オンライン(注:よくある閉じ込められもの&短編&独白形式&未完結)
タイトル通りです。
よくある閉じ込められもの。
書いてみたくなったので思いついたところまでを短編として書いてみました。
タイトルから「苦手かも」と感じられた方は読まないことをお勧めします。
「 この状況はなんと言ったらいいんだろうね・・・ 」
今起きた出来事が信じられなくて私は唖然と呟いた。
目の前に広がる森と山脈。
遠くに見える街。
中世ヨーロッパちっくであり、普通ならこんな構造無理だと思える遺跡がそこかしこに建つ光景。
異世界と言ってしまえばいいのだろうけど、そうと言えないのは、これが見慣れた物であることと、先ほど流れたアナウンスにある。
うん。
まぁ、ね・・・
よくある話はよくある話らしく始めるのがいいかな。
私はどうやら、ゲームの世界に閉じ込められたらしい。
同時刻プレイしていた他のプレイヤー達と共に・・・
私がプレイしていたのはVRMMO(リアルによく似せたヴァーチャルを体感するオンラインゲームでストーリー性があるもののことだ)で、作品タイトルは―――知ってもなんの特にもならないし、いらないだろう。
性別はこの話し方で分かるよね?
分からないと言われたら泣くよ?
私の年や本名も機会があればでいいか。
『 クリスタリア 』
今使用しているキャラの名前なんだけど、当面はこれが私の仮名になる。
微妙な名前なのは言いっこなし。
被るからその名前は使用できませんってことはよくあるわけで、声を掛けるときにめんどくさいと思う人は勝手に略称で呼ぶから問題ないのだ。
さて、事の発端である先程流れたアナウンス。
いろいろすっ飛ばして回想すればこんな感じかな。
「 (前略)プレイヤーの諸君。 君達はログアウトが不可能になった!
(中略)リアルに戻りたかったら、僕がこっそりしかけたダンジョンボスを探して撃破してみたまえ!!
いやぁ、一回やってみたかったんだよねー、こういうの。(後略) 」
ふざけてるよね。「やってみたかった」って。
理解できないとは言わないけどさ、妄想で終わらせるべきことだよね、こんなの。
巻き込まれる方はたまったもんじゃない。
まぁ、わかっててやったんだろうけどさ。
「VRシステムがここまで進化するのをまった甲斐があったよ」とか言ってたし。
小説を実現してみたかったんだろう。
ま、文句を言い続けてもしょうがない。
誰かが裏ボス(このオンラインゲーム正規のボスじゃないみたいだから勝手に裏と命名)を撃破してくれるか、国か警察かが解決策を見出してくれるかを待とう。
VR技術がここまで進化した時代だもの、上もおかかえの技術職を育成しているはずだ。
とりあえず、いつも通りに狩りかクエでもして過ごしましょうかね。
幸いなことに、五感の鋭敏化が行われたわけでも、ゲームで死んだら死んでしまうようなものでもないらしい。
緊迫感がない?
そうかもしれない。
でも、それはこの世界へ私たちを閉じ込めた奴のせいだ。
ただ、「やってみたかった」っていうだけあって軽い気持ちで行われた犯罪なんじゃないかな。
ログアウト不可へ持っていくまでのプロセスや、外部からのアクセス禁止の設定。助けに来る人達への妨害トラップとか、用意した裏ボスへのこだわりでいっぱいいっぱいだったんだと思うよ。
となれば、現実味のないゲームの世界。いつもと違うのはログアウトできないこと。
だから緊張感が持てなかったとしてもしょうがない気がするんだ。
あ゛・・・そういや、ひとつだけ思い出したことが。
「刺激がないとつまらないだろうから、PKサーバーのプレイヤーもPKナシサーバーのプレイヤーも一緒に過ごせるよう変更しといたからね」って言ってたな。
となると、当然PK可になってるよね。
ふむ・・仕方ない。
PK不可エリアである街まで戻って、誰かにPvPの相手をしてもらうかね。
読んでいただきありがとうございました。