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序章 第三惑星マレクス

初投稿です

 その星は、地球から何万光年も離れた場所にあった。

 第三惑星マレクス。

 その星に住む知的生命体は、自らの星をそう呼ぶ。

 マレクスは表面積にして遠くに生命が存在すると思われている地球の五倍になる。地表は六割が海であり、残りの四割が地表となる。衛星が一個あるが、そのサイズもマレクスと同様大きい。

 この大きさながら、地球と同じような自転、公転を繰り返している。1年は366日であり、一日は正確には23時間59分58秒だ。

 太陽─マレクスの知的生命体はそれをガルスと呼ぶ─は地球よりもほんの少し強く光りを届けている。そのため、赤道では最高気温60度を記録したこともあり、赤道付近にはあまり動物は住んでいない。熱さに対応できた植物が自生しているだけである。

 この星は35.4度地軸が太陽の方に傾いているため、北半球では7月に冬、12月に夏がやってくる。南半球はその逆だ。

 この星には全部で8つの大陸が存在していることがわかっているが、知的生命体が存在しているのは南半球の5つの大陸の方であり、北半球の方は未だ未開である。ただし、衛星技術が発達したため、どのような形かとか、どのような地形をしているのかということは分かってきた。

 南半球にある大陸の名前は北にあるグレイブ大陸、東にあるトルフレル大陸、西にあるウェデル大陸、南にあるフェロウ大陸、大洋の反対側にある最小の大陸であるジジーグ大陸の5つだ。

 さて、地理の授業はこれくらいにして、マレクスに住む知的生命体について説明しよう。

 マレクスには知的生命体がいる。だが、その種類は7種にも及ぶ。その生命体たちを一つひとつ見ていこう。

 まず初めに、最も多い種族を紹介する。名前をフリダートという。

 フリダートは地球の人間とほぼ同じ容姿だ。もっとも個体間の容姿の差がある種族でもあり、黒髪から金髪、赤髪、瞳の色は黒から碧まで多種多様だ。存在する知的生命体の中では最も繁殖力が高い。だが、その分寿命は短く、だいたい80年で一生を終える。しっかりと動けるのは50代後半までであろう。

 古来よりフリダートはその凡庸とも呼ばれる能力を生かして様々な大国を作り出してきた。後述するが、現代最大の強国であるグレイブ大陸のゲール合衆国の主民族もフリダートである。

 次に多いのが、耳長と呼ばれるエルシアである。

 この種族の最大の特徴は、なんといってもその寿命の長さであろう。200年生きるのはざらで、最大で456年生きたという記録もあるほどだ。しかも、壮年と呼ばれるまでに150年と長い年月がかかることから、長い間現役を続けられるのもエルシアの利点だろう。また、村八分にされたものは傭兵として名高く、現在も傭兵に憧れるものも多い。

 もともと排他的な種族であったが、最初に産業革命を起こした国で、その後の植民地保有戦争に勝利した国でもあるエルザリア連邦は主民族がエルシアだ。この国はフェロウ大陸に存在するな。

 その次に多いのが、低身長で力持ちのドラーギ。

 もともと山がちな所に多く住んでいたが、その鍛冶の腕を見込まれて多くが各種族の街へと繰り出した。今でも工業製品の重要な部品は彼らが手掛けていることが多い。

 ドラーギも傭兵として名前が通っているが、いかんせん酒癖が悪い個体が多く、金銭の代わりに酒を報酬として要求したという逸話もあるくらいである。もっとも、現在は味覚の多様化により、酒以外のものも多く食すようになった。一部の者はシェフとして活動している。

ドラーギが最も多いのは、世界一の技術力を持ち合わせているというトルフレル大陸のドラギア共和国である。

 これまで紹介した3種族を合わせて「正種族」と呼ぶ。正種族は現在の国の集合体である「マレクス連合」の正式名称であるが、後述する「亜種族」には差別的であるとして呼称の撤回を求められている。

 その亜種族だが、全部で4種族で構成している。

 まずは猫の耳としっぽを持つイリ―エル。この種族はもっとも身体能力が高いことで知られている。そ

 その耳は正種族や他の亜種族には聞こえない音を感知し、その足からは超人的な脚力を生み出す。ただし持久力は無く、スプリンターである。

 この種族はその容姿から愛玩用として多くの個体が奴隷にされたという暗い過去を持つ。現在ではその身体能力を生かし、スポーツ選手や消防士、軍人として活躍する個体が多い。熱さに強いため、多くの個体が赤道付近に生息している。

 次は白い肌、白い髪、赤い瞳のトールを紹介しよう。

 この種族の特徴は何と言ってもその容姿にあるだろう。研究者たちはフリダートの突然変異だと考えられているが、真相は分かっていない。その容姿から、古代では鬼として恐れられてきた。

