122、通り名。今明かされる…って訳でもないです。
「それで俺たちには説明なしか?」
「説明出来ないのはオルトさんの件だけです、今回の騒動はさっきもキルトさんに言いましたけど、私の能力制御の失敗です、まだまだ未熟ですね…ってまだ14ですから当たり前なんですけどね。」
「まあ…な……ヨギリと同じ年齢なら未熟も良いとこなんだがな…娘っ子の場合、基準が俺たちと違うからなぁ、判断出来ねぇ…つい俺らと同等以上と思っちまう。」
「基準ですか?」
「そうだニャ…わーたちは強さが基準になってるニャ、村長は違うが、代表は大体その種族の中で1番強い者がニャるニャ、未熟かどうかも当然強さが基準ニャ。
そしてカノちゃんの場合…その強さがわー達で理解できる範疇を超え過ぎてるからニャ、強さだけで考えればわーよりも熟練…と判断されるニャ。」
「シナ婆さんより熟練って…喜んで良いのか、悲しんだらいいのかちょっと判断に困りますね…。」
「普通に喜んで欲しいんだがニャ…まあいいニャ、わーの年齢までになると下る一方だがニャ、普通強さは年齢に比例して強くニャっていくもんだからニャ、そして精神面もそれと同様に…例外も居るがニャ育っていくもんニャよ。」
「まあ…普通はそうですよね、当然例外も居ますけど…。」
「当の例外の娘っ子が言ってるんだから間違いないな♪ガハハハッ。」
「私は例外じゃないですよ!年相応です!」
「お師さんが年相応でしたら、某たちは赤子も同然なんですが…。」
「そうっすね、バブ~っす♪」
「あははは♪だよね~。」
「そんで?制御の失敗てぇのは?」
「ああ、ん~っと、能力は秘密ですけど…ヨギリんの家の件でキンたんの耳がペタンってなったじゃないですか?」
「あの時か…。」
「もうあれは勘弁して欲しいっす…。」
「あははは、あの時のキンは子供の頃みたいだったね~、なんか懐かしかった♪」
「あれの制御を失敗したのかニャ?」
「それもあるんですけど、その能力と模擬戦の時の威圧は本来別の能力なんです。」
「てぇことは…どういうことだ?」
「この2つは効果が似てるんです。だから…なんて言ったら良いか…キンたん耳ペタン能力から漏れたのが威圧に変わって…この惨状に……ってことです、すいません。」
「原因は分かったが、そうなった理由は何だ?」
「それは…。」
花音から威圧が若干発せられる。
「め!」
「ということです。」
「あ~さっきキルに言ってたのが理由っすか…。」
「カノンちゃんがそんなになるなんて…何が…。」
花音から若干の威圧が漏れ出す。
「め!」
「あはは…ごめん。」
「娘っ子がそうなっちまうほど…。」
「聞くのが恐いっすね…。」
「だね…。」「ですね…。」
「それで、わーと村長、オルトの弟子キルトにクルト、カルトに…タマかニャ…心の準備しといた方が良さそうだニャ…タマは外した方が良さそうだがニャ…。」
「さて…このままではダメですから、ちょっと気分転換にでも行ってきます。」
「気分転換?」
「何処行くんっすか?」
「体も動かしたいし…そうなると鉱石採取がいいかな?そうなると…ダンジョンかな?」
「それなら一緒に行くっす。」
「某も。」「私も~。」
「俺もと言いたいが今は無理だな…。」
「すいません。」
「いや…娘っ子が原因だが、こればかりは代表の務めだからな…もう少しゴルドフかヨスガ辺りが育ってくりゃぁ、俺の代わりはまでは無理でも、任せられるんだがな…。」
「あれ?その2人って…模擬戦の時の2人ですね。」
「おう、あいつらはあれでも猿人族の中では強い方だからな、年齢的にも俺の次の代表候補だな♪ただ、ちょっと精神面がな…子供と言うか雑と言うか…。」
「それはゴルクと変わらニャいニャ。」
「ぉ?おぅ…それ言われちまうと…そうだな♪ガハハハッ。」
「そこ笑うとこ違うニャ!」
「ガハハハッ、だからだよ、次を任せんなら俺より強さも賢さも上じゃねぇとな♪」
「あ~ゴルクの先代は選択肢がニャかったからニャ~。」
「あ~…。」
「何で納得すんだよ!」
「あの2人が次の代表ですか…。」
「ん?何かあんのか?ヨギリ。」
「いえ、あの2人も猿人族特有のあれですから…。」
「あれ?……あ、ガハハハッ、そこは昨日の模擬戦で思うとこがあったみたいだぞ、今日チッラっと見かけたが、雰囲気が変わってやがった、特にヨスガがな。」
