第27話 試験結果
無事、俺は試験を完了した。筆記試験は余裕でできたし、魔法実技も最高のコンディションで挑んだ。
これ以上の出来はないだろう。すでに試験は終わって俺にすることは残っていない。人事を尽くして天命を待つというものだ。
そういえば、ミューはどうだったのだろう。彼女も試験を受けているはずだし、成績を残しているはずだ。
筆記試験の時は見かけたが、話しかける時間はあまりなかった。
魔法実技では番号が離れていたようで見れなかったし、どんな調子で過ごしたのか気になるな。
試験が終わって一週間経ち、結果が発表される時が来た。
発表の仕方は前世のアニメなどででよく見た掲示板に番号を貼り出す物で、俺は貼り出される掲示板の前に来た。
しばらく待って時間になると学園の教師がやって来て、紙を貼り付けた。
その途端、周囲に群がっていた人混みが一気に押し寄せてきた。それは前世で俺が死んだ時の様子を想起させ、恐怖で身動きが取れなくなった。
膝はガクガクして、呼吸も粗くなった。
少しして、ある程度の人が合否を確認して去ると、やっと調子を取り戻した。
「そうだ、確認しないと」
顔を上げ、掲示板を覗き込んで俺の番号を探した。
「えっと・・・・・・俺の番号はこれだから、大体あの辺かな・・・・・・」
大体の目星をつけて探していると、見つけることができた。
「あったあった。うん、確かに俺の番号だな」
俺は自分の合格を確認できたので、今度はその横に貼られている順位表を見た。
一位から100位までが書かれていて、俺は下の方から見ていった。
100〜80位までは特に目に留まるようなものはなく、76位のところにルートの名前があった。
「ルートって、成績良かったんだな。で、俺とミューは・・・・・・」
最後の最後まで俺とミューの名前は見つからなく、もしかして100位の中にも入れなかったのかと不安になりながらも、トップ3を見た。
3位はリベルト・グリュン、知らない人だなあ。
2位はリオン・ヒュード、俺だ。2位か、一位じゃないのは悔しいが、かなりいい成績を取れたので満足だ。
すでにわかりきっている一位を確認すると、ミュレイ・ユバル。ミューの名前がそこに載っていた。
彼女に一位を奪われたのは正直悔しいが、ミューもかなり努力していたことを俺も知っている。
結果を確認できたので屋敷に戻ろうと振り返ると、俺を見つめる人影があった。
「どうだった?次席合格さん」
その人影、いや彼女は俺をそう煽ってきた。
「いやー、悔しいね。首席を取れたと思ったけど、そう簡単には行かなかったみたいだよ。ねぇ、首席合格さん?」
俺の返しに、彼女ミュレイ・ユバルはクスッと笑った。
「試験のトップ3は、自分の得点が見られるらしいわよ。一緒に見に行かない?まあ、見れても私との差に驚くだけでしょうけどね」
ミューは、得点の確認をしに俺を誘った。
「いいね、行こうか。上手く君に喰らいつけている事を願いながら、ね」
「リオンは、試験どうだったの?特に魔法実技は気になるわ」
目的地に向かって歩いている途中、ミューが話しかけてきた。それに対して、俺はこう答えた。
「筆記試験の方は、かなり簡単だったな。魔法実技は、適性が無い属性もそれなりに出来たんだけど、それを見て周りが俺はの適性を勘違いしちゃったみたいでね、俺の事を舐めたような声が聞こえてきたんだよ。だから、土属性と火属性の時に張り切って見せつけたんだ」
ミューは、俺の話を聞いて、頷きながら話し始めた。
「筆記試験は言うまでもないわね、魔法実技だけど、適性が無い物は最低限に、でも適性がある火、風、雷属性は派手に魅せたわ。周りも圧倒されてて、試験官も口をポカンとさせてたから、つい笑っちゃったの。とても可笑しいものだから、今も思い出すとつい笑ってしまうわ」
ミューは口を押さえてクスクスと笑いながらそう言った。
彼女は、全てにおいて満遍なく成長させている俺とは違い、一点を集中して成長させる一芸特化型だ。
そのお陰か、彼女は自分が適性を持っている属性の魔法の実力が呆れるほど高い。
彼女の火属性魔法に対して、相性が良い筈の土属性で必死に防御したとしても、完全には防ぎきれないで俺が火傷してしまうほどだ。
その後も雑談しながら歩いて、俺達は目的地に辿り着いた。
「すいません、首席のミュレイ・ユバルです。得点の確認をしにきました」
「はい、ミュレイ・ユバルさんね。ちょっと待ってくださいね、確認しますので」
ミューが職員に伝えると、それを受けた職員はゴソゴソし始めた。
「其方のお坊ちゃんはどうしました?貴方の順位によっては、確認できますよ」
ゴソゴソしながら、職員は俺に確認してきた。それならば、お言葉に甘えて俺も教えて貰おう。
「次席のリオン・ヒュードです。確認お願いします」
お願いすると、職員は驚いた声を出した。
「なんと、首席合格と次席合格がお知り合いだったんですね。お付き合いしているのですか?」
この人、かなり踏み込んでくるな。
俺が少し引いていると、ミューがスパッと答えた。
「彼とは婚約しているわ。お互い同意した上で、ね」
おい、事実だがなんてこと言ってくれるんだ。
「おお、もうそんなところまで行っているんですね。お邪魔しました、これが貴方達の得点です、好きなだけ眺めてください」
そう言って職員は俺達に紙を渡した。
まずは自分の得点を確認だ。
筆記試験は200点満点の192点。誤答の場所も確認できるようなので見てみると、どうやら歴史の問題で偉人の名前を二箇所、間違えていたらしい。正答と見比べると、間違えていた二箇所は入れ替えて覚えてしまっていたようだ。
魔法実技は十段階評価のうち、最高の10だった。試験官からのコメントが付いていて、その内容はこうだ。
『基礎5属性を満遍なく、過不足なく成長させていてとても良い仕上がりだった。貴方が適性を持っている火属性と土属性の魔法も趣向が凝られており、大変良い。入学後の更なる成長を期待させられる』
かなりの高評価で、改善点などの指摘が無い。上機嫌になりつつ、俺はミューに聞いた。
「そっちはどうだった?」
「ふふん、これを見なさい」
俺が聞くとミューは自慢げに得点の書かれた紙をこちらに見せつけてきた。
その内容は、筆記満点、魔法実技も評価は10で、実に見事だった。
「凄いでしょ。筆記、実技両方で満点なのは、歴代で10人だけらしいわよ。私も、その仲間入りね。貴方はどうだった?」
やはり満点か。俺の筆記での点数を見て、なんとなく察してはいたが実物を見るとわからされた気がする。
「そうだ、カフェに行きましょうよ。勉強の為になんだかんだで1年くらい会えなかったもの、積もる話もあるでしょう?」
「いいね!お金は俺が出すよ」
ミューの提案に、俺は二つ返事で賛成した。
「じゃあ、早く行きましょ。善は急げと言うしね」
ミューがそう言って、俺達は学園から出てカフェへ向かった。




