ツルギvsブレン③
ブレンは黒い煙を、全身に浴びていた。
そして。
全身を覆う黒い煙が、一気に猛る炎へと変わった。
「……!?」
ブレンの体を、襲う。
「……っ、ぐああああああああああっ……!」
落ち着け。
炎に焼かれたからってすぐ死ぬわけじゃないんだ。
まして自分は電流の鎧を纏っている。まずもってダメージなんて大したことはない。
――――問題は、なぜ、黒煙がいきなり炎へ変化したのか、ということだ。
黒煙を炎へ変える魔力の持ち主がいた、ということだ。
まさか……!そんな……!
炎の牢獄にとらわれたブレンを。
筆の一閃が、叩き伏せた。
~~◇~~◇~~
俺は……勝ったのか?
朦朧とする意識の中で、ツルギは突っ立ったままだ。
聖剣筆を地面に突き刺し、それを支えに立つしかないほど、ツルギの体も、また衰弱しきっていた。
目の前には、地に伏して起きることのないブレンがいる。
俺は……。
「お前の勝ちだ」
誰の声だ。
ロゴスだ。
ブレンの師匠。
彼は、倒れたブレンの肩を抱く。
「ああ、ちなみに死んではいないぞ」
ロゴスが言う。
ああ……良かった……。
それだけ分かると、ツルギは、フッと力が抜けて、
肩から地に崩れた。
~~◇~~◇~~
一日にして道場破り・新入り・そして翔火尊塾最強、を倒した男、(ふでもち)ツルギ。
その衝撃は、翔火尊塾の面々に波紋を拡げた。
と言っても、レトナ・イヴァン・ジェスの残り三名にであったが。
で、当のツルギは。
本日何度目かっていう頻度で、昏睡していたのであった。