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第20話 誘拐



 ガタガタ、ガタガタ・・・ゴトッ


 ん・・・ん?


 体が揺れた気がして、目が覚めた。地震か?地震なんて大きいのも小さいのも、こっちの人生では初めてだな。


 とりあえず体を起こそうとすると、何故か体が動かせない。周囲は真っ暗で、何が起きているのかも分からない。


 なんとか体を動かそうとゴソゴソしていると、何処からか声が聞こえてきた。

 

「身代金いくらもらえると思うよ?かなり吹っかけても、払ってくれそうな感じはあるんじゃ無いか?」


 身代金?一体どういうことだ?もしかして、俺は攫われたのか?

 一体どうやって、いつの間に。


「それ何度目だ?そもそも、要求する額はボスに指示されて決まってるだろ。まさか、差額を掠め取るつもりか?」


 組織的な行動なのか。そのボスとやらが黒幕か?


「そんなわけないだろ?やるとしても、金はお前と山分けだから、な?失言くらい見逃してくれよ」


「あのさぁ・・・・・・、まったく」


 これ以上この声達からは情報を得られなさそうなので、どうにかこの状況を脱して体を動かせるようになるのを目指す。


 手は縛られていても、魔法を使うことはできる。視界を確保するために、魔力の節約も兼ねて一級魔法の『着火』を使う。


 魔法は問題なく発動でき、俺は周りを見渡し始めた。


 俺がいる場所は幌馬車の中のようで、幌がかかっていた。

 床には、木箱が1、2個置かれているだけで、拘束を解けそうなものがない。


 見たところおれを拘束しているのは太い縄のようなものだ。

 それならば、燃やして脱出することができるんじゃないか。

 明かりに使っているものとは別に『着火』を出して、ゆっくり縄に近づける。間違えて自分を炙ってしまい、火傷などをしないよう慎重に縄を燃やして、ついに拘束から抜け出した。


「第一関門突破だな。次はどうしよう、さっきの声達をどうにかするか?」


 この幌馬車はどこか目的地に向かっているようで、声が何度か、後どのくらいで到着するか聞いているのが、聞こえてくる。


「後どんくらいで着くんだっけ?」


「お前しつこいぞ、後2、30分で着くんだから大人しくしててくれ」


 後少しで到着するのか。それなら、アジトに着く前に急いで脱出しよう。


 アジトには戦力もいるだろうから、今のうちに気づかれないよう出ればいいはずだ。




 ◆◇◆◇◆◇


 一方その頃、王都にあるヒュード伯爵家の屋敷では、怒号が飛んでいた。


「リオンは何処だ!何がなんでも探し出せ!痕跡一つも見逃すな!」


 彼、ボデ・ヒュードは息子の姿が消えた事に酷く動揺し、必死になって息子を探させていた。


「報告致します。リオン様のお部屋の窓が開いておりました。おそらく、その窓から出たものと思われます」


 息子の部屋を調べていた使用人が彼に報告すると、近くにいた他の使用人が声を上げた。


「失礼します、昨夜、貴族の紋章の入っていない馬車が屋敷の裏手に止まっていたそうです。もしかしたら、リオン様の行方に関係しているかもしれません」


 その言葉を受けて、彼は命令を出した。


「それなら、王都を出た馬車について調べろ。紋章のない馬車なら、目立って覚えられているはずだ。一応、分担して王都の通りを捜索させろ。王都に留まっている可能せもある」


「了解致しました。そのように伝えてきます」


 息子の居場所への手掛かりが見つかった事に手応えを感じながら、彼はさらに捜索へ力を入れた。



 数時間ほど経って、彼の元へ一人の使用人が報告しに訪れた。


「例の馬車の行方を確認できました。深夜の3時頃、王都の東門から出たそうです。数人を、東門から捜索させています」


「相分かった。王都の中を捜索している者達もそちらへやれ」


 淡々と指示をだし、彼は考えた。


 (どうやってリオンを窓から連れ出したのだろうか。窓が開いていたらしいが、窓は内側からしか開けられないはずだ。リオンが自分から窓を開けたとは考えられないし、誰か誘拐犯の手先がいるのか?)


 その可能性に思い至った彼は、昨日息子の部屋を準備した使用人を呼びつけた。




「ただいま参りました。一体どうしたのですか?」


「昨日、リオンの部屋を整えたのはお前だな?整える時に何か、違和感は無かったか?正直に教えてくれ」


「違和感、ですか?窓も閉まっていましたし、特にはありませんでしたよ」


「そうか。何故、窓に言及したのだ?そして、窓は開いていたという報告を受けているのだが、何故矛盾しているのだ?何か、関係しているのではあるまいな」


 物凄い気迫を纏った彼の尋問に、使用人は圧に負けて素直に自白した。


「ああもう、どうにでもなれ。俺だよ俺、あいつらを案内してアンタの息子さんを誘拐する手引きをしたのは俺だ。煮るなり焼くなり、好きにしろ。知りたいことがあるのなら、教えてやる」


 開き直った彼の姿を見て、少し面食らった表情をした彼は早速質問を始めた。


「リオンは今何処にいる?組織的な行動なのか?そうだとしたらアジトは何処だ。ほら、早く教えろ」


「息子さんは、今はまだ馬車に乗せられているだろうよ。目的地へ向かっているはずさ。『ルピトの目』って言う組織があってね、俺はそこに雇われて実行していたのさ。アジトはビルイ子爵家の領都のビルにある。そこに、彼らは向かっているはずだぜ。ほら、言ったんだから、解放してくれよ」


 


 

 


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