117、スライムゲット。DAZE♪
なに?スライム?でもなんか溶けかけのアイスのような?ゼリーのよう…な?
ヴァフトンスライムじゃ…ない…よね?たぶん…それでもスライムはスライムです!時間もないから早速。
「スライムさん!私の従魔になってくれませんか?」
「ま…力…。」
「魔力ですか?」
「そっ…。」
「魔力が欲しいと…。」
「そっ…。」
「分かりました。」
普段なら安全性とか周囲とかに気を配っている花音だが、時間があまり残ってないことと、お目当てのヴァフトンスライムではないようだが、スライムを召喚出来たことで、そのまま言われた通りに魔力が籠ってる、腕輪を大きなスライムの前に差し出す。
(花音様!!)
え⁉なに⁉
大きなスライムから触手のように1本手?を伸ばして、腕輪を掴み体内に取り入れる。
その瞬間花音と大きなスライムを淡い光が包み込む。
(すいません、遅かったです。)
「あれ?従魔契約?あれ?でも何で?」
「もっと…魔力…。」
「もっとですか?ん~直接魔力流して大丈夫ですかね?」
「だい…じょ…ぶ。」
「大丈夫ですか?私、魔力制御出来ませんよ?」
「だい…じょ…ぶ。」
「ん~…大きいから多少失敗しても大丈夫かな?」
大きさで勝手に花音は大丈夫だろうと判断して魔力を抑え気味にスライムに流す。
しばらく魔力を流し続ける花音。
「え~っと、まだ魔力必要ですか。」
「もっと魔力欲しい。」
「あれ?普通に話せるようになってますね…魔力をあげてるからかな?それなら…少し流す量を増やしてみますけど、危なそうだったらすぐに言ってくださいね。」
そう言って花音は抑えていた魔力の量を増やしてみる。
普段は黄龍の指輪の回復能力で滅多に魔力が減ってることを感じない花音が、魔力が減っている感じを自覚する。
「す、すいません、ちょっと魔力流し過ぎたみたいですけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫♪問題ない…です。」
「そうですか?それならこれぐらいで流しますから、危険になったらすぐに教えてくださいよ?」
「分かった♪」
さらにしばらく魔力を流し続けると、溶けかけのような姿も普通の雫型スライムのようになっている。
「はぁ~…あれですね、ゲームに出て来たキングみたいですね、可愛いです♪」
「もういいよ、ありがとう♪」
「分かりました。」
「けぷっ、お腹いっぱい♪幸せ♪」
「それは良かったです♪スライムさんの名前はスライムなんですか?何故か従魔契約出来ちゃいましたけど…。」
「私の名前はスライムじゃない…けど、従魔契約に名前は必要じゃない…です。」
「そうなんですか?」
「そっ、従魔になる意思を尋ねて、尋ねられた方が了承の意を示せば、あとは魔力を与えるだけで契約終了…です。」
「あ~成程、私少し勘違いしてたみたいですね…それと「です。」って言い難かったら別に付けなくてもいいよ?」
「感謝。」
「いえいえ、それでスライムさんの名前がスライムじゃないなら、名前を教えてもらってもいいですか?」
「マスターはただ命令すればいい。」
「そんな命令何てしませんよ、それとも命令しないと教えてもらえませんか?」
「そんなこと…無い。ただ…。」
「ただ?」
「ん~みんな私を恐れる、だからダンジョンの奥でひっそり生きて来た。」
「それは…なんか寂しいですね…。」
「うん、生きる為に必要な最低限の魔力は確保できてたけど、本当に最低限、久しぶりにお腹いっぱい、幸せ♪」
「そうですね、お腹いっぱいなのは幸せですね♪」
「うん♪また魔力をお願いしたい。」
「良いですよ。」
「私の名前はスライミー、これからご飯…じゃない、魔力…でもない……よろしく。」
「はい♪よろしくお願い……え⁉スライミー⁉スライミーってスライムの魔王の名前なんじゃ…。」
「そっ、魔王…その私を召喚した、マスターなら魔力…貰えると……思った。」