「そうなんですか⁉でもヨスガさんはお師さん狙いでしょう、自分より強い女が居ないっていつも言ってましたから。」
「そうか…そんなら強さ以外も……そこはそのうち娘っ子が実践してくれそうだな…………娘っ子、任せた♪」
「私に任せないでください!そこはゴルクさんの仕事でしょ?」
「ガハハハッ、娘っ子はいつも通りで良いんじゃねぇか?おう、それで解決だな♪そんじゃぁ俺は戻るわ。」
「あ、はい、すいません。ご迷惑お掛けしました。」
「わーも後処理に戻るニャ、キルト以外の報告も必要だろうからニャ。」
「すいません。」
「カノちゃんは気にしなくて良いニャよ。」
「あ、それと、キルトさんに伝え忘れたんですけど、村長さんに報告するときにオルトさんの件ではラクネアさんも同席すると伝えておいてください。」
「分かったニャ。」
ゴルクとシナ婆さんが戻って行った…。
「ちょっと主⁉さっきの話うち聞いてないんですです?」
「あ、目覚めましたか?そういうことですから、また念話しますね。」
「ラクネア…さんっすね、自分カノンちゃんの孫弟子のキンっす。よろしくっす。何でスライムに捕食されてるっす?」
「あ、知ってますです、三獣士の知略担当の獣人です、人族からは絶妙犬って呼ばれてるです。よろしくです。」
「何っすかそれ⁉」
「キンが知略…あははは♪」
「攻め時、引き際が絶妙らしいです。あとは罠がことごとく見破られることから、知略に優れてると言われてるらしいです。」
と答えている間にラクネアを包んでいた分体はラクネアから離れていく。
「ふぅ~何で捕食…包まれてたか覚えてないです、でもスッキリした感じがするです。」
「某はヨギリです、よろしくお願いします。」
「ヨギリ…情報にはないです、よろしくです。」
「そうですか…しょんぼりです。」
「ラクネアさんも覚えとくといいっすよ、ヨギリんはカノンちゃんの一番弟子っすから♪」
「みゃ⁉主の一番弟子です⁉要チェックですです、情報感謝です。」
「私はナンね、よろしく。」
「そっちは同じ三獣士です、特攻犬って呼ばれてるです。」
「何⁉私までそんな呼ばれ方されてるの⁉」
「ですです、特攻してくる犬人と情報が上がってたです。最後がスダレです、風水狐と呼ばれてるです。」
「スダレも⁉」
「そんな通り名が付くほど有名なんですか?」
「そうです、うちもアルファルム大陸の情報はそれほど重視してないです、でも尻尾付では…三獣士、殲滅、狂犬、狂猿、殺戮辺りは頻繁に情報が入って来てたです。」
「狂えんは…宴?袁…猿かな?それならゴルクさん辺りかな?狂犬は…犬?…ギルルドさんかな?殲滅と殺戮は…誰?」
「主の言う通り狂猿はゴルクという名です、狂犬はギルルドという名です、殲滅は猫人です。名はシナロナです、殺戮は狐人です。名はハルサメです。」
「「「「え⁉」」」」」
「シナ婆さんとハル婆さんそんな物騒な呼ばれ方してたっすか…。」
「まあ、あの2人だからね。」
「そうですけど、キンたちに呼び名があって、某に無いのが納得できません!」
「ヨギリんはそんなに戦闘に参加してないっすから、これからっすよ♪何と言ってもカノンちゃんの一番弟子っすからね♪」
「ですです、主の一番ですです、きっと殺戮を超える名が付くです。」
「が、頑張ります!」
「殺戮…ハルサメさんって有名なんですか?」
「殺戮は群を抜いて有名です、殺戮は…。」
「ラクネアさんそれ以上はダメっす。」
「え?ダメです?」
「そうっす、明日カノンちゃんはハル婆さんと会うっす、楽しみはその時まで取って置くっす。」
「そうです?主はどうするです?」
「そうですね、明日会いますからハルサメさんの情報は良いです、それよりもオルトさんの方をお願いします。」
「分かったです、現状維持でいいです?」
「本当は良くないです…………でもこれは私が手を出さない方が良いかもしれません。死んでなければおそらく私の能力で助けられますから、死なないようにしてもらえれば…。」
花音は冷静にそう指示を出すが、やはり威圧となって漏れ出す。
「め!…マスター。」
何回目かのスリーピーによる頭部ペチンを受けて慌てて深呼吸を繰り返す。
「ありがとうスリーピーさん。…ラクネアさんも急に呼び出してすいませんでした。」
