雪の町のマフラー
ある寒い時期のことです。
一人の少女がおつかいのため
自分の村から少し離れた
町へ行くことになりました。
少女の家は裕福ではなく、
貧しいものでした。
家には、お母さんと弟がいます。
お父さんはいつも遠くにお仕事にいっていて一年で2回くらいしか、家にかえってきません。
そのお父さんが一週間後に
帰ってくることになりました。
少女はとても喜び
町へ出掛けて
お父さんにクリスマスプレゼントを
買いに行きました。
少女はとても悩みました。
マフラーにしようか、
手袋にしようか......
悩みに悩んだ少女は
自分で編むことにしました。
少女はマフラーを
お父さんにプレゼントするために
毎日、一生懸命
編んでいました。
そして、お父さんが帰ってくる
前日に
とうとう
完成することができました。
少女はお父さんの帰りが
待ち遠しくてたまりません。
そして、翌日
とうとうお父さんが帰ってくる日です。
少女、お母さん、弟は
お父さんを迎えるために
パーティー準備をしました。
そして、三人でお父さんを
待ち続けました。
何日も、何日も......
その知らせを聞いたのは、
その三日後でした。
お父さんは、
帰ってくる途中
事故で亡くなってしまったのです。
三人はとても悲しみました。
少女は、
お父さんに自分で編んだ
マフラーを渡せずに
そして、
お父さんが死んでしまい
悲しみにあけくれていました。
すると、その夜
夢の中で
お父さんが
「マフラーを編んでくれたんだね。
お父さんはとっても嬉しいよ。
大事にするね。」
と言って
夢が覚めました。
目を開けると、
テーブルの上にあった
マフラーがありませんでした。
かわりに、
お父さんがいつも身につけていた
指輪が置いてありました。
その指輪には、
少女のイニシャルがほってありました。
少女は、声を殺して
泣き続けました。
そして、
その指輪をはめると
指輪にキスをし
「ありがとう」
と呟いた。
ある、雪の降る町で
少女は一人、泣いている。
虚空に目を向けて......
「ありがとう」
と、呟きながら......