「スライミーさんを召喚できる私ならお腹いっぱいにしてもらえると…。」
「ダメ?…ダメだった?」
「いえ、そこは私が生きてる間は従魔契約してますから、責任持って魔力供給しますよ。」
スライミーは嬉しそうにプルプルしながら「ありがとう♪」と告げる。
「でも、魔王も召喚出来るんだね、ビックリです。」
「私もビックリ…です。」
(私も驚きです。)
あっ、ナビちゃんもビックリしたんだ。
(はい、その所為で花音様に注意するのが遅れてしまいました、すいません。)
まあ、特に問題があった訳じゃないから気にしなくていいよ。
(すいません、ありがとうございます。)
「でもヴァフトンスライムどうしようかな?」
「ヴァフトンスライム?」
「あ~もしかしたらヴァフトンスライムって勝手に付けられた名前かもしれないから、え~っと何処から説明すればいいのかな?ん~…最初から説明するかな?」
そう言って花音は水路のこと水を綺麗にするのにヴァフトンスライムが必要なことをスライミーに説明していく。
「それなら、私でも大丈夫。」
「大丈夫って言われても、いくら何でもスライミーさんは大きい過ぎるよ。でもありがとう。」
「大丈夫、私の分体は小さい。」
「分体ですか?」
「そっ、これぐらい。」
そう言ってスライミーはバスケットボールほどのスライムを創り出す。
「可愛いですね♪これ何体ぐらい用意出来ますか?」
「沢山、今なら1000体でも余裕♪」
「そんなにですか⁉でもこの大きさで1000体余裕って、どう見てもスライミーさんの半分ぐらい大きさにはなりますよね?」
「ん~…説明は難しい、ただ分体は私の体のほんの1部を使用してるだけ、あとは魔力と…気合?」
「魔力と気合って…それでこの分体はどれぐらい持続出来るんですか?」
「半永久。」
「半永久?」
「そっ、私が死ぬか魔力が枯渇すれは消える、でもマスターが居ればその間は問題ない。」
「そうですか…それなら5体お願いできますか?取り敢えずそれぐらいの数で今のところ大丈夫ですから。」
「分かった。」
そう言ってスライミーは分体を6体創り出し、そのうちの1体は手のひらサイズの人型を模している。
人型の分体はシュッタっと手を上げて挨拶するジェスチャーをする。
「あれ?6体?こっちの人っぽいのは何ですか?」
「その子は分体の統括、その子に指示すれば他の分体に指示が届く、それと魔力を供給してくれれば、私にも魔力が供給される。」
「え?それはどういう…。」
「私はダンジョンの奥に戻る。」
「ちょ、何でですか⁉一緒に居ればいいじゃないですか!」
「無理…だと思うよ?」
そう言って、スライミーは触手のようなもので花音の後ろを示す。
花音が振り向くとゴルクの姿はなく、その他の全員が尻尾を股に挟んでガクブルしていた…。
「あっ…。」
「私の存在自体が周囲に影響を及ぼす、でも分体なら大丈夫。」
「…寂しですね。どうにか…。」
「ありがと、でも大丈夫。その子は統括、私と繋がってるから、その子が見た物、感じたことは私にも伝わるから…もう寂しくない。」
「それでも…いえ、そうですね、いつか一緒に居られるようになりたいですね。」
「うん、出来ればその子はマスターと一緒に行動させて欲しい。」
「分かりました、ありがとうございます。」
「私もありがと、マスターのお陰で…お腹いっぱい、幸せ♪」
「あはは、そうですね♪またお腹が空いたら念話してください。」
「うん。」
「それじゃあ、残念ですけど…送還しますね…。」
「うん。」
「………送還!」
ねえ………ナビちゃん。
(何ですか?)
スライミーさん魔王らしくなかったんだけど…魔王って全員あんな感じなのかな?
(そちらですか?)
え?そちらってどちらだと思ったの?
(スライミー様が一緒に居られる方法をお尋ねなのかと…。)
そっちも聞きたいけど、スライミーさんも方法は知らないみたいだから…ね。
(そうですね、いくら花音様でもこればかりはどうにもできないでしょうから。)
理由分かってるの?
(スライミー様がダンジョンの奥に引き籠っている理由までは知りませんでしたが、あの理由なら魔王の威圧が原因ですね。)
魔王の威圧?でも私は全然…。
(花音様とスライミー様の違いは、スライミー様の威圧は常に発動されているという点ですね。)
そっか、常に発動されてるのか…私でもどうにも出来ないって言うのは?
(魔王の能力を抑えることは出来ませんから。)
そうなんだ…残念だけどそこは別の何かを考えるということで…。
(諦めないのですね。)
うん♪折角私の従魔になってくれたんだから、そこは何とかしてあげたいしね♪
(…そうですか、それで花音様の最初の質問の回答は花音様もそうでしょ?という回答です。)
へ?なに?私も?
(花音様も魔王らしくないのでは?ということです、花音様が想像されてる魔王らしさがどのようなものかは分かりませんが、花音様もスライミー様も似た感じですから。)
そんなこと…
と花音が言いかけたところで姿が見えなくなっていた、ゴルクが大声で怒鳴って来る。
「娘っ子ー!!なんつぅモン呼び出しやがるんだ!」
「え?ゴルクさん?」
「え?じゃない!ありゃぁ何なんだ!現れた瞬間に本能的に逃げちまったぞ!」
「そうなちゃうんですね…その説明はみんなが回復してからにしましょうか。」
「あん?」
ゴルクはそう言われて周囲を見るとみんなガクブル状態である。
「あ~あれだとそうなっちまうわな、見ろ娘っ子、タマなんか失神してまってるぞ、可哀想に…。」
「え⁉え~っと、え~っと…どうしよう…と、取り敢えず、ゴルクさんはギルルドさんをお願いします。」
「何で俺があいつの…。」
「それ以外は女性だからです!」
「ぉ、おう、分かった。」
タマにゃんには悪いけど、最後に回ってもらって、シナ婆さんから。
「シナ婆さん大丈夫ですか?」
「カノちゃん…こ、恐かったニャ~。」
そう言ってシナ婆さんは花音にしがみ付いて来る。
「大丈夫です、もう居ませんから。」
「ほ、本当かニャ?………はぁ~…わーは大丈夫ニャ。タマやナン、キンを見てやって欲しいニャ。」
「本当に大丈夫ですか?」
「大丈夫ニャよ…動く気力が戻るまでもう少し時間は欲しいがニャ、大丈夫ニャ。」
「分かりました。」
シナ婆さんの言葉に従って、キンとナンの方へ向かう。
「キンたん、ナンのん大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないっす!恐かったっす!」
「意識手放たくなるほど恐かったよ~。」
「すいません、もう送還しましたから、それにタマにゃんは失神してます。」
「やっぱりタマはそうなるっすか…。」
「そっちの方が幸せだよ…。」
「何なんっすかあれ…漏らすかと思ったっす…。」
「ごめん、私はちょっと漏らしちゃった…。」
「…ごめんっす、見栄を張ったっす…自分も少し漏らしたっす。」
「動けますか?」
「話してたら少し落ち着いたっすけど…もう少し時間が欲しいっす。」
「私も…。」
「分かりました、私はタマにゃんの方が方へ行きます。」
「分かったっす。」「うん。」
花音はタマの状況を確認する。
あ~、うん、川の近くで良かった…取り敢えず川の側まで運ぼうかな?
ナビちゃん。
(はい。)
周囲にモンスターとか何か居るかな?
(居ません、スライミー様の出現で逃げてます。)
それなら、しばらくは大丈夫だね。
(そうですね、ただスライミー様のあの威圧ですから、模擬戦の時より時間がかかると思います。)
具体的には?
(ゴルク様と同様に本能で逃げてますからね…1・2ヶ月はかかるんじゃないですか?)
そんなに…でも今は安全だからいっか♪
「川へタマにゃん連れて行きますね。」
「了解っす、自分ももう少ししたら行くっす。」
「…そうだね、私も後で行くよ。」
「分かりました。」
花音は確認を行いタマを担いで川の方へ向かう…。
予定通り召喚は終了しましたが、後始末が増えました…。
うん、召喚は終了した…よ?