「うちは主の従魔です、そこは問題ないです、ですが…念話で召喚前に一言声をかけてくれたのは有り難いです、でもです、召喚までに少し時間にゆとりを貰えると助かるです。」
「すいません。」
「明日召喚するときはお願いするです、お米もあるです。」
「お米⁉そうです、明日は念話して、再度確認してから召喚します。いえ!召喚させて頂きます!」
「は、はい…お願いするです…。」
「それじゃあ送還しますね。」
「お願いするです。」
「送還!」
ラクネアが送還され姿が消える。
「それでダンジョンに行くっすか?」
「そうですね、ただこれは私の気分転換ですから、付いて来ても何の得もありませんよ?」
「自分はそれで構わないっすけど、ナンとヨギリんはどうするっすか?」
「ん~私も行くよ♪キンだけだと心配だからね。」
「某は弟子ですから、当然お供します。」
「分かりました、それじゃあ………あ、分体の1体はお風呂の水の浄化お願い出来ますか?」
「分かった。」
花音が脱衣所からお風呂場の扉を開いて、分体の1体が昨日の入浴で汚れているお風呂の水にダイブする。
「これ…時間かかる。」
「そうなんですか…それならスリーピーさん以外はお風呂場の水の浄化をお願いします、それが終わったら、ここで待機お願いしますね。」
「分かった。」
スリーピーの返答に答えるように残り4体がお風呂の水にダイブする。
花音はそれを見届けてから扉を閉めて外に出る。
「それじゃあダンジョンに…スダレさんとカルトさんどうしましょうか?誘います?」
「カルトは放置しとくっす、あれはしばらくダメだと思うっす、スダレは…たぶん無理っすね…。」
「そうなんですか?」
「一応声はかけるっすか…。」
「だね♪仲間外れにされたー!って落ち込みそうだからね。」
「それならスダレさんのとこに向かいましょうか。」
「いや、スダレの所には自分とナンで行って来るっす、カノンちゃんとヨギリんはダンジョン方面の入口で待てて欲しいっす。」
「え?でも…。」
「そうだねヨギリん、カノンちゃんの案内よろしくね~。」
「分かりました。」
キンとナンはスダレの下へ、花音とヨギリはダンジョン方向の村の入口へ向かう。
「キンはカノンちゃんに甘々だね~。」
「そうっすか?自分ではそうでもないと思ってるっすけど。」
「カノンちゃんが気に病まないように私達でスダレの所に行くんでしょ?」
「そうっすね。」
「それが甘々だって言ってるんだよ♪」
「カノンちゃんはトウガのこと気に入てたみたいっすからね…。」
「だね~。」
2人がシグレの家に到着してスダレにダンジョンへ行く話と今回の経緯について簡単に説明する。
「そうか…残念じゃが同行は出来んのじゃ。」
「だよね~、シグレさんは代表だから他の狐人の様子確認しないといけないからね。」
「そうなのじゃ、じゃから今トウガの面倒を見れるのは私しか居らんのじゃ…。」
「あれはスライミーさんほどじゃなかったっすけど、結構きつかったっすからね…。」
「当のカノンちゃんは分かってないみたいだったけどね…。」
「おそらくそうじゃろうな…私でも恐慌状態じゃったからな…子供たちにとって唯一の救いは一瞬で気を失ったことなのじゃ。」
「だね~、今回の件はキルトとシナ婆さんから村長に報告されるだろうから、シグレさんにも伝わってると思うけど、トウガのことは伏せといた方が良いかもね。」
「そうじゃな…師匠には伝えておくのじゃ、後の判断は師匠がするじゃろ。」
「そうっすね。」
「あ、ごめん。私も師匠に伝えてから合流するよ。昨日の会議みたいに怒られるのも嫌だからね。」
「了解っす、自分はこのままカノンちゃんに合流するっす。」
「了解~。」
「あ、明日は予定通りで良いのか?一応ハルサメ様はここに…来ておるのじゃが…。」
「大丈夫っす、カノンちゃんもハル婆さんとの約束は破れないって言ってたっすから。」
「分かったのじゃ、それなら明日の朝、シナ婆さんが迎えに行くとカノンに伝言を頼むのじゃ。」
「了解したっす、でもシナ婆さんは何も言ってなかったすけど?」
「本当はダンジョンに同行するときに私が伝える予定だったのじゃ。」
「それでっすか…了解っす。」
キンとナンはシグレの家から出て、ナンはギランの下へ、キンは合流場所へ向かう。
ダンジョンに行きます…なんで…。
最初に考えてたのは使えない…当初考えてたメンバー居ないし…。
何で…(´・ω・`)




