有能なはずの私ですが、無能のせいで無能です
「エルリ・シュバイド!!お前とは今日で婚約解消だ!!」
そう叫んだのは、貴族侯爵のバイド・シグナス。
エルリと呼ばれた女性は、は?といった表情でそれを見つめている。
「あ、あのバイド様。婚約解消といっても、これはお国の定めたことなのですよ?」
「黙れ!!貴様、街で窃盗を行っただろう!!」
怒るバイド。エルリには怒られている理由がわからない。だってしてないから。
馬鹿なんじゃないか?
「窃盗など行っておりません。誰の証言で?」
「あの麗しきローリィ姫だ!!儚くも可憐、文武両道の美女だ!!ローリィ姫がお前を窃盗犯だと告発している!!」
馬鹿じゃねぇの?そう言いかけた。
「た、確かにローリィ姫は美人ですわね。でも、それは私への嫉妬……」
「黙れ!!ローリィ姫を侮辱したな!!今すぐ出ていけ!!侯爵の権限だ!!」
傲慢。不遜。
「……わかりました。では、永遠にさようなら。バイド様」
そう言って、エルリはバイドに背を向けた。馬鹿じゃねぇの。そんなことだから女に騙されるんだよ。そもそもお前そんなにイケメンじゃないだろ。侯爵家の力借りてるだけだろ。これでイケメンと付き合えるワーイ。
その後。エルリの住むエスニア国で事件が報道された。事件の詳細は、国の姫ローリィが、虚偽の告発を連打し、気に入らない人物を始末していたというものだった。当然捕まった。逮捕者の中には、ローリィを取り囲む取り巻き達の姿があった。その中には、バイドの顔もあった。
「紅茶が美味い」
エルリは笑顔で紅茶を啜った。
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