五歳児、夫の秘密を本人の声で全部しゃべる――「契約に涙の項目はない」誰にも話していない初夜の言葉でした
『泣くのか。契約に、涙の項目はないぞ』
五歳の妹フィーが、夫の声でそう言った。
ラング子爵家の庭で、子供たちは人形を使った「おうちごっこ」をしていた。
フィーは小さな食卓の前に、白い花嫁人形を座らせている。
夫役を任された少年が向かいの椅子へ腰を下ろそうとすると、フィーは首を横へ振った。
「だんなさまは、そこにはすわらないの」
「どうして?」
「ごはんは、べつだから」
フィーは空いていた椅子を食卓から遠ざけた。
次に口から出たのは、五歳の少女には似つかわしくない低い声だった。
『食事は別にする。給仕にもそう伝えておけ』
夫、ヴェインの声だった。
高さだけではない。
言葉と言葉のあいだに置かれる、返事など最初から求めていない間。
最後の音を、わずかに落とす癖。
二年前、婚礼の夜に聞いたものと、まったく同じだった。
「じゃあ、おくさまは、ひとりでごはんをたべるの?」
「うん」
「さみしくないの?」
フィーは花嫁人形の顔を両手で覆った。
「それで、おくさまがなくの」
少年が困ったように尋ねる。
「泣いたら、だんなさまはどうするの?」
小さな肩が、わずかに上がった。
鼻から短く息を抜く。
あの夜のヴェインと同じように。
『泣くのか。契約に、涙の項目はないぞ』
カップが受け皿に触れた。
硬い音が、静まり返った庭に響く。
フィーが持っているのは、婚礼の日、夫婦の寝室に飾られていた人形だった。
花婿と花嫁、二体一組で贈られたものだ。
けれど婚礼の翌朝には、花婿人形だけが消えていた。
残された花嫁人形は、誰も使わない寝室に二年間取り残されていた。
昨日、フィーが見つけたらしい。
王妃の外遊へ随行する両親から、半年だけ預かっている妹には、物に残った言葉を拾う力があった。
強い感情とともに発せられた言葉は、その場にあった物へ染みつく。
フィーが触れると、声色や息づかいまで、そのまま口からこぼれることがある。
いつ出てくるかは、本人にも分からない。
遊びに夢中になると、勝手にこぼれる。
じっと触れて耳を澄ませば、聞きにいくこともできるらしい。
誰の言葉なのかも、その意味も、ほとんど理解していなかった。
三歳の冬、フィーは亡くなった祖母の裁縫箱に触れ、祖母の声で言った。
『コーデリアは、泣くのを我慢すると、右の袖を握るのよ』
祖母が亡くなったのは、フィーが生まれる四年前だ。
これまで、それを目の前で聞いたのは、わたしだけだった。
両親は、耳と物覚えのよい子だと思っている。
フィーが物に残った言葉を拾っていると知っているのは、わたしだけだった。
「フィー」
子供たちの輪へ歩み寄る。
「その人形を渡して」
「どうして?」
「その子は、わたくしの人形だからよ」
少し迷ったあと、フィーは人形を差し出した。
受け取ったとき、テラスで椅子が引かれた。
ヴェインが立ち上がっていた。
夫は笑みさえ浮かべ、ゆっくりとこちらへ歩いてくる。
庭じゅうの視線を、よく知った歩き方だった。
ただ、右手だけは、手袋越しにも指の節が浮くほど強く握られている。
その足が、子供たちの手前で止まった。
輪のそばにいた男が、ヴェインと子供たちのあいだへ入ったからだ。
ガーランド辺境伯アルノー。
ラング子爵夫人の兄で、先ほどまで木陰の卓でヴェインから事業の話を聞かされていた男だ。
フィーの遊びが始まったあたりから、卓を離れて、子供たちを眺めていた。
「伯爵」
アルノーは声を荒らげなかった。
「何のつもりだ」
「子供たちが遊んでいます」
「見れば分かる。そこをどけ」
「奥方の妹君にご用なら、まず奥方を通すべきでしょう」
ヴェインの視線が、アルノーの肩越しにフィーへ向けられる。
「妻の物を返してもらうだけだ」
「もう奥方が受け取っています」
アルノーは動かなかった。
夫も、それ以上は進まなかった。
「くだらない遊びだ」
ヴェインはこちらを見た。
「子供の声真似に、大人が騒ぐことではない」
ラング子爵夫人が、扇を閉じた。
「では、今の言葉は、どなたかのお芝居をまねたものですの?」
ヴェインは答えなかった。
夫人の目が、こちらへ移る。
「コーデリア様は、ご存じ?」
これまでなら、夫を庇った。
政略結婚ですから。
仕事がお忙しい方ですから。
言葉は冷たくても、悪意はありませんから。
二年間、何度も口にした言い訳だった。
「ええ」
花嫁人形を抱き直す。
「婚礼の夜、夫からわたくしへ向けられた言葉です」
ヴェインの目が細くなった。
誰かが息を呑む。
「コーデリア」
「事実を申し上げただけです」
「帰るぞ」
「フィーと先に帰ります」
「同じ馬車で帰ればよい」
「お断りします」
夫の顔から表情が消えた。
ヴェインの言葉を拒んだのは、結婚してから初めてだった。
アルノーがこちらを見る。
「別の馬車をお使いになりますか」
「お願いいたします」
「すぐに用意させます」
フィーは何が起きているのか分からないまま、ドレスを握っていた。
その小さな手を取り、庭を出る。
背中に夫の視線を感じた。
振り返らなかった。
◇
馬車の中で、フィーは花嫁人形の白い顔を、親指で何度も撫でていた。
「おねえさま」
「なあに?」
「フィー、わるいことした?」
「だれのことばか、しらなかったでしょう?」
「うん」
「いったらこまることだとも、しらなかったわね」
「うん」
「なら、フィーが悪いのではないわ」
「でも、だんなさま、こわいおかおだった」
「あの方は、知られたくないことを知られたのよ」
「おねえさまも、こわいおかお?」
「今は、考えているの」
「なにを?」
「これからのことを」
フィーは、しばらくこちらを見ていた。
「おねえさま、わらうまえに、ちょっととまるね」
「……止まる?」
「うん。いま、わらうところかなあって、おかおしてから、わらうの」
妹は、自分の頬を両手で持ち上げた。
鏡の前で作ってきた、わたしの笑顔だった。
「おじぎのまえも、とまるよ」
五歳の妹に、伯爵夫人の務めなど分かるはずもない。
夫の不在を尋ねられたとき、どの言葉なら夫婦仲を疑われないか。
一人で食事をしている姿を見られたとき、どう笑えば憐れまれないか。
それでもフィーには、ずっと演じているように見えていた。
「あのおうちのおねえさまは、ごっこみたい」
返事はできなかった。
◇
屋敷へ戻ると、ヴェインはまだ帰っていなかった。
フィーを乳母と一緒に客間へ戻し、花嫁人形を自分の居間へ置いた。
机の引き出しには、二年間集めてきた記録がある。
夫婦の寝室の寝具が、一度も使われていないことを示す洗濯係の帳面の写し。
食事を別々に取ってきた厨房の記録。
夫が東棟、わたしが西棟で暮らしている部屋割り。
すべて、一つの日のために集めてきた。
三年間、一度も夫婦の床を共にしなければ、婚姻を無効にできる。
最初から夫婦として暮らす意思がなかったと証明できれば、三年を待つ必要はない。
けれど、人の胸の内など証明できない。
だから、誰にも覆せない三年という日数を待っていた。
あと一年。
それまで騒がず、記録だけを積むつもりだった。
選ばれなかった妻だと知られるのが、怖かった。
扉が開いた。
ノックはなかった。
「フィーを明日中に出せ」
ヴェインは挨拶もなく命じた。
「どこへです」
「教会でも、遠縁の家でも構わない」
「両親から預かった妹です」
「この屋敷へ置くことは認めない」
夫の視線が、机の上の花嫁人形へ向かう。
「それも処分しろ」
「人形が不愉快なのですか。それとも、人形に残っていた言葉が?」
「何が言いたい」
「ほかにも、知られたくない言葉があるのではありませんか」
「くだらない」
「では、フィーを追い出す必要はありませんね」
「あの子供は普通ではない」
庭で見せた笑みは、もうなかった。
「気味の悪い子供だ。どこで何を聞いてくるか分かったものではない。屋敷を勝手に歩かせるな。東棟へは絶対に入れるな」
東棟。
ヴェインの書斎と、家令の執務室がある場所。
結婚して間もないころ、一度だけ入ろうとして、扉の前で夫に止められた。
――ここへは入るな。君のものは、この棟には何もない。
嫌われているからだと思っていた。
けれど、あそこにあるのは、見られては困るものではないのか。
「フィーは出しません」
「コーデリア」
「両親が戻るまで、ここで預かります」
「妻である君には、夫の命令に従う義務がある」
「婚姻契約に、妹を教会へ捨てる義務はありません」
「子供の言葉に影響されたのか」
「いいえ」
机の引き出しを閉じる。
「あなたが、フィーを恐れる理由を考えただけです」
「余計なことをするな」
「何が余計なのでしょう」
「あと一年、黙っていろ」
ヴェインは、はっきりと言った。
「三年を過ぎれば、好きにすればいい。それまではアルダース伯爵夫人として振る舞え」
「わたしが待っていると、ご存じだったのですね」
夫は答えない。
「それでも、放っておいた」
「三年までは婚姻が続く」
その答えで十分だった。
この人にとって、結婚は期限つきの何かだった。
「もう待ちません」
「何をするつもりだ」
「あなたの言う三年に、何が隠れているのか、調べます」
「できるものなら、やってみろ」
ヴェインは冷たく言い放ち、居間を出た。
しばらくして、廊下で小さな足音がした。
「おねえさま」
扉の陰から、フィーが顔を出した。
手には、古びた金色の鍵がある。
「それ、どうしたの?」
「おじいさんが、おとしたの」
家令が持っていた、東棟の書斎の鍵だった。
フィーが両手で握る。
幼い顔から表情が消え、夫の声が落ちた。
『明朝から王都へ出る。五日で戻る。留守のあいだに、書斎の古い書類を始末しておけ』
続けて、もう一つ。
『中は読むな。すべて燃やせ』
フィーは鍵をじっと見つめた。
「かみをもやしたら、かじになるよ」
「ええ」
妹の手から鍵を受け取った。
「燃やさせないわ」
鍵がなければ、書斎は開かない。
開かなければ、燃やせない。
フィーが、少し得意そうに胸を張った。
「フィーが、ひろったのよ」
「ええ。とても大事なものを、拾ってくれたわ」
◇
ヴェインが王都から戻る朝、実家の弁護士と教会裁判所の調査官が屋敷を訪れた。
戻りの朝は、フィーが拾った言葉のとおりだった。
少し遅れて、アルノーも姿を見せた。
「茶会についての証言書をお持ちしました」
革張りの書類入れから、一枚の契約書を取り出す。
「昨年、アルダース伯爵から共同出資を持ちかけられています」
ヴェインの署名の下に、こうあった。
――グレンヴィル侯爵家との婚姻関係により、返済能力に問題はない。
「奥方の署名がなかったため、私は出資を断りました」
「提出していただけますか」
「そのために来ました」
ほどなくヴェインの馬車が門を入り、旅装の夫が玄関へ現れた。
並んだ客を見て、足を止める。
「何の真似だ」
「持参財産と、実家の信用がどう使われているか確認していただきます」
「妻にその権限はない」
弁護士が婚姻契約を開いた。
「第三条に明記されております」
「日を改めろ」
「証拠が失われるおそれがあるため、急ぎました」
ヴェインが家令を睨んだ。
家令は、頭を下げたまま動かない。
書類のことも、鍵のことも、夫は口にできなかった。
調査官の前でそれを口にすれば、燃やすつもりだったと認めることになる。
焦った夫はただ叫ぶ他なかった。
「全員、出ていけ!」
誰も動かなかった。
◇
東棟へ入るのは、結婚してから初めてだった。
西棟より暖かく、窓も大きい。
フィーの手を引き、書斎の前へ立つ。
「おねえさまのおへやより、あかるいね」
「そうね」
妹は扉の取っ手へ触れ、眉を寄せた。
「ここ、ことばがいっぱいある」
五歳の顔から、子供の色が抜ける。
『妻を東棟へ入れるな』
続けて、夫の声が落ちた。
『三年だけ持てばいい』
ヴェインの顔から、少しずつ色が引いていく。
「その子供を外へ出せ」
「妨げれば、証拠を隠したものと見なします」
調査官が、抑揚なく言った。
ヴェインは、動けなかった。
「フィー」
小さな手を握り直す。
「聞こえるものを教えて」
「うん」
書斎へ入ると、フィーは書棚の端へ指を滑らせた。
『泣かせておけ。あれは、外では笑う女だ』
膝の力が、抜けそうになった。
泣いていたことも、笑ってみせていたことも、この人は知っていて、使っていたのだ。
フィーは次に、書き物机の一番下の引き出しへ触れる。
調査官が引き出しを開けた。
中には、婚礼前の日付が入った家令への指示書があった。
妻の居室は西棟に限ること。
食事は公式行事を除き、別にすること。
夫婦の寝室は外聞のため整えるが、日常では使用しないこと。
その下から、銀行へ送られた私信の控えが出てきた。
――グレンヴィル家の娘は体面を重んじる。
――夫婦関係の内情を外へ漏らすことはない。
――三年間は婚姻を維持できるものと見込む。
婚礼衣装を選んでいた頃には、すべて決められていた。
夫婦として暮らす気など、最初からなかったのだ。
フィーが、引き出しの奥へ手を伸ばした。
「なにかある」
取り出したのは、白い花婿人形だった。
二年前に消えた、花嫁人形の片割れ。
夫は捨てたのではない。
書類と一緒に、見えない場所へ押し込んでいた。
フィーが人形を握る。
『妻など、どうでもいい』
静かな書斎へ、ヴェインの声が響く。
「やめろ」
『あの女の名前だけ借りられればいい』
ヴェインがフィーへ踏み出す。
アルノーが、その前へ立った。
何も言わず、ただ通さなかった。
フィーは花婿人形を眺め、こちらを見上げる。
「このこ、はなよめさんのこと、きらいなの?」
「フィー」
答えたのは、ヴェインだった。
「子供には分からない話だ」
妹は不思議そうに首をかしげる。
「だんなさまにも、わからなかったの?」
ヴェインは言葉を失った。
その場にいる誰も、代わりに答えようとはしなかった。
◇
婚礼前の指示書。
銀行への私信の控え。
アルノーが提出した共同出資の契約書。
三つの書類があれば、十分だった。
帰国した父は、すべてに目を通したあと、一つだけ尋ねた。
「どうしたい」
「終わらせたいです」
「分かった」
婚姻は、成立時に遡って無効となった。
◇
屋敷を出る日、荷物は少なかった。
衣装箱が二つ。
母から贈られた鏡。
白い花嫁人形と花婿人形は、フィーが抱えている。
玄関には、ヴェインが待っていた。
「コーデリア」
立ち止まる。
「婚姻だけは残せないか」
返事をせず、続きを待った。
「夫婦として暮らせとは言わない。これまでどおりでいい」
これまでどおり。
一人で食べ。
一人で眠り。
必要なときだけ、妻として隣へ立つ。
「半年でいい。銀行との契約を立て直すまで、グレンヴィル家との縁が要る」
「わたしではなく、家名が要るのですね」
「そういう意味ではない」
「では、わたしに残ってほしいとおっしゃってください」
ヴェインの口が止まった。
「妻として、わたし自身が必要だと」
「今から変わる」
「何を?」
「食事を共にする。西棟にも行く。必要なら――」
「必要なら」
思わず笑った。
鏡の前で作ってきた笑顔ではなかった。
「わたしと食事をすることも、あなたには条件なのですね」
「コーデリア」
フィーが、花婿人形を差し出した。
「だんなさま、これ、わすれてるよ」
ヴェインは受け取らない。
フィーの指が、人形の白い服へ触れた。
夫の声が、もう一度だけ落ちる。
『あの女は、最後まで黙る』
フィーがこちらを見た。
「おねえさま、だまってるの?」
「いいえ」
花婿人形を受け取り、玄関の卓へ置いた。
「もう、黙りません」
ヴェインが一歩近づく。
「コーデリア、待て」
「契約に、あなたの家を救う項目はありませんわ」
夫の顔が歪んだ。
「私は、君を不幸にするつもりはなかった」
「そのためには、わたしを見なくてよかったのでしょう」
返事はなかった。
「さようなら、ヴェイン様」
扉を開ける。
門の外には、グレンヴィル家の馬車のほかに、三台の馬車が並んでいた。
銀行と、二つの商会の紋章。
こちらを迎えに来たのではない。
この家から、金を取り戻しに来たのだ。
「おねえさま、はやく!」
フィーが先に馬車へ駆けていく。
二年前、この家へ入ったとき、背後で閉まる扉の音が恐ろしかった。
今は、開いた扉の向こうに空が見えた。
◇
実家へ戻ってから、フィーは毎朝、白い花嫁人形を食卓へ連れてきた。
父の新聞の上へ座らせて叱られ。
母の花瓶へ入れようとして止められ。
パン籠へ寝かせて、乳母に呆れられた。
「その子は、今度は何の役なの?」
尋ねると、フィーは人形を持ち上げた。
「まだ、きめてない」
「決めなくてもいいの?」
「うん。おねえさまも、きめてないでしょう?」
「そうね」
ある午後、アルノーが父を訪ねてきた。
帰り際、応接室で少しだけ話をした。
「これからは、どうされるのです」
「まだ決めていません」
「そうですか」
それ以上、尋ねてこない。
「呆れませんの?」
「なぜです」
「いまさら、何をしたいかも決めていない女を」
「決める時間を、奪われていたのでしょう」
慰めでも、哀れみでもなかった。
ただ、こちらの答えが出るまで、余計な答えを置かずにいてくれた。
「では、決まるまで待つのですか」
「待ってよいかどうかも、私が勝手に決めることではありません」
アルノーは少しだけ笑った。
「あなたが、また話してもよいと思ったときに伺います」
扉の陰から、フィーが顔を出した。
白い花嫁人形を抱いている。
「おねえさま」
「なあに?」
「いま、わらってる?」
自分の頬へ触れた。
いつ笑ったのか、気づかなかった。
右の袖も、握っていなかった。
「ええ」
「ごっこじゃない?」
アルノーは何も言わず、答えを待っている。
「ごっこではないわ」
フィーは満足そうにうなずき、人形を窓辺へ座らせた。
「このこは、つぎ、なにになるの?」
白い布で作られた人形には、目も口も描かれていない。
婚礼の日から、泣く花嫁の役を与えられてきた。
「まだ、決めなくていいのよ」
「おねえさまも?」
「ええ。わたしも」
窓辺の人形へ、午後の光が差した。
次に何になるかは、これから自分で決める。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
五歳のフィーが拾った言葉と、コーデリアの選択を楽しんでいただけましたら、評価やブックマークで応援していただけるとうれしいです。
もう一作、子供たちの「白い結婚」を描いた短編も公開しています。
『七歳の花嫁は、八歳の夫との「白い結婚ごっこ」で父を拒む――「帰るところはない」と言われたので、自分たちで作りました』
こちらは、七歳のリリアと八歳のシオンが、最初は友達として遊びながら、自分たちなりの夫婦の決まりと帰る場所を作っていくお話です。
今回のお話が五歳の妹フィーと、隠された言葉によるざまぁなら、リリアのお話は子供二人が作った約束によって、大人の勝手な都合を拒む物語です。
同じ白い結婚でも、違う読み味になっています。
よろしければ読んで見てください




