表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

詩のようなものたち

墓参り

作者: 暮 勇

 真っ青な顔の少女の上は

 薄い灰色の幕が立ち込める

 濃く深い緑の樹の下で

 寂れた墓は誰を待つ


 唇が妙に赤い少女

 車酔いの不貞腐れ顔

 千切れた雲の向こうには

 透き通るような青い空

 剪定された枝枝の隙間から

 墓所は光に照らされる


 退屈顔の少女の手には

 青々茂った樒の束

 これがおばあちゃんだよ

 おじいちゃんだよと言われても

 少女の目に石は映らず

 その少し上に視線が漂う


 …墓石は祖父母ではない

 そんなひねた考えで

 黙々枯れた花を差し替える

 枯れて赤茶けた花々は

 無情にも弔われる人々の足元に

 一時的にも投げ捨てられる


 形式的な行為の中で

 透明な涙は一滴も無く

 唯無味な弔いがなされるのみ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