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プロローグ2
物心ついた頃から、私は養護施設で暮らしていた。
白い壁。
決まった時間になるチャイム。
おやつのとき以外はだいたい静かで、その静けさが、私はあまり好きじゃなかった。
静かなのに、いつもどこからか声が聞こえるからだ。
――お腹すいた。
――寒い。
――まだ、ここにいる。
壁の隙間や、床の影、古いぬいぐるみのボタンの目からさえ、誰かの気配がぽたぽたと零れ落ちている。
「ねえ先生、ここ、誰かいるよ」
何度かそう言ってみたことがある。
でも返ってくるのは決まって、
「また変なこと言ってる」
「美千流ちゃん、そういうこと言うと他の子が怖がるでしょ」
そんな言葉だった。
やがて私は、誰にも言わなくなった。
代わりに、こっそり残したパンや牛乳を、声のする場所に置いておくようになった。
次の日には、必ず消えている。
そこだけ空気が柔らかくなるので、たぶん喜ばれてはいたのだろう。
それが、私にとっての「普通」だった。
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