 その外見通り非常に病弱であり、様々な感染症がグローバル化によって行き来する現在ではかなり個体数を減らしている。しかし、それでも絶滅しないのは多産であるからであろう。トールは一度に五人ほどを生む。これだけ聞けばフリダートよりも生殖能力が高そうに聞こえるが、一生に出産できるのは一度きりである。

 現在は南極に近い島国であるハラート連邦に多く住んでいる。

 どんどん行こうか。次は鱗が体の一部を覆っているラッドだ。

 彼らの特徴はやはり、手や首を覆っている赤い鱗であろう。この鱗は突然変異でもない限り赤に近い色をしている。

 この種族は積極的に外部との交流をやってきた種族でもある。社交的で、笑顔が絶えない種族でもあるな。現在でもその商魂で世界中を飛び回っていて、富豪も多くいる。石油地帯に多く住んでいるからというのもあるがな。

 この種族はゴート湾岸諸国に多く住んでいる。ジジーグ大陸の中央にある大きな湾だ。

 最後に、一番特異な種族を紹介しよう。褐色の肌に小さな角を持つデラザリエルだ。

 この種族は主に南極に近い砂漠地帯に住んでいる。ここら辺は非常に厳しい土地だが、この種族はそれを厳しい戒律を持つ宗教によって乗り越えてきた。今でもその宗教は多く信仰されているな。

 角があるせいで、昔からよく化け物と呼ばれてきたというこれまた暗い過去を持つが、本人たちは特に気にしていなかったようだ。現在はグローバル化でこの種族にも宗教改革の波が出てきたが、保守派と改革派がいがみ合い戦争まで起きている。憂慮すべきことだな。

 さて、次はマレクスの歴史だ。

 融資から既に2023年たっているが、最後の大戦である「第二次マレクス大戦」までは戦争が積み上げてきた歴史と言っても過言ではない。今回は詳しいことは省くが、各種族が覇権を取り合ったのは想像に難くないだろう。

 状況が大きく変わったのは第二次マレクス大戦後だ。この戦争から2年後にマレクス連合が設立され、やっと各種族が手を取り合うようになった。今では種族の融和も進んでいるな。

 だがしかし、大戦前とは違う問題が出てきたのも事実だ。

 1つに、共産主義と民主主義のいがみ合いがある。共産主義は大戦中に生まれた思想だが、民主主義は邪魔な考えとして共産主義を憎んでいる。逆に共産主義は平等ではない民主主義をバカにしている。これが今現在起きている紛争の火種になっている。

 もう1つは、穏健派と強硬派の対立だ。これは先の大戦を引き起こした。

 穏健派とは、各国が連携することで世界の平和をもたらすという考えのことで、逆に強硬派の考えは一国が支配することで世界を平和にするという考えだ。どちらにも利点、欠点があるが、どちらとも敵と認識しているな。

 以上のことから、現代の勢力図はこうなる。

 「穏健派民主主義国」「強硬派民主主義国」「穏健派共産主義国」「強硬派共産主義国」の4勢力だ。

 まずゲール合衆国、エルザリア連邦、ドラギア共和国は穏健派民主主義国、ハラート連邦は穏健派共産主義国、ゴート沿岸諸国は強硬派民主主義国が多い。

 ここまではいいかな?

 では、最後にある1つの国を紹介しよう。

 四つの大陸に囲まれている大洋。ここのちょうど中央に島国が存在する。

 ここには、多種多様な種族が共存しあい、一つの大国を形成している。

 名前は、ミザナギ国だ。

 この国には昔武士と呼ばれるもの達が闊歩し、一時期は鎖国し、200年前に開国された。そして100年前の大戦では強硬派として戦い、敗戦した。

 それからは穏健派民主主義国の仲間入りを果たし、めきめきと実力をつけていった。今では世界有数の工業大国だ。

 そして、この国には世界でも例を見ない制度が存在する。 

 そう、みんなも知っている通り、傭兵制度だ。国が傭兵業を支援して、そのかわり傭兵は国防に加わるというものだな。

 現在この国の人口は3億6000万とも言われているが、その三分の一、つまり1億2000万人がある軍事会社に勤めている。

 その軍事会社はただの傭兵とは違う。金融、製造業、農林水産業、サービス業、さらには行政サービス代行なんていうものもやっている企業だ。ものすごいだろう?

 この企業は今では世界有数の大企業になっている。誇らしいものだな。

 ではこの企業の名前は?

 …そう、有田産業。この国で最も誇らしい名前だ。

 世界にARITAの名前は浸透している。人々は様々な所でこの名前を目にするだろう。

 さて、君たち。アリタMIG(military industry group)の新兵諸君よ。

 自分の勤める星がどのようなものか、分かっていただけたかね?

 …よろしい、今日はここでおしまいだ。解散!

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