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プロローグ5
祖父は、施設の許可や書類の話をあれよあれよという間に片づけてしまった。
「すまんな。
本当はもっと早く迎えに来るつもりだったのだが……
お前の母親が、何も言わなんだ」
そう言って、私の頭をそっと撫でた。
その手は冷たくなりかけた指先までちゃんと「人間」で、でも、触れたところにだけじんわりと火がついたみたいに温かかった。
祖父の家は、遠野の山あいにある古い古民家だった。
太い梁と、傾きかけた縁側。
そのかしこに、目に見えない“誰か”が腰かけている。
「じいちゃん、この家、誰かいる」
思わずそう漏らした私に、祖父は当たり前みたいに、頷いた。
「おるとも。
天井裏の隅にな。
あれは昔からおる座敷童子じゃ。
悪さはせんから、挨拶でもしておきなさい」
「……見えるの?」
「お前も見えるのだろう?」
祖父は笑う。
「怖がることはない。
妖も、人も、そう大きくは変わらん。
機嫌を損ねぬように接していれば、だいたいは仲良くやっていける」
その言葉で、胸の奥の“気持ち悪い”が、ほんの少しだけ溶けた気がした。
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