女神は駄女神に認定されました。
────────約2年後──。
「ルーク!どこに居るの!ルーク!」
ん?母様の声だ。
「あーい!母たま!!」
「ルーク!どこにいたの?心配したんですよ?」
私は2歳となりヨチヨチですが歩けるようになりました。
生まれてすぐのことなんて興味無いでしょ?だから省きます!と言うより、省くまでもなく何もしてません!特筆すべき事はゼロです!
あ、嘘吐きました。特筆すべき事結構ありました。あ、でも期待しないでくださいね?在り来りなので。
まず、私の転生後の性別は男でした。しっかりと股の間にちっちゃなぞうさんがいましたよ。
そしてどうやら私には年の離れた兄が居るそうです。母様の年齢が余計にわからなくなりました。現在兄様は学校に行っているそうです。全寮制だそうで、おそらく私も将来は……。
あと我が家は公爵家だそうで。爵位とかよくわかりませんが、現時点で分かることは1つ、あ、2つかな?3つかもしれません。
1つ、とにかく金持ち。屋敷めっちゃ広いし、私、迷子になりました。屋内で迷子とか幼少期にショッピングモールの二つあるトイレの出口間違えて以来でしたね。
2つ、恐らくとても偉い。貴族として地位が高いと思われる。だって、私が生まれてから他の貴族がめっちゃお祝い来てました。誕生日もです。みんなペコペコしてましたね。取引先のお偉いさんにあった平社員みたいでした。見たことないけど。
3つ、2つ目に含まれるかもしれないけど、領地が村とか町って規模じゃない。街とか都って規模してる。たぶん人口と広さやばいです。長男じゃなくてよかった。兄様に頑張ってもらおう。
「奥様!坊っちゃまは見つかりましたか?」
「ええ、いたわ。よちよち歩きができるようになった途端に屋敷中を動き回って……怪我をしないかハラハラするわ。」
そうなんですよ、屋敷中を探検したりしたんです。これが結構広くって楽しくてですね……今子供っぽいとか思いました?自覚はあります。
いやぁ、歩けるようになったのが嬉しくてね。きっと地球の赤ちゃんが歩けるようになった途端、1人でピューってどっか行っちゃうのは嬉しかったからなのかなぁーとか思ったりしてます。
「もう、どこに行っていたの?探したのよ?」
「ほんがたぁーくさんのとこでしゅ!」
「また?まだ字も読めないでしょうに……楽しいのかしら?」
そうなんです、当たり前のことなんですがまだ字が読めないんですよ。フリとかじゃなく、本当に。
あと口調も。私としてはちゃんと話しているつもりなんですが、舌がついてこない。これぞホントの舌足らず……
そしてこの世界の文字は日本語じゃなく、どっかの民族が使ってそうな訳の分からないものでした。英語でもなかった。アリアも何かつけてくれれば良かったのに……あのよくある“多言語理解”的なチートを。
『欲しかったんですか?』
?!アリア?様?
『今更そんな“様”とかいいですよ〜!で、欲しかったんですか?』
え、付けれるんですか?
『いえ、もう無理ですけど。』
無理なんかーい!!じゃあなんで聞いたし?!
『欲しいなら転生前に言ってくださればお付けしたのに〜。早く言ってくださいよね!もう!』
もう!はこっちのセリフだわ!そういう事は早く言え!
『欲しいなら転生前に言ってくださいよね!!(1.5倍速)』
やると思った!アリア、ノリいいからやると思った!
「ルーク、どうしたの?ぼーっとして。何かあったの?」
「うーん、ねむいの……」
「あらあら、それなら先に戻って眠れるよう用意してきますね」
ばあやに少し呆れられてるが寝たふりをすれば、アリアと話しててぼーっとすることも無いし疑われない。
「ありがとう。よろしくね、ばあや」
「いえいえ、これが私のお仕事ですからね」
「さ、ルーク。お部屋までは頑張って歩きましょうね?」
「あぃ……」
私は母様に手を引かれ部屋まで行き、ベッドに入った。
「ゆっくり休むのよ?起きたら横に居ないとかはやめてね?」
「あい?」
いないかもしれないからとぼけとく。探検に行ってるかもしれないし。
「おやすみ、ルーク」
私は目を閉じ寝たフリをした。
(さあアリア、これでゆっくり話せるよ?)
『なんの話しだったかしら?お茶飲んで待ってたんだけど、』
(何呑気にお茶してるの、暇なの?暇なのね?)
『ええ、暇よ!』
認めやがった、コイツ……認めやがったぞ!
『そ・ん・な・こ・と・よ・り!話の続き!』
(あぁ、転生前にチート欲しければ言ってよねって話ね)
『それです、それそれ。あ、性別の件すみませんでした』
やっぱり。知ってて言わなかったな、この女神。駄女神か?
『あ、それとチート能力でしたっけ?それは一応つけてありますよ!』
(え?!なになに?知りたい!!)
『今後のお楽しみです!何個か付けてあるので楽しみにしててくださいね!』
1個じゃないんだ……、じゃあなんで多言語理解を付けなかったのよ。1番よくあるやつなんじゃないの?
『あら、お茶がなくなっちゃったわ。ってことでまた今度ね〜!』
(え?お茶がある間だけだったの?!これ、)
『いや?単に私が飽きたのです!!』
?!なんて自由な神なんだ……。これぞまさに自由の女神ってか?やっぱりアリアは駄女神かもしれないな。
『あ、ちなみに改名はダメでした!では!』
(あ、ちょっ!アリアー?)
──────────シーン……。反応ナシ!!
電話で一方的に切られた気分だ。ふん、もういいし。不貞寝する!あとアリアは駄女神に決定!
次の投稿は2日後になりますm(*_ _)m