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第6話 なんでそんな面倒な


 夕飯の時間となったので、作業を一時中断し、食事を摂りに降りた。


 この世界の食事は、美味しいのだが、やはり前世と比べると格段に劣る。十分に食べられてるだけでこの世界ではかなり贅沢なのだが、食事を愛し食事に愛される日本人の血が通っている以上、やはり食事には拘りたくなってしまう。


 そんな事を考えながら静かに夕飯を食べていると、父上が話しかけてきた。


「リオン、魔法の調子はどうだ。二週間後に披露パーティーが開催されるから、それまでに家に恥を塗らない程度に魔法の腕を鍛えておけ」


 披露パーティー?なんだそれ。何を披露するんだ?いや、父上のセリフからして魔法を披露するんだろうけど、突然すぎて混乱してしまった。


「宮廷魔術師の彼にも、話は通してある。明日からは彼と相談して魔法の知見を深め、精進するように」


「了解しました。一層、魔法に力を入れて取り組んでまいります」


「うむ。お前は礼儀がしっかりしているから、教育の手間が省けて助かっている。パーティーでも、礼を失する事がないように」


 今、父上に褒められたのか?褒められたよなこれ。やべえ、めっちゃ嬉しい。

 兄様や姉様も、父上の台詞を聞いて、驚いて騒ついている。そりゃあそうだ。父上は無愛想で、俺含め子供を滅多に褒める事がない。そんな人が俺のことを褒めたのだから、驚かないわけがないだろう。



 夕飯を食べ終わって席を立った後、長男のアレン兄様が話しかけてきた。

 彼は俺の2つ上の兄で、次代伯爵家の跡取りと目されている人だ。


「リオン、お前凄いんだな。父上から褒めてもらえるなんて、羨ましいぞ。俺も父上に褒めてもらえるようになりたいな」


 何事かと思ったら、さっき父上に褒めてもらったのを見て、話しかけてきたのか。


「兄様も、何か得意なことを見つけてそれを極めれば、父上に褒めてもらえるんじゃないですか?頑張って下さい。応援してますよ」


 すかさずフォローして応援すると、兄様は鼻を擦りながらこう言った。


「そ、そうか?ありがとな。なんかやる気が出てきたわ。頑張ってみよっかな」


 そう言うと、兄様は何を思い立ったのか自分の部屋へ向かって行った。


「さてと。俺も頑張らないとな」


 背伸びして体をほぐしながらまた部屋へ戻り、検証の続きを再開した。




 『静雷』の検証をしている途中だが、分かったことがある。魔力が足りないのだ。


 何を仰々しく言ってるんだと言われそうだが、魔力が足りなくて実験ができない。


 魔力の量を増やす方法は、何処かにあるとは思うのだが、俺は知らないので、何もできない。

 今日の授業でも何度か魔法を使ったのでかなりカツカツだ。


 実験のために3、4回魔法を使うと、もう魔法を使うための魔力がなくなってしまった。



 今日はもう魔力が無いので、もう寝ようか。


 ベッドに転がって、俺は静かに眠りに着いた。




 ◆◇◆◇◆◇


 翌朝、目が覚めた俺は魔力を確認すると、昨日より少し増えている気がした。


「気のせいか?魔力が増えてる?なんでだろう。昨日ギリギリまで使ったからか?」


 体感、昨日の魔力の1.01倍と言ったところか。この程度なら今はまだ使える魔法の数に変化は無いだろうが、毎日繰り返して継続すれば、いづれ膨大な魔力量になるんじゃないか?


 早速、魔法をたくさん使って魔力の増幅を促そうかと思ったが、よくよく考えると家庭教師の授業で魔法を使うから、今使い切ってしまったら困るな。


 朝食を食べた後、準備をして、家庭教師の時間になった。


「リオン様、席について下さい。始めますよ」


 ドールがその声を発して、今日の授業が始まった。最初の教養は、特に何もなく平和に終了し、魔法の時間になった。


「旦那様から2週間後の披露パーティーについては伺っております。あまり練習できていませんが、今日からは一級魔法の改造、そしてそれの練習を行いましょうか」


 魔法の改造?一体何をするんだ?そもそも魔法なんて改造出来るものだったのか。


「魔法の改造ってどうやるの?」


「魔法には、それぞれに魔法陣がありますよね?魔法陣はいくつかの要素を纏めて成立しています。それぞれの要素には別々の意味があり、昨日説明しました発動紋なども、それの一部です。それらの要素を他の魔法から輸入したり省いたりすることで、改造することができるのです」


 まじか。それなら、『静雷』にも応用すれば、気になってた問題も幾つか解決できる兆しが見えてきた。


 先ず、今は先の事よりも目の前のことに集中しないと。

 ドールは、『着火』と、『放水』の魔法陣を取り出してこう言った。


「私がリオン様におすすめしようと思っているのは、火属性魔法、『着火』の改造です。ここにある『放水』を活用して、魔力を注げば注ぐほど勢いを増す魔法を作ってみましょうか」


 実は、『放水』の魔力の量で出てくる水の量が変わるという仕組みを『静雷』に取り入れようと思っていたので、今からする『着火』の改造は、俺にとってとても都合がいい。




「『放水』の魔法陣のこの部分。ここが、魔力の量に応じて魔法の出力を上げています。対して、『着火』のここは、必要な魔力を固定化することで、出力を安定させています」


 ドールが二つの魔法陣を指しながら解説をする。


「一級魔法の魔法陣は、利便性と効率を極めた結果、この形に落ち着いているので、改造をすると必ず二級魔法以上になってしまいます。ですので、適性の無い魔法は使うことが難しくなります」


 なるほど。しかしそれだと、『静雷』の改造が出来ないな。一応、何度も使えば適性が無くても魔力の質は良くなるらしいから、しばらくは我慢だな。


「そろそろ本題に入りましょうか。やることは至って単純です。魔法陣の要素を入れ替えるだけで済むので、お手軽ですよ。細かいことは説明するのも面倒なので、実践しながら確認しましょうか」


 ついに、魔法陣の改造だ。しっかりやり方を覚えないとな。


 


 


 

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