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第22話 合流



 しばらく馬車に揺られていると、突然馬車の外が騒がしくなった。


 街に入ったのだろうか?それなら、関所での検閲があった筈だ。しかし、何故か俺が乗せられているこの馬車が止められたりは一切しなかった。


 街を出入りする際の検閲で見つけてもらえないかと期待していたのだが、どうしてかそのまま街に入ってしまったのだろう。


 まさかとは思うが、衛兵と癒着しているのか?そうだとしたら、検閲がされなかったことにまだ納得できる。

 一体この街のどのくらいにコイツらが浸透しているのかわからないが、大体は敵だと思っても良いだろう。


 しかし、それだと運良く逃げ出せたとしてもすぐに見つけられてしまう。


 味方が全くいない状態で、俺はどうしたらいいのだろうか。


 街の中をしばらく進み、人混みの喧騒が聞こえなくなってきたところで、馬車はようやく停車した。


「着いたぞ、ほら早く降りろ。ゼルトは、またコイツを牢に入れるまで監視していてくれないか?でないと何をしでかすかわからないからな。俺達は一足先にボスへ報告してくるから、牢に入れたら俺たちのところに来てくれ」


 声の片割れがこちらへやってきて、ゼルトと呼んだフードの男に声をかけた。


「分かった、後から行く。コイツは牢に入れたら放置で良いのか?」


「ああ、一応監視が付くから安心してくれ。お前の仕事の内容も、拠点に運ぶまでだし、後は報酬をもらって終わりだぜ?」


「最高だな。じゃ、お先に行ってくるよ」


 そう言うと、ゼルトは拘束されている俺を背負って一人で歩き出した。


 周囲は廃屋が幾つも並んでいて、少し手前までは賑やかだった街にしては全く人気が無かった。


 少し進むと、酒場のようなものが見えてきた。


 それはパッと見酒場だが、少し眺めると注意しなくても幾つかおかしいところが見つかる。


 酒場というものは、物を売っている以上客がいないと成り立たない。しかし、これには客を案内するような看板が一切無いのだ。

 それに、これは俺の偏見なのだが、酒場というのは大抵昼間は閉まっている筈だ。それだというのに目の前の建物は煌々と明かりがついており、中には人が動いている影が見える。

 そんな状態で扉はclosedを掲げているのだから、これが怪しいと言わなければ何を怪しいというのだろうか。


 ゼルトがその扉に手をかけて開こうとした瞬間、後ろの方から聞き馴染んだ声の叫び声が聞こえてきた。


 

 


◆◇◆◇◆◇


 少し時間は巻き戻って場面は変わり、ここはとある馬車の中。



 内通者からの情報を聞いたボテは直ぐに屋敷を飛び出し、目的地まで馬車に急がせていた。


「時間的に、そろそろリオンは奴等の拠点へ到着したところか。私ももう少しでビルに着く。街に入って拠点を探して・・・・・・巧妙に隠されていなければ昼頃には見つかるだろう」


 彼は淡々と息子を探すための計画を立てていた。




「旦那様、到着致しました。あちらに捜索隊のリーダーがいますので、進捗をご確認なさってください」


 しばらくしてビルに到着した彼は、使用人に案内され、捜索隊の拠点へ入った。


 リーダーの姿を確認して、彼は声をかけた。


「やあ、失礼するよ。先ずは、リオンを捜索してくれてありがとう。して、どのくらい進んでいるのかな?共有させてくれ。それが済んだら私も捜索に加わるつもりだ」


 突然の自分の雇い主の登場に、リーダーは思考が固まった。

 数秒後、何とか意識を取り戻して、彼は報告を始めた。


「あっ、はい!リオン様の行方は、未だ掴めておりません。現在、商店街、貴族街、住宅街へ二人づつ送り出し、探させています」


「そうか、この街にはスラムのような場所は無いのか?スラムで無くとも、治安の悪い貧民街のような場所はどこの街にもあるはずだが」


 ボテがそう言うと、リーダーは申し訳なさそうな顔をして答えた。


「それがですが、この街にもスラムはあります。ですが、住民が協力的では無く、捜査が行き詰まったので、後回しにして他の場所を捜索していました」


「いったい何をしているんだ?住民が非協力的?協力を煽がずに探せばよかったではないか」

 

「す、すいませ・・・・・・」


 リーダーは直ぐに謝罪しようとしたが、ボテはそれを遮った。

 

「もういい、私が直々に探しに行ってくる。今探しているところを重点的に探させておけ。見つからなかったら1時間後、情報共有に来る」


「り、了解しました!」


 そう言うと、ボテは拠点から出て、街の中を歩き出した。






「すまない、この街のスラムはどこにあるのだろうか」


 ボテは適当な街を歩いている人に声をかけ、スラムがどこにあるのか聞いた。


「は、はい?スラムですか?貴族様みたいな服装をしてますが、あんなところに行くのは余程の物好きか、脛に傷のある者ぐらいですよ?どうしてもと言うのなら教えますが・・・・・・」


 呼び止められた通行人は、突然のことに困惑しながらボテに返事した。


「そのどうしてもだ。用事があるからな、早く教えてもらえないか」


 彼に食い気味に返されて、通行人はたじろぎながらも、スラムの場所を教えた。


「スラムなら、この街の南側、ここからならしばらくこの通りを進んだ後、2ブロック先で左に折れたら行けますよ。ご存知だとは思いますが、治安は悪いので、気を付けてください」


「ああ、教えてくれてありがとう。ささやかだが、これは礼だ」


 そう言ってボテは何かの為にと用意していた金貨をポケットから一掴み取り出し、通行人に押し付けて走り去っていった。


「何だったんだあの人・・・・・・って、金貨じゃないか!ほんとに貴族様だったのか?」

 


 


 

 


 

 

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