅ、カノン殿の家は離れておるから丁度良い。カノン殿にしばらく預かってもらおう♪ヨギリ、タマも参加メンバーに入っておったからの、話す場所を…道場というのにしてもらって、そのままカノン殿に任せよう♪うん、それが良いのぅ…そのことをカノン殿に上手く穏便に引き受けてもらえるように伝えてくれんかのぅ…。」

とのことです。」


「「「…………。」」」


「これは…ヨギリんに頼った村長の失敗っすね。」


「あの莫迦…カノちゃん、ごめんニャ。」


「いえ、シナ婆さんが謝る必要はありませんよ、村長さんが言ってることは間違いではないですけど…村長さんちょっと…。」


「カノちゃんが言いたいことは何とニャく分かるがニャ…あれは昨日のショックがまだ抜けてニャいニャよ、その上ここでオルトの件にタマだからニャ…。」


「そうですね…村長さんも大変な時に村長やってますね…。」


「…それをカノちゃんが言ったらダメニャ気がするニャ…。」


「それもそうですね…私が原因の殆どですもんね♪」


「村長の言葉を受け入れる心の広さ、さすがお師さんです♪」


「ヨギリの言葉は…間違ってニャいが、ニャんか違う気がするのはわーだけかニャ?」


「いや…シナ婆さんだけじゃないっすよ、自分も違う気がするっすけど…さすがカノンちゃんっすね♪」


「ということで、ご飯食べて、タマにゃんの家に向かいましょうか、スリーピーさん分体を1体お願いね。」


「連絡済み…今、争ってる。」


「ああ…またですか…。」




ハルサメさんが一段落したら、伏線っぽい人たちの話を…いえ、何でもないです。

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