墓参り
真っ青な顔の少女の上は
薄い灰色の幕が立ち込める
濃く深い緑の樹の下で
寂れた墓は誰を待つ
唇が妙に赤い少女
車酔いの不貞腐れ顔
千切れた雲の向こうには
透き通るような青い空
剪定された枝枝の隙間から
墓所は光に照らされる
退屈顔の少女の手には
青々茂った樒の束
これがおばあちゃんだよ
おじいちゃんだよと言われても
少女の目に石は映らず
その少し上に視線が漂う
…墓石は祖父母ではない
そんなひねた考えで
黙々枯れた花を差し替える
枯れて赤茶けた花々は
無情にも弔われる人々の足元に
一時的にも投げ捨てられる
形式的な行為の中で
透明な涙は一滴も無く
唯無味な弔いがなされるのみ