13、ガルドラとの離別。いやそんな難しい言葉にしなくても。
「お待たせしました。」
「いや、こちらもさっき終わったばかりなのじゃ、ナンが少し早めに声をかけた様じゃな。」
「そうですか、なら忘れないうちにこっちを先にしとこうかな?ガルドラさん。」
「む?なんであるか?カノン殿。」
「ガルドラさんの奥さんにこのメダルを、できればしばらく身に着けて欲しいんですけど首とか足、尻尾とかどこが身に着け易いですか?」
「どこに身に着けるのか?…か?」
ガルドラは狼である、装飾品を身に着けることなど今までなかったので困惑している。
「あぁ、今直ぐに用意できるのが紐しかないみたいなんで、こう紐で首からかけるか足に結ぶようにするか、尻尾に首のときみたいにかけるか、尻尾に結び付けるかで必要になる紐の長さが変わってきますで、お尋ねしました。」
「ふむ…首からかける方がいいな、邪魔にならん。」
「分かりました、奥さんはガルドラさんぐらいの大きさですか?」
「我より一回り小さいが問題無いだろう。」
「分かりました。」
「で、カノン殿そのメダルというのはなんなのだ?」
「え?これは回復のメダルです、いわゆる装飾品ですね回復力が向上する効果があります。」
花音はガルドラとの話を終わらせ、キンの下に向かう。
「キンさん、紐をお持ちと伺ってるんですけど、ガルドラさんの首にかけられるぐらいの長さを貰えますか?」
「いいっすよ、って言ってもガルドラさんっすよね…紐より縄の方がいいと思うんっすけど…どの縄にするっすか?」
「え?あ~、そうですね、紐よりも縄の方がいいかもですね。それでそんなに種類があるんですか?」
「あるっすよ、罠用、捕縛用、そして綱引き用っす、あっ、綱引き用は綱っすね、縄じゃなかったっすよ。」
「綱引き用って…そんなの持ち歩いて…綱引きするんですか?」
「あまり使わないっすけど、神事っすからたまに使うっすよ?」
「神事ですか?でもそんな縄とか綱をどこに仕舞ってるんですか?」
「あぁ、この袋っすよ、この袋カノンちゃんの時空魔法と同じ空間収納が付与されてるっす、まぁ、収納できる容量はそんなにないっすけどね。」
「ほぇ~私初めて見ました。」
「まぁ、そうっすよね、カノンちゃんは時空魔法使えるっすから収納袋は普通必要ないっすからね。」
「あっ、それもそうですね、はは。」
「そうっすよ、で、これが罠用でこれが捕縛用っす、さすがに綱引き用は太すぎっすから、罠用と捕縛用のどっちかっすね、どっちにするっすか?」
「じゃ、捕縛用でお願いします。」
「了解っす。」
「あっ、お礼は何にしましょうか?縄貰ったり、イノシシ解体、木も切ってもらいましたし、なんでも…なんでもじゃなくて、可能な限りお礼しますよ?」
「そうっすね、カノンちゃんが村にいる間は自分の」
「却下です。」
「まだ途中までしか言ってないっすよ。」
「あ~なんとなく先が読めましたんで…。」
「それなら…イノシシの肉でいいっすよ。」
「それならいいですよ、ありがとうございます。」
花音はキンから縄を貰ってガルドラの所へ
「ガルドラさん、縄貰ってきました。それでどうしましょうか?」
「カノン殿…どうしましょうか?と言われても我も困るぞ。」
「そうですね…そうですよね…なんて説明したらいいかな?
え~っと、ガルドラさんの首にかけるときのこの縄の結びかたなんですけど…縄をこんな風に輪にして結び目がほどけ難いようにしっかりと結ぶ、これはガルドラさんが奥さんに渡すときにそのまま外して首にかけてあげたらいいですよ。
ただ、輪の大きさによっては邪魔になる可能性があります。
次に縄の結び目をほどけ易く結んで、奥さんに渡すときに邪魔にならない長さで結んであるんですけど…」
「ふむ、それでは、しっかりと結んでもらいたい、というかカノン殿…我の足でその縄が結べると思うのか?」
異世界だからもしかして出来るかな?って思ったんだけど…無理か。
「ですよね~、縄の長さを調べたいから、頭下げてもらっていいですか?」
「う、うむ…グッ…。」
「ん?どうしました?」
「な、なんでもない、気にするな。」
「そうですか?」
花音は縄の長さを調整し、一旦ガルドラから離れて縄を結ぶ。
解けにくい結び方と言ったら本結び、男結び、あやつなぎ…今回はあやつなぎでいこう、ここをねじって、ここから縄を通してっと、あとは両端を引っ張て、更に余ってる縄を巻き結びにして完成♪
うん、これで激しく動いても簡単にはほどけないと思う。
「ガルドラさん、首にかけますからもう一度頭を下げてください。」
花音はガルドラの首に回復のメダルをかける。
「もういいですよ~、あとはキンさんがイノシシを解体してくれてますから、お肉持って帰ってください。」
「良いのか?」
「いいですよ、持って帰ってお子さん達に食べさせてあげてください。」
「メダルといい、肉といい…カノン殿、感謝する…。」
「別に気にしないでください、キンさ~ん、ガルドラの分の肉お願いしま~す。」
「りょうか~いっす。」
キンとナンの2人で大きな肉の塊を持ってくる。
「こんなに!?本当に良いのか?」
「いいですよ。奥さん早く良くなるといいですね。」
「うむ、カノン殿、獣人族の忌み子達よ感謝する、またどこかで会おうさらばだ!」
ガルドラは肉を咥えて花音達が向かう予定とは逆方向へ駆けていく。
「それでは私達も村へ向かうのじゃ、キン…いや、ナンよすまぬが先に行って長老にカノンのことを伝えて欲しいのじゃ、カノンの恰好も含めて。」
「あぁ~、了解だよ。カノンちゃんまたあとでね。」
ナンは走って村へ向かう。
「スダレ、最初は自分に頼むつもりだったっすよね?なんでナンに頼んだっすか?」
「ん?キンだと長老にカノンのことがうまく伝わらんと思っただけなのじゃ。」
「なんっすかそれは!ちゃんとカノンちゃんのこと伝えるっすよ。」
「しかしキンだとじゃな……」
***
「長老~いるっすか?」
「なにかのぅ?キンよ。」
「カノンちゃんを村に連れて来るっすよ。」
「?…なんじゃ?そのカノンちゃんとは。」
「カノンちゃんはカノンちゃんっすよ。」
「いや、だからカノンちゃんとはなんなのじゃ!」
「カノンちゃんはすごいっすよ、時空魔法が使えるっすよ、ダークネスウルフとおしゃべりできるっす。」
「カノンちゃんというのが人なのは何となくわったがのぅ…」
***
「という感じでじゃな、肝心のカノンの恰好について伝わらんと思ったのじゃ。」
「あ~、なんとなく想像できますね…。」
「酷いっす!ちゃんと伝えるっすよ!自分はやればできる子っすよ?」
「なぜ疑問形なのじゃ…。」
「…疑問形でしたね。」
3人は忌み子の村を目指す。
これで本編、第一章を終了です、閑話…閑話なのかな(。´・ω・)?を2・3話入れて第二章へ突入したいと思います。




