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第13話 自由自在



 本日の座学の授業が終わり、魔法の授業に入った。今日も『火球』の軌道を操る練習で、ドールは特に指示もせず、直ぐに練習に入った。


 相変わらず魔力の質を操作するのは難しいが、少しずつ、ほんの少しだがコツを高めてきたような気がする。


 それは気のせいだと言われればそう思いそうだが、よく見れば確かに軌道が少し俺の思い描くように動いている。


 努力の成果が目に見えて現れて、俺は少し興奮しながらさらに練習に打ち込んだ。




 ◆◇◆◇◆◇



  魔法の軌道制御の技術は練習すればするほど雪だるま式に増幅していき、2週間ほども経つとほぼ完璧に操作できるようになってきた。


「リオン様は、努力する才能があるようですね」


 今日も元気に練習を頑張っていると、突然ドールが話しかけてきた。


「どうしたの?急に。何か気になるところでもあった?」


 突然のことに驚いてドールに聞くと、こう返された。


「リオン様は、飽きることもなく毎日魔法に向かって練習を続けていますよね?子供は、いや大人も、人間は皆同じことばかり繰り返しているといつかは飽きがきてその繰り返しをやめてしまいます。誰もが、それはいけないことで続けなければいけないことだと認識していても、その気持ちに逆らうことができるのはほんの、ほんの一握りだけなのです。その、一握りの人たちを人々は努力の才能がある、と称します。まさにその通りだと私も思います。貴方は、その一握りの才能であると、私は言っているのです」


 努力の才能、か。俺は毎日魔法の練習を疲れるまでし、魔力を使い切るまで魔法を使い、いつの間にかそれが普通であるように思ってきた。


 しかし、それは俺の思い違いで、実際は誰しもいつかそれに飽きてしまうらしい。前世の頃から、好きな物事には熱中して、永遠に集中することができた。

 しかし、そのせいで、よく損をしたり、その癖を治せと言われたりして俺はしょっちゅう叱られていた。


 この俺の性質は、たしなめられることはあれど、褒められたりしたことは一度もなかった。

 しかしドールは、これまでの俺を肯定してくれるが如くそれを、褒めてくれた。


 その事実に舞い上がりながら、俺は調子に乗って練習に勢いを増した。


 ドールは微笑ましい顔でそんな俺を見守り、そのまま5日が過ぎてドールがとある提案をしてきた。



「リオン様、魔法の操作がどのくらい上達したのか、見せてくれませんか?リオン様は毎日練習を頑張っていらっしゃいました。それですので、そろそろ次の段階へすすもうかとおも進もうかと思うのです。これは予定よりかなり早いのですが、予定など前倒しにしてなんぼですから」


 そうかな・・・そうかも。俺はドールの提案に賛成し、現在の魔法の操作を見せることにした。


 魔法陣を描き、『火球』を発動させた。そのまま、魔力を操作して魔法を動かす。


 最初は真っ直ぐ動かすだけ。魔力の質を均一にして魔法を押し出した。


 『火球』は俺が意図した通りに動き、さらに俺は軌道を曲げる為魔力の質をずらした。


 魔法は一切軌道がブレることも無く、静かに振る舞いを変えた。


 その後も、幾つかの方向に曲げたりして精度を確かめ、ある程度終わった後、俺は魔力を霧散させた。



「素晴らしいです。魔法の軌道に迷いがなく、精密に、寸分の狂いもなく魔法が動いていました。これなら、次の段階にも安心して進められます」


 ドールは俺の魔法を見て、絶賛した。


 かなり練習したので、今回も綺麗に動かせたなと思ったが、ドールはそれ以上に俺の魔法を褒めまくってくれた。


「それでは、早速次へ行きましょうか。今からやるのは、魔法の軌道の固定です。これは、魔法を動かす前にどのように動かすか予め決めておいて、その通りに動かすというものです。複雑な動きをさせることはできませんが、魔力操作に割く脳のリソースを少なく出来ます」


 軌道の固定はおそらく、ミューがパーティーで魔法をグルグル周りを旋回させるために使っていたあれだろうか。


「魔法の軌道の固定は、魔力の質の濃淡を事前に設定しておけば、後は放置するだけで良くなります。直接の魔力操作でとても綺麗に動かせていたので、すぐにできると思いますよ」


 確かに、説明を聞いてみるとかなり簡単ですぐにできそうなので、早速試してみる。


 とりあえず魔法を発動させて、どう魔法を動かすのかを決める。

 直線だと変化が無く、上手くできてるか判別しにくい。となると、軌道を曲げないといけないわけだが、ただ曲がるようにするだけだとその場でクルクル回るだけになってしまい、動きが見られない。





 しばらく考えて、やっと良さげな案が思い浮かんだ。

 前に進む動きと横に曲がる動きを同時に実行して、円状の軌道に乗せる。


 魔法はスムーズに動かすことができ、試みは成功した。

 位置と速度を調整して俺の周りをグルグル回らせて、しばらく同じ動きを繰り返す。


 フハハ、自由自在だ!!


 自分が操作していないのに魔法が動いているのを見てテンションがおかしくなった俺は、調子に乗って更に『火球』を出し、二つ同時に魔法を動かし始めた。



「リオン様、そろそろいいですか?軌道の固定が十分にできることは確認できたので、進みたいんですが・・・・・・」


 しばらく経って、ドールが夢中になっていた俺に声をかけた。


「ん?ああ、ごめんドール。すっかり夢中になってたよ」


 ドールに謝罪してから、彼が話を始めたので耳を傾けた。


「いえいえ、大丈夫ですよ。それでは、本題に入りましょう。魔法の操作はバッチリでしたので、次に入ります。それは、二つの属性の複合魔法で、これはかなり難易度が高く、学園の一年目の終盤にする内容です。最低ラインである金2クラスの域は、もう余裕で超えています。しかし、目標である白金クラス、更に言えば首席合格はこれができないとかなり厳しいでしょう。どうです?やってみますか?」


 複合属性、遂にきたのか。ずっと気になってはいたのだが、ようやくその領域に足を踏み入れることができそうだ。



 


 

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