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第5話 なんだってんだよ


ドールは俺の書いた紙を取って、解説を始めた。


 「リオン様がここに挙げている物を組み合わせると、魔法が具現化魔法として働きます。どれか一つでも欠けていたり、現象魔法に使われている要素と組み合わせると全く別の魔法となります」


 なんでや!てっきり、一つの要素が魔法を分類させてるのかと思っていたのに、複数の要素をまとめてとか、ずっと考えていたのが無駄骨になってしまった。


「申し訳ありません。落ち込んでいるようですが、何かがっかりさせるようなことを言いましたか?」


「いやいやいやいや!そんなこと言ってないから!大丈夫、安心して」


 少しがっかりしているだけで、ドールが切羽詰まった表情をしていた。


 急いでフォローしたけど、恐怖を感じた。ドールってメンヘラの気質があるのか?


 ドールはかなり顔がいいから、なんか新しい扉を開きそうになる。


「具現化魔法と現象魔法の違いが分かったところで、土魔法の『石生』を使ってみましょうか。これは、リオン様の握り拳くらいの石を生成する魔法です」


 石を作り出す魔法か。まあ、土属性の第一級魔法だし、そんなものなのだろう。


 さっきと同じ要領で魔力で魔法陣を描き、発動紋へと魔力を流した。

 すると、さっき『着火』で火が出たのと同じあたりの場所に、石が一つだけ現れて、一瞬その場に止まったかと思ったらすぐに床に落ちた。


「問題なく発動できましたね。今までの魔法は、属性に適性があったので苦もなく発動できましたが、次からは難しいと思うので気合いを入れて参りましょう」


 そうか、忘れてたけど、今までの魔法には適性があったんだった。適性が無い魔法って、発動しようとしたらどうなるんだろ。魔力を多く使うのかな?


「適性が無い魔法を使おうとしたら、どうなるの?魔力を多く使ったりするの?さっきまでのとはやっぱり違うのかな」


ドールに質問したら、やっぱり優しく教えてくれた。

 

「適性の無い魔法を使うには、リオン様が予想した通り、魔力を通常より多く消費します。」



 やっぱりそうだったのか。

 

「そもそも、属性への適正というのは、魔力をその属性に変換する際の効率が良いかを、表しています。適性が有る属性の魔法を使おうとすると、適性の無い場合よりも少量の魔力消費ですみ、質の高い魔力となります。逆に適正の無い魔法を使おうとすると、適正が有る場合よりも多く魔力を消費してしまい、さらに魔力の質は低いものとなります。等級の高い魔法はその数字によって要求される魔力の質が変わり、一般的に適正の無い属性の魔力は第一級までしか使えないとされています。」


魔力の質とな?興味深い言葉が出てきた。

 

「この魔力の質は、何度も繰り返し魔法を使用すると高くなるということが確認されていますが、適性がないとやはりその効率も悪く、適性の有る属性の質を高める方が良いと、適性が無い属性は諦めてそちらばかり使うようになる魔法使いも少なくありません」


 なんと、適性の無い魔法でも鍛えれば使えるようになるらしい。魔力を多く使うとのことだけど、魔力を増やせるのならば、気にする必要ないんじゃ無いか?


 とりあえず、今目の前にあることを片付けないと。


 次は水属性の第一級魔法『放水』だ。ドールによると、この魔法はこれまでのとは一味違い、魔力を流せば流すほど水が出てくるらしい。


 とりあえずさっきまでと同じように魔力で魔法陣を描いた。下手に魔力を多く注いで事故が起きたら大変なので、さっきまでと同じくらいの魔力量に絞って、最低限の魔力で発動してみた。


 発動紋に魔力を流すと、魔力の流れに抵抗を感じた。これは、多分属性に適性が無いため魔力の変換する為の効率が悪く、抵抗が発生したのだろう。

 無理矢理魔力を流し込むと、魔法陣の上の方に俺の握り拳よりも小さい、直径3、4センチ位で水が球体で現れた。


「成功ですね。込められた魔力は、先ほどの『石生』と同じくらい注いだのでしょうか。適性の有る無しによって違う魔力の変換効率には個人差があるのですが、リオン様の変換効率は適性が無い場合の中でも良い方のようですね」


 変換効率に個人差とかあるんだな。いや、無い方がおかしいだろうけど、俺は適性が無い中でも優れている?らしい。


 「次は風属性の『風鳴』を使ってみましょうか。今度の風は眼に見えるようなものではないので、魔法が発動するタイミングに合わせて紙を魔法に向けて放ります。紙はすでに準備してあるので、いつでもかまいません」


 とのことなので、俺は早速魔力で魔法陣を描き、魔法を発動した。

 どうやってタイミングを測ったのか俺には分からなかったが、ドールは俺が魔法を使うタイミング丁度に紙を放り投げた。


 ドールが投げた紙は、最初の1、2秒は放物線を描いて飛んでいたが、ある地点についた瞬間、それまでの動きからは全く予測できない方向に飛ばされていった。

この部屋は、俺が魔法を使うまで無風だった筈だ。それなのに飛ばされたということは、魔法がちゃんと発動したという事だろう。

 

「今のは、『風鳴』が起こしたの?」


「はい。うまく発動出来たようで、よかったです。残りは雷属性の『静雷』だけです。さっさと終わらせて、今日はもう上がりましょうか」


『静雷』か。どんな魔法なんだろう。名前を聞いただけでは見当も付かないし、ましてや魔法陣を解析するだけの知識も無いので、イメージができない。

 変な事をして事故を起こしても仕方がないので、大人しくドールの指示に従おう。


「『静雷』は、小さい雷のようなものです。この属性は人や動物の体に当てると体が思うように動かなくなったり、出力が高いと火傷のようなものをします。古代文明の魔道具は、多くがこの魔法を動力源としており、謎が多く、専門の学者たちですらまだその本質はよくわかっていない魔法です。どうか、取り扱いには気をつけて下さいね」


 話を聞いた感じ、これはおそらく電気を起こす魔法なんじゃ無いかと俺は訝しんだ。

 だとしたら、ドールが話に出した古代文明の魔道具はかなり前世よりの文明をしていたのかと予想できる。それならば、色々と検証したくなってきた。



 ちゃっちゃっと魔法を確認して授業を終わらせて、俺は自分の部屋に篭った。


 

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