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ブレンの肖像


 


 ガギィィィィィィィィィィン…………!




 道場最強の名を持つブレンは、イヴァンの一撃を軽く受け止めた。




 いきなり斬りかかられたにも関わらず、ブレンは澄ました顔でイヴァンに言うのであった。






「ただいま、……イヴァン」



「待ってたぜ、ブレン……!」




 イヴァンの第二撃。



 それが繰り出される前に、ブレンは斬り払う。





 ブレンの一薙ぎが。



 烈風を生み出した。




 ガァァァァァァァッッィン…………!





 イヴァンの体が壁に叩きつけられる。





 かなり体を叩きつけられ、かなりの衝撃が体にきているはずなのに


 むくり、と屁でもないというような表情をして、イヴァンは言った。



「帰ってきたばっかで悪いけどよ……」




 剣を大きく振りかぶり、




「受けてくんねえかっ!?オレの剣をよっ!!」



「もうしてるねッッ!!」




 

 交差。



 白刃と白刃がぶつかり合い、剣の軌道が激しくぶつかり合う。




「ウラァァァァッッッッ!!」



「ハッッッッ…………!」





「ちょっと、二人とも!!」



「ひえええええええええええ!!」




 レトナとジェス、二人の制止も聞かず。




 むしろ当事者以上に傍観るものの命を削りそうな勢いのある剣戟は、狭い部屋の中で続いた。





 そして意外と瞬時に、




 決着は訪れた。




 




「強え……な……」


「イヴァンこそ……腕、上げたな……」



 地に伏しながら呻くイヴァン。

 腕を抑えながら呟くブレン。



 決着は、はっきりとついた。




「もおお~~~~~~~!何人ケガ人看ればいいんですかあああああああ!」



 レトナが喚いた。









「……新入り?」



 帰ってきたブレンを囲んで、みんなが座る。




 部屋のあちこちに、イヴァンの八つ当たりやらさっきの闘いの爪痕やらが残って、落ち着けない有り様だが。




 話題は。



 翔火尊塾の新入りに上った。



 

「……一体どんな?」



「いきなり『俺は世界一の剣士になる。だからここに道場破りに来た』とか言ってきたわけわかんねえヤツさ」



「ほう……」




「ま、俺がちゃんとシメといたぜ!」



「けっこーギリギリじゃなかったですか?」



「おめーはマジで癇に障ること平気で言うな……」


「図星の証拠ですよ」


「ち……」



 プライドの高いイヴァンと、そこをほじくるレトナ。



「フフ、イヴァンを追い詰めるなんてよっぽどだね」


「おめーさっきの戦闘のあとでそれじゃ嫌味だぜ」


「いやいや、俺だって割とギリギリだったさ。あのまま長引いてればどう勝負が転んでたかわからない」


「くう!そういうフォローが嫌味だっての!」



 イヴァンが拳を握り、ブレンは涼しい顔を崩さなかった。



「武器が特徴的なんですよねー、剣先がペンの不思議な剣。あれ剣なのかな?」


 


 レトナがさりげなく言った一言が。



 ブレンの表情を変えた。






「剣の先が……ペン?」



「ああ。わけわかんねえヤツはわけわかんねえ武器を使いやがる」



「でもすごいんですよー、魔力の出力すごくて。でっかい刃圏魔術ブレイドエフェクト放出できそうな」



「それで自爆してたけどな」


「それに腰抜かしてましたよね」


「それは言うな!」




 イヴァンとレトナの掛け合いを、



 ブレンは、聞いているようで、



 その実、上の空だった。





 聖剣筆ペンブレイドが、近くに……。



 こんなにも、早く辿り着くなんて。



 ブレンの胸に、小さな火が燻っていた。

